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栄護士りぼん 異世界大豆生活  作者: 多胡真白
第10話 はじめてのおつかい
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玉ぼこ剣士の野良仕事

さて、まずはハンディサイズのスコップでそれらしき葉の根元を掘ってみる…と、なんとブツはすぐに見つかってしまいました。アンジェリカを呼んで確認してもらうと、これでよさそうです。

確かにでこぼこになったかぶのような球根で、表面の皮はつるっとしてます。ところどころにある凹みからひげのような細い根が伸びていたりします。

これ、見覚えがあります。じゃがいもに似ています。でも、市場にいも類は見かけなかったような…。

「この球根は食べられるのかな?」

「絶対食べないように注意されたわ。毒性が強くて中毒を起こすらしいわよ」

なるほど、食べられないんじゃ市場で見かけないのも納得です。なんとかして食べられれば、加熱調理してもビタミンCが壊れにくい優秀な食材になれるんですけど…。

「その形から、この近くの農民からは『玉ぼこ』と呼ばれているらしいわ。それより、無駄話をしないでさっさと掘る。陽が傾く前に帰るわよ」

それからわたしたちは、大きなスコップと小さなスコップを使い分けながら黙々と掘り続けました。いもらしき球根は大きさも数もまちまちで、ピンポン玉サイズがいくつもぶら下がっているものもあれば、こぶし大の大きな球根が一つだけ太い根についているものもありました。小学生のときに班ごとに育てたじゃがいもの収穫作業を思い出させます。農作業初心者の子供が育てたちんけなじゃがいもを平等に分けられるはずがなく、険悪になる班が続出したいい想い出です。


しばらくして、指定ごみ袋の大サイズほどの麻袋が玉ぼこ?でいっぱいになり、わたしたちはすっかり疲労困憊して土の上に座り込みました。土で汚れた手を手拭いで拭き、爪の間の土を掻き出してから、水筒の残りの紅茶とパウンドケーキでティータイムにしました。明日の筋肉痛を考えると気が重いです。

「こんな仕事を一人でこなしてたとは見直したわ…。わたしゃ早くも心が折れそうだよ…」

「いいえ、さすがにここまできつい仕事は初めてよ…。魔物の危険も採取場所の危険もないわりに、急ぎの仕事という条件があって報酬がすこぶる高くなってたの。体力のある連中に取られる前に即決したんだけど、よく考えるべきだったわ…」

「冒険とは何だったのか…。ただの植物探しじゃない。うちらの世界で冒険と言ったら、無職のおじさんがロマンを求めて秘境の遺跡に不法侵入するイメージなのに」

「あなたたちの世界の男ってバカしかいないのかしら…。こちらでの『冒険』という単語の語源は『前に進む』。基本的に現実的なニュアンスのある言葉なの。そこから『危険』や『苦労』という意味に転じることがあっても、『ロマン』のニュアンスは含まれないわ。まあ、ロマンや一獲千金を求める人も少なくないけど、そうね…。他の言い方をするなら『開拓者』が相応かしら」

「開拓者?」

「冒険者は新しい土地を開拓して、街や施設を築いたり維持するのが主な仕事なの。そこに魔物がいれば追っ払うのが、わたしみたいな剣士も含めた戦闘職の仕事ね。中にはとにかく魔物と戦いたがる血の気の多い連中もいるわ。でも、本来の仕事はあくまで安全の確保であって、むやみやたらと魔物に危害を加えることではないわ。むしろ、性質の悪い連中による乱獲が問題になっている土地もあるくらい」

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