S級の父さん・母さんが危機!新ダンジョンはやっぱり危険が一杯!
蒼河遥です。
本作に目を留めていただき、本当にありがとうございます!
新ダンジョンの地下41階層で行方不明となったレオンの両親。
レオンは、そんな両親を捜索するため、地下41階層に向かいます。
一方、その両親には一体どんな事態が起きていたのでしょうか?
本作は処女作ということで、まだまだ試行錯誤の最中ではありますが、
皆様、是非、この物語をお楽しみください!
【視点変更】 グレイ・ウォーカー (父さん)
「カリン!俺の手を掴め!」
ワニ・・・そしてワイバーンの亜種。
俺達8人は、そんな難敵との戦闘に突入してしまった。
ここまでの戦闘で、カリン自体、かなりMPを消費し、疲弊気味だったのは分かっていた。
例えB級、A級の魔物であっても、ここまでの連戦となれば、S級冒険者でも正直キツイ。
しかも、今回は結構不意打ちに近い感じだったんだ。
ワイバーンが尻尾を振り回して攻撃してきたとき、
運悪く、それがカリンの体に当たり、彼女は川に吹き飛ばされてしまった。
意識を失っているように見える彼女を、放っておくわけにはいかない。
俺は迷うことなく、川へ飛び込んで行ったんだ。
川にはワニが居る。
そんなのに襲われたら、カリンはひとたまりもない。
B級の敵と言っても、水中は彼らのテリトリー。
対して、人間は水の中では戦闘力が半減してしまうんだ。
「カリン!目を覚ませ!カリン!」
彼女まであと3メートル・・・・2メートル・・・・1メートル・・・・
「カリン!俺の手を掴め!」
だが、彼女からの反応はない。
完全に気を失っている。
彼女とこれ以上離れる訳には行かないので、
俺はその腕を掴み、グイッと引き寄せて、彼女を抱きしめに行ったんだ。
けど、その時!
「うわあああああーーーーっ!」
急激な重力の低下。
そう・・・・
俺達は、川の水の流れと共に、滝の中へ飲み込まれてしまったんだ。
「カリン、起きてくれ!カリン!」
急激な加速で落下中の俺達。
このまま何十メートルも墜ちて、下の水面に打ち付けられてしまったら、
流石の俺達も体が持たない。
だから、俺は必死にカリンの頬を軽く叩き、彼女を起こそうとしたんだ。
「カリン!頼む!起きてくれ!」
「ん・・・んん・・・グレイ?」
「カリン!分かるか!今、滝から落下している最中だ!
魔法で落下速度を落としてくれ!」
目覚めたばかりで "滝を落下中だ!" と言われても、
普通の人なら理解不能だろう。
ただ、彼女はS級冒険者!
踏んできた場数が違う。
「エア・ウォーク!」
「おぉ!」
瞬時に彼女が唱えた魔法によって、俺達に空気の足場が出来る。
下を見たら、水面まであと15メートル。
これを見ると、俺達、結構ヤバかったんだ。
冷や汗もんだぜ。
ただ・・・
これで大丈夫!・・・そう思われた直後、
更なる問題が俺達を襲ってきた。
「クソッ、ワイバーンに見つかっちまった。
カリン、MPはどの位残っている?」
「ごめんなさい、正直、ワイバーンを倒せる程、残って無いかもしれないわ」
地上戦での疲弊。
正直、迂闊だった。
俺達は下層への階段が中々見つからず、焦っていたのかもしれない。
薬品を使い切るまで無理をし、マジックバッグはもう空だ。
無理をせず、もっと安全地帯で休憩を取っておくべきだった。
ただ、それを言っても今更だ。
「じゃあ、下の湖の中に飛び込むぞ!カリン」
15メートルの高さなら、飛び降りても大丈夫だろう。
そんな判断もあって、俺達2人は、ワイバーンから逃げるように、
湖面に飛び降りて行ったんだ。
「ぶはぁっ!カリン、大丈夫か?」
「ええ、大丈夫よ、グレイ」
湖面の中から顔を出し、ワイバーンの様子を伺っていく。
さっき、俺達に気づいた個体も、そんな状況に諦めたか、上空を旋回している。
大丈夫そうだ。
となると・・・
「なあカリン、あの滝の奥に、洞窟のようなものが見えないか?」
「・・・有るわね」
そのやり取りで、俺達の次の行動は決まった。
今、俺達が泳いでいる位置からは、40メートルくらいだろう。
ただ、滝つぼに巻き込まれないよう、少し回り込んでいく必要はありそうだ。
俺達はワイバーンに気取られないよう、やや潜水気味に泳いでいく。
取り敢えず、あの洞窟で休めれば、カリンのMPも少しは回復していくはず。
そうすれば・・・
「グレイ、マズいわ。ピラニアに気づかれたみたい」
「くっ・・・何体来る?」
「5体・・・」
「クソッ!急ごう」
俺達は急いで洞窟に向かう。
ただ・・・
ピラニアは体長が1メートル弱。
1体1体の強さはそれほどでもないが、集団で掛かって来るのが厄介だ。
しかも、人間の泳ぎと、魚の泳ぐ速度じゃ、天と地の差。
あっと言う間に、奴らに追いつかれてしまうだろう。
「グレイ、私に掴まって!」
「わかった!」
「ウィンド・ブラスト!」
カリンが、なけなしのMPを使って、魔法を唱えていく。
本来、ウィンド・ブラストは、突風を放って、敵を吹き飛ばすものだが、
今は、俺達の移動を加速させるために使ったようだ。
その推進力によって、10メートルは前進したんじゃないか?
そして更に、
「ウィンド・ブラスト!」
もう一度詠唱。
お陰で洞窟の入り口まで、あと少し・・・
「カリン、MPは?」
「もう・・・殆ど無さそう・・・」
力が尽きかけていくカリン。
そんな彼女を抱きかかえ、俺は残りの距離を急いで泳いだ。
だが・・・
無情にも、あと数メートルのところで、ピラニアが追いついてきやがったんだ。
水中という不利な条件だが、剣を抜いていくしかない。
「カリン、俺がコイツらを防ぐ!お前は洞窟へ」
「わかったわ」
本来なら、一人で逃げることを良しとしない彼女だが、
今の状況を考えて、最善の判断をしてくれる。
そして俺は・・・
「来やがれ!」
両手で剣を構え、水中でピラニアに対峙していく。
そして・・・
襲ってくる奴らをかわし、そして切り付ける。
最初、ピラニアの速度が速く、なかなか当たらなかったが、
彼らの動き・パターンが読めるようになってきて、
俺は効果的な反撃を食らわせて行くようになった。
結局・・・
2体を倒し、残り3体に傷を負わせたところで、ソイツ等は逃げて行った。
まあ、俺の大逆転勝利って奴だな!
そして、俺はすぐさま洞窟の方を見やる。
カリンが無事、その入り口に上がっていくのが確認出来た。
じゃあ、俺も向かうか!
という事で、俺も急いで、そちらへ泳いでいったんだ。
でも・・・悪いことは重なるものらしい。
「キャーーーーッ!」
「えっ!」
洞窟の中からの悲鳴。
勿論、カリンの声・・・・
俺は急いで泳いでいく。
洞窟の入り口に上がって、直ぐに中を確認した。
すると・・・
「カリン!」
彼女が倒れているのが分かった。
しかも・・・
口から血を吐き、腕が・・・折れてやがる。。
血を吐いているということは、体にもダメージを受けている可能性が高い。
一体何が・・・
やや薄暗い洞窟の奥を、目を凝らしながら眺めていく。
「ミノタウロス・・・?」
棍棒を持った、4メートル強ほどの魔物が仁王立ちになっていたんだ。
「この野郎!」
俺は怒りのまま、ミノタウロスに切り掛かって行った。
カリンに魔力が残っていれば、B級程度のコイツに後れを取ることは絶対に無い。
けど・・・
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・」
俺は怒りに任せてミノタウロスを倒し、すぐさまカリンの元へ走った。
「カリン!大丈夫か!」
「グレイ、ごめん・・・なさい。油断した・・・わ」
「バカ!今は余計な事を考えるな!」
俺はマジックバッグに手を突っ込んで行く。
ハイポーション・・・ない。
ポーションすら・・・
クソッ、階段を探す途中、俺はそいつを何本か使い、
残りを、疲弊していたタンポポに全部渡してしまったんだ。
そういえば、カリンも、余っていた薬品をステラに渡していたな・・・
一応、彼女のバッグも漁ってみたが、案の定、薬品類は残されていなかった。
S級冒険者のくせに、何て間抜けなんだ俺。
今回の地下41階層の探索は、完全に俺のミスだ。
いや、今、それを言っても仕方がない。
これからどうする・・・
「ぐわぁっ!何だっ!」
突然、俺の背筋から首筋に掛けて、何かが落ちて来て、
その瞬間、激痛が走っていく。
俺は慌てて、その何かを手に掴み、投げ捨てていく。
「毒蛇かっ!?」
瞬時に、その蛇を一刀両断にするが、首筋に激しい痛みが・・・
「くそっ、今日は厄日か?・・・ついてない・・・最悪だ・・・・」
俺は、そのまま意識を失っていった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
レオンの父グレイと母カリンは、滝から下に落ちて、
それでも、何とか洞窟に逃げ込んだようです。
ただ、そこで想定外の危機に陥ってしまったようです。
果たして、レオンは彼らの救出に間に合うのでしょうか?
そんな次回以降、どの様な波乱が巻き起こっていくのか?
今後の展開にも、是非ご期待ください。
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それでは、次回の更新まで、今しばらくお待ちください。




