月面冷戦末期におけるA国交渉団の行動記録
A国国防総省・極秘報告書(CLASSIFIED/LEVEL-7)
発信:月面前進基地 A-LF-01
宛先:国防総省 宇宙戦略局(USSD)
1.概要
本報告書は、月面における Lunarian-α との直接交渉の経緯、 および交渉破綻後に発生した重大事案について記録するものである。
当方は一貫して「経済的優位性を背景とした交渉戦略」を維持し、 月面資源の優先的確保を目指した。
2.交渉経過
当方は以下の提案を提示した。
・月面資源採掘権の優先枠
・技術協力プログラムの主導権
・経済支援パッケージ(実質的な影響力確保策)
しかし Lunarian-α は、当方が保持していた「戦略抑止力」(核搭載型巡航艇)を即座に把握。 交渉姿勢は急速に硬化し、対話は事実上停止した。
3.異常事態の発生
2037年3月12日 04:22(UTC) 月面南半球にて、地殻が外側へ規則的に展開する現象を確認。
観測班の報告:
「地殻がミカンの皮のように外側へめくれ上がっていく」
内部から巨大構造物(以下「母船」)が出現。
4.Lunarian-α からの通告
母船より、以下の声明が発信された。
“Restart from the Stone Age.”(石器時代からやり直せ)
同時刻、当方の核搭載艇および基地設備は全機能停止。 帰還船は外殻から順次鉱物化(石化)を開始。
5.帰還行動
当方交渉団は、石化が進行する帰還船に搭乗し、 地球圏への離脱を試みた。
推進系統はほぼ全停止。 残存した慣性制御装置のみで軌道投入を実施。




