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栄護士りぼん 異世界大豆生活  作者: 多胡真白
第11話 家庭用石臼式大豆粉砕機
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クライアントがやってきた

お風呂のおかげで服も気分も筋肉痛も軽くなったわたしは、いつものパン屋でクッキーを買って(パンと同じ材料を使うので、ついでに作ってるそうです)帰りました。クッキーなんかどこの店も材料は似たり寄ったりなのに、ここのクッキーは頭一つ抜き出て美味しいのでびっくりしました。サクサクはもちろんのこと、これぞ芳醇と言える企業秘密の発酵バターが濃厚に薫るのです。日本にいたときは、スーパーで売ってるか売ってないかの瀬戸際にある発酵バターを怪しい不審者を見つけた感じで目もくれませんでしたが、いざわかってしまうとなぜ広まらないのかが不思議な美味しさです(まあ好みがありますからね)。


クッキーも買ってうきうきした足取りで宿に戻ると、わたしを認めたブラウンさんがお出迎えしてくれました。

「ちょうどよかった。りぼんさんにお客様がお見えですよ」

「お客さんですか?特に約束はなかったはずですけど…どなたでしょうか」

「先日お二人が済ませた仕事の依頼人とおっしゃる方で、管理人室でお待ちいただいてます。今オリバーにりぼんさんを呼びに行かせようとしたところでした」

「依頼人…?ああ、薬の材料になるという玉ぼこ掘りの。はっ、納品した植物が玉ぼこじゃなかったとか?直接文句を言いに殴り込みにきたとか?」

「お怒りの様子はありませんでしたよ。とても穏やかそうな方です」

「そ、そうですか。とにかく会ってきます」


管理人室へ入った途端、淡いラベンダーの香りが優しく鼻孔をくすぐりました。ブラウンさんの言った通りの穏やかそうな女性が、窓の外の景色を眺めながら優雅に紅茶を啜っています。その姿はアンジェリカとはまた違う絵であり、わたしは思わず彼女に見とれてしまいました。

固まっているわたしに気づいた彼女は椅子から立ち上がってわたしに近づき、ポンチョのようなアウターの下から手を差し出しました。

「あなたがりぼんさんですね。初めまして、わたしは錬金術士のクラリッサ・フォン・ベルツと申します。先日、玉ぼこの調達を依頼した者です」

錬金術士…?

やれやれ、これまた想像のつかない職業の人が現れました…。

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