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栄護士りぼん 異世界大豆生活  作者: 多胡真白
第10話 はじめてのおつかい
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玉ぼこ剣士の仕事術

「ふーん…だから何でも屋みたいな依頼で掲示板が埋まるのね。戦闘とか討伐とか物騒な話題が出るから、魔物って悪の親玉率いる広域指定暴力団に近い存在かと思ってた」

「…何のことを言っているのかわからないけど、動物の中でも特に人を害する獰猛な動物を指すとでも思えばいいわ。大昔は魔物が現れたら逃げるしかなくて、魔物は神の怒りを買った人間に罰を下しに来た神の使いだと考えられていたの。その畏怖心からいつしか魔物と呼ばれるようになったそうよ。

今は魔物の生態がわかってきて、昔ほど恐れられなくなってきてるわ。ただ、狩りたがる人がいるのも、共存を目指す人がいるのも、心に刻まれた畏怖心の裏返しなのかもしれないわね。…ちょっと、聞いてる?」

アンジェリカの小難しい講義は、疲れきったわたしを眠りに誘うのに十分でした。

「あ、ごめん…。ついうとうとしちゃって。まだ作業を続けるの?」

「もう終わりにして帰りましょう。今回の仕事の報酬は歩合だからノルマはないし」

「助かった…」


わたしたちはたびたび小休憩を挟みつつ、玉ぼこの詰まった麻袋を交代しながら持ち帰りました。

こんなに歩いたのは高校時代の強歩大会以来です。強歩というのは競歩と違って競争が目的ではなく、長距離を歩いてゴールするのが目的です。わたしの高校はマラソン大会の代わりに強歩大会があり、朝9時から20km以上を歩かせられました。

わたしは休憩を挟んで6時間かかり、ゴールしたのは夕方の5時近くでした。最後の1時間は下半身がふ菓子のようにへろへろで、ちょっと気を抜くと猫のように横にごろんと転がってしまいます。これがスクールカースト1位の学内ローカルアイドルならインスタに上げて『いいね』待ったなしですが、中の下ポジションの女子高生では思春期真っ盛りのむっつり男子高生も無関心です。


なんとか陽が沈む前に街に戻ったわたしたちは、人目もはばからず着の身着のままギルドに直行しました。ギルドは日本の役所みたいに夕方5時で閉まらないんだから宿に荷物を置いて着替えてからでもいいのに、『汚れた格好を見せたほうが、いかにもがんばったとアピールできるでしょ?』と、お前は残業を褒める上司に媚びるサラリーマンかと突っ込みたくなる主張を押し通されてしまいました。


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