おみまい
次の日も、朝、顔を洗って、何とか学校に行ったけど、今日こそ、お見舞いに行こうという思いは強まっていた。用意の時に制服の小さなリボンを結んだ。毎朝のことなのに、「ださいよ、こんなの嫌。」と言った時、父が、「かわいいよ。」と、微笑んでくれたのを思い出した。
芽生子が病室に入ると、お父さんは、
「おっ、来たね。」
と嬉しそうに言った。
「お父さん。…。大丈夫?」
「大丈夫。ごめんね…心配かけて。」
芽生子は、突然、泣いてしまいそうになった。お父さんは、体調があんまり良くなさそうに見えた。芽生子は、
「そろそろ、帰る。明日また来るから、ゆっくり休んでね。」
と言って、父の顔も見ずに外に出てしまった。短気な自分が嫌だった。
次の日、病院に行くと、父親は、寝ていた。芽生子が外に出ようとすると、
「芽生子ちゃん。」
と呼び止められた。
「起きてたの?」
「うん。」
お父さんは、何か言いたそうだった。
「どうしたの?」
「いや…」
「気になるよ。言って。」
「明日、お兄ちゃんと、会う約束してたんだ。」
「えっ…」
芽生子の目が、2、3倍に大きくなるような感じなので、父も戸惑うような顔をした。
「お兄ちゃんは、お父さんのこと知ってるの?」
「連絡したら、病院に来たいって…」
「えっ?」
芽生子は、兄が、病院に来るという、別に何もおかしなところのないことに激しく動揺した。何だかすごく筋違いな気持ちがした。でも、兄は、私と同じようにお父さんの子供なんだから当然なんだ、と、納得しようとした。




