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栄護士りぼん 異世界大豆生活  作者: 多胡真白
第6話 ロハスのすヽめ
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市場リベンジ

 市場に来た今日の目的は、昨日果たせなかった魔術書ぽいカバーを作ることと、夕食の材料の買い出しです。昨日より少し気持ちの余裕もできましたし、のんびりと買い物ができそうです。

 市場に着くと、アンジェリカは別行動を提案してきました。

「わたしはアンジュルムのカバーを頼んでくるわ。デザインはわたしに任せて」

「じゃあ、わたしは夕食の材料を買ってくる。お昼はフランツさんのお店で食べない?」

「いいわ。正午を知らせる鐘が鳴ったら、ウエンツの前に集合ね」

 表紙にでかでかと「食品成分表」と書かれたアンジュルムを脇に抱えて、アンジェリカは鼻歌を歌いながら噴水のある方向に歩いていきました。


 市場は朝と比べて屋台の数が増えていました。主にボリューム大きめ軽食や焼き菓子が売られており、昨日食べた焼きりんごの屋台も出ています。やはり肉は少なめで、魚は塩だらや干しだらを戻した料理が多めです。ほぐした塩だらやにしんの薫製を乗せたパンや干しだらのスープなど、シンプルな料理が中心です。

 八百屋さんからは安売りのかけ声が聞こえます。あと少しで売り切れる野菜や足の早い野菜を夕方までに捌きたいようで、現代で言えばスーパーのタイムセールです。朝、昼、夜で違う顔を見せる市場は毎日楽しそうです。

 今日の夕食は大豆とレンズ豆のスープです。具はもう決めてあります。にんじん、玉ねぎ、キャベツと、こっちではよく使われるらしいかぶ。オリバーくんやフランツさんの好みもわかりませんので、セロリのようなにおいのきつい具はやめときます。冒険はほどほどに。

 悩ましいのは、アンジェリカににんじんを無理にでも食べさせるか否かですが…。わたしの祖母は嫌いなものを無理に食べさせないという方針だったので、おかげで父はすっかり偏食家になりました。煮物は食べないわ、煮魚は食べないわ、椎茸は食べないわ、酢の物は食べないわ、サラダは食べないわ、少しでも酸味のある果物は食べないわで、たびたび母から食事の用意をボイコットされます。

 しかし、アンジェリカに関しては偏食を見逃す余裕はありません。偏食は不健康になることはあっても健康になることはありません。子供の偏食は少しずつ食べさせればだいたい治ると授業で熱く語った先生を信じましょう。

 ただ、肉は諦めます。においで吐き気を催すレベルの食べ物はさすがに強制できません。わたしもチーズがだめですし…。


 野菜とレンズ豆と塩こしょうを一通り買い終えて緊張が解けると、他の店を眺める余裕ができました。

 昨日の夜に駆け込んだパン屋さんを改めて視察してみると、現代で言う菓子パンや惣菜パンはほとんどありません。主な商品は食パンやロールパンといった食事パンで、お菓子的なパンはレーズン入りのパンのみです。全粒粉のパンもあり、精製の必要がある小麦粉のパンに比べて安めでした。

 パン屋さんは他にもたくさんあって、中にはライ麦パンを中心に扱うお店もありました。ガチガチに目が詰まった黒パンなど、独特の酸味の香りが店内に漂います。ライ麦パンは全粒粉パンよりも安くて、一ランク下のパンとみなされているようですが、好んで食べる人も少なくないそうです。故郷ではライ麦パンが主流だった人や、小麦粉や全粒粉にはない風味がくせになる人が多いとか。

 夕食の4人分の全粒粉パンを買ってお店を出たところで、正午の鐘が鳴りました。

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