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慣れない日々と孤島の食材 Lv.1(四話)

 黄色く輝く巨大な雷鳥の背中に乗って、サウザーたちは緑豊かな森、活気あふれる街の頭上を通り過ぎていく。


 彼らは見渡す限り青い海になった世界を飛んでいた。


「ふあぁ!」


 サウザーのゴーグルを借りて、初めてのフライトを楽しむティーレは、あまりの高さに恐怖を抱くどころか、煌めく海が一面に見える事に歓喜する。

 対して、幸の方は少女の背中をしっかりと掴みながら慌てふためく。


「高い高い! サウザー! もう少し低く飛ぼうよ!」


 一番前に乗るサウザーは振り向いて答える。


「君なら大丈夫だろ?」


「違う、この子が落ちたらどうするの?」


 ティーレの体をしっかり抱えながら幸は雷鳥にしがみつく。


「お姉ちゃん、わたしなら大丈夫だよ。あっ、見て! 竜だ」


 流れる景色を堪能していたティーレは初めての竜を見つけて大はしゃぎする。

 楽しそうにするティーレを見て、幸は何も言わなくなった。

 彼女は代わりに今朝の事について話し出す。


「なんでいつも、ああやって起こすの?」


 毎朝、時間になるとサウザーの使いである雷鳥が檸檬の木に止まる。そして、耳をつんざく様に叫ぶのだ。


 おかげで、幸は毎朝心臓が破裂しそうになる。


「お願いだから辞めて。心臓に悪いの」


 サウザーはあーっと口を開けて、その様子を思い浮かべた。

 確かに心臓に悪い。


「すまない、気をつける様に言っておくよ。だが、朝起こしてくれって言ったのは君じゃないか」


 彼の返事に幸はムッとする。


「起こし方ってのがあるでしょ。あなたが操ってるんだから、させない様に出来るでしょ?」


 サウザーはなんとも言えないと唸りながら話す。


「僕も完全に操れるなら、そうしたいんだけどね。あいつら全員を完全に操るのは無理なんだ。頭がパンクしてしまう」


 申し訳ないとサウザーは素直に謝る。

 謝られてしまうとそれ以上何も言えないと幸は黙り込んでしまう。

 しばらくしてサウザーは口を開いた。


「あいつも心配性なんだ。毎朝、君が呼んでも出てこないから何かあったんじゃないかって。もし、夜中に窓を開けておいてくれれば、あいつは中に入って君の様子を見に行くよ。そうすれば、あいつも少しは安心して優しく鳴いてくれるさ」


 遠回しに早く起きろと言われている様で幸は納得のいかない気分になる。


「ねぇ、今はどこに向かっているの?」


 景色を眺めていたティーレがサウザーの方まで寄って来て訪ねて来た。

 サウザーはこれから向かっている秘境について話し始める。


「僕たちが今向かっているのは、昔、ハンター達が食材を求めて海を渡っていた時に発見された孤島だ。そこは珍しい食材が多く取れる場所で君が探していた蜜の花も必ずあるよ」


 彼の話を聞いて、ティーレは少し表情が暗くなる。


「わたし、場違いな場所を探してたんだね」


 花を探しに森へ入ったのに咲いている場所は海の向こう側だったのだ。

 子供の彼女が決して取りにいけない場所だと知っていれば、家出などしなかった。

 しょんぼりとする彼女にサウザーはそっと頭を撫でて言う。


「いや、間違ってないさ。蜜の花はどこにでも生えているから、白い花も陸地を探せば必ず見つかるだろうね。ただ、僕がすぐに知っていたのがこっちだけだった話だ」


 大きくなったら、探してみるといい。

 彼は優しく諭す様にそっと微笑む。だが、すぐにニヤつかせてよくない笑みを浮かべる。


「へへ、まぁ、ついでにいつくか珍しい素材を持って帰って金にしようと思ってね。あそこは火山島だから鉱石が地表でも簡単に取れるし、生態系も大陸とは全く違う。美食屋達が望む様な食材もあるはずだ」


 稼げる話にしたが回るサウザーに対し、幸たちは思わず引いてしまう。

 街一番のハンターの彼はとても頼もしい。しかし、お金にがめついところを見るとすごく残念な気がする。


 彼女たちの印象に気づいていないサウザーは雷鳥を雲の中へ飛び込ませた。

 ひんやりとした空気が激しい音を立てて通り過ぎていく。


 うっすらと遠くに黒い影が見えた。


 次の瞬間、雲から抜け出した彼らは小さく浮かぶ孤島を発見する。

あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。

どうも、あやかしの濫です。

サウザー・ピジュンには夢がある。その為にお金を欲する時の彼は少し残念に見えるかもしれませんね。

今回のシーンってリアルでも何だか、ありそうな気がしています。

探し物例えば本を探してる時に友人に訪ねると別の本屋ですぐに見つけてくれたみたいな。

最初に探してた場所にもあったかもしれないけど、友人にとって思い当たる節があったのがそっちだった的な物で、気に入ってます。

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