ノービタミン、ノーライフ(後編)
「最後は、数あるビタミンの種類の中で最も重要と言える『ビタミンC』です。
ビタミンCは免疫力を高め、病気に強い体を作ります。
フランツさんは子供の頃は体が弱くて、お祖母様にキャベツの酢漬けをたくさん食べさせられたと話してくれました。キャベツの酢漬けはビタミンCが含まれているので、毎日少しずつ摂ることで免疫力がつき、病気にかかりにくくなったのだと思います」
「ほう、そうだったのか。それでフランツ君もりぼん君の仕事に目をつけたのだな」
「いやあ、これからは健康が商売になると思いましてね。うちみたいなぽっと出の小さい喫茶店にゃ肉が回ってきませんから」
「供給量が不十分ですまないな。近隣の街や商人に掛け合ってはいるのだが」
「ないもんは仕方ないですよ。ま、うちはコーヒーとケーキで勝負でさ」
「ビタミンCを摂る上で難しい点は、ビタミンCは野菜と果物からしか摂れないんです。ビタミンC以外の栄養素は、肉や穀物や牛乳など幅広く食事をすれば自然と摂れますが、ビタミンCは意識して野菜と果物を食べないと不足しがちです。
しかも、もう一つ難しい点があります。ビタミンCは非常に失われやすい性質で、水に溶けやすく加熱に弱いです。食材を茹でるとがっつり減っちゃいます」
「じゃあ、生野菜のサラダとかサンドイッチの具の生レタスは理にかなってたのかい?」
「それが、そうとも言えません。確かに生野菜ならビタミンCを漏れなく摂れますが、生野菜は水分が多くて量を食べられません。サラダは見栄えを考えて多めに見えるように盛りつけますから、実際に食べられる量は数分の1です。
そういう野菜は、茹でても倍以上食べられれば問題ありません。それに、生野菜は内臓を冷やして体力を奪いますし、生食できる野菜は限られます。
だからと言って、気にし過ぎるのも考えものです。レタスを茹でちゃうとシャキシャキ感が無くなりますし、茹でたトマトは瑞々しさが無くなりますし、そうなると美味しさも半減しちゃいますし、何より食事が楽しくなくなっちゃいますから。一品付け足すなど、臨機応変に対応してはどうでしょうか」
「確かにな。飲食店はまず美味くなけりゃいけねえ。嫌々食いにくる奴はいないからな」
「ただ、十分なビタミンCを野菜で摂るには、かなりの量を食べないといけないのがこれまた難しい点です」
1日につき、350gの野菜が推奨される量です。この世界はともかく、忙しい現代人は毎日自炊できるとは限りません。コンビニ・スーパーのお弁当やお惣菜に頼る人も多いでしょう。ですが市販の食事は保存性や満腹感を得るために、油をふんだんに使ったり味が濃いものが多いです。また、野菜は安くないので、量も限られます。
仕方なく野菜ジュースや青汁に頼る方も多いかと思われますが、あくまで補助的な食品として考えましょう。
「そこで果物がオススメです。果物はビタミンCが豊富で、かつ生で食べられますから、効率的にビタミンCを摂取できます。風邪をひいたときに果物を食べるのは理にかなってます。
フロレンスはりんごが名産の街ですよね。りんご、オススメです。ただ、アップルパイのように加熱されたりんごではビタミンCが減ってしまうので、アップルパイはおやつとして考えて、食事の際はできるだけ生で食べましょう。風邪をひいたなどで食べられないときは、すりおろして食べるといいです」
「ほう、それは嬉しい情報だ。それなら実践は簡単だな」
「おっと、アップルパイの注文はこれまで通り頼みますよ。さすがに生のりんごを切っただけじゃメニューにできないっすからね」
「ちょっと質問いいかい?」
「はい、どうぞ」
「毎日、五大栄養素とやらを満遍なく摂る必要があるんだよな?食材の種類や量はどう決めるといいんだ?バランスよくと言われても、基準がわからねえ」
「ですよね。基準の一つとして、『四群点数法』という方法があります。今日は四群点数法を説明して終わりにしたいと思います」




