↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/39

正体不明の刺客と痺れるバーガー Lv.5(四話)

 森の間に作られた食の国リトラルへ向かう広い道を一頭の馬が大きな馬車を転がしていた。

 ゴトゴトと大量の荷物を積んでいた馬車は、優雅に進んでいく。

 穏やかに過ぎていく森の景色を見ていた馬車の主人ロトンドはあくびを一つ浮かべる。


「なんです、旦那、一番最初に潰れたくせにまだ眠いんですか?」


 手綱を握る助手のエジレがヘラヘラと身を縮めて笑う。

 嫌味ったらしく言われ、ロトンドは鼻息荒く答える。


「違うわ! エジレ、貴様がとろとろと進むせいで眠くなっていただけだ」


 雇い主の怒鳴り声に肩を窄めて助手は楽しそうに話す。


「まぁ、いいじゃないですか、ここいらは昔に比べて安全になったんですし」


 彼の言葉に、どこまでも呆れさせる奴だと、ロトンドはため息を吐いた。


「呑気なものだな……まぁ、お前の言う通り近頃は点で減ったな。昔は村を出て少しもしないうちに魔物や盗賊に襲われていたと言うのに」


「そうっすよ! これも全部、ランサン郵便協会がこの国に来てくれたおかげですね」


 助手は嬉しそうに話す。と言うのも、彼らが今行っている仕事もランサン郵便協会から引き受けたものだ。


 霧の国ブリッジランドで設立されたランサン郵便協会は数年で大きな成長を遂げた。

食の国リトラルまで進出して彼らの仕事を統括する様になった。


 協会のおかげでロトンドや他の商人たちは足並みを揃えて商売をする事ができるようになったのだ。さらに各地で自由に活動していたハンターたちがまとまり魔物や盗賊の討伐を引き受けてくれるようにもなった。


 おかげで森の通り道などをロトンドたちは怯えて進まずに済むようになった。

 おまけに護衛を雇う金も浮かす事ができて、酒場に居られる時間が増えたのだ。


 ロトンドは腕を組んでここまで勢力を拡大した協会のトップが何者か考えてしまう。


(私が思うに……きっと、貫禄のある初老に違いない。そうでなければ、ここまで素早く組織を作ることはできないはずだ)


 考え込む主人を横目に助手のエジレが楽しそうに揺れながら、一人の青年を話題に上げた。


「でも、森を安全に通れる様になったのは、ほとんど彼のおかげですよね。えーっと、確か、鳥、鳥……」


 エジレのなかなか出てこない言葉に痺れを切らしたロトンドは眉を上げる。


「鳥使いサウザー・ピジュン……」


 正解を言ってもらえて嬉しそうに叫ぶ。


「そう! 彼のおかげで街の治安は良くなりました」


「おかげで、得体の知れない鳥がそこらじゅうに飛び始めたがな……」


 ロトンドは皮肉混じりに言う。

 街で探せば一匹は見つけられる黄色い鳥。


 ピリピリと電気を纏い、輝く雷鳥は街や周辺の森を見守っている。もし、事件や異変が起きた時、すぐに知らせてくれるのだ。


「全く……魔法ってのはたいそう便利な物だな」


 まだ、子供の鳥使いが活躍する事が面白くないとロトンドは馬車に寄りかかる。

 常に機嫌が悪そうな主人を助手のエジレは宥めた。


「まぁまぁ、そのおかげでこの道も安全に通る事が出来ているんですよ。いいじゃないですか」


「だからと言ってのんびり進むのは話が違うだろ!」


 ピシャリと怒られたエジレだが、気にする素振りも見せず笑い出す。

 あと、もう少しで港に辿り着く。


 彼らの旅もひと段落着くことが出来たはずだった。


 笛が響く様な音が一瞬、聞こえる。


 森の隙間から何かが飛んで来た。


 次の瞬間、エジレの喉に矢が刺さる。


 何が起きたのか、二人は理解できなかった。ただ、互いに目を合わせて驚く。


「……?」


 常にヘラヘラと笑っていたエジレは、驚きと恐怖が入り混じった苦笑いを浮かべる。

 糸を切られた操り人形の様に彼は倒れて、馬車と言う名の舞台から姿を暗ます。


 大きな岩に折り上げ、馬車は揺れる。


 いなくなった助手をずっと見ていたロトンドだったが慌てて、手綱を握ろうとした。だが、もう手遅れだ。


 彼が手を伸ばそうとした。その時、二本目の矢が風を切る音と共に馬のお尻に突き刺さる。

 苦痛をもたらす薔薇の様な棘が付いた矢は、すぐに馬を狂わせた。


 高いうめき声を上げて、馬は猛スピードで走り出す。

 急げ急げと喚いていたロトンドだったがこんな事は望んじゃいない。


 必死に手綱を握って抑えようとする。しかし、あっちこっちに向かって逃げ出したい馬は、馬車を揺らしてとうとう近くの木の横を通ってしまう。


 馬よりも大きな馬車は避けきれずにぶつかり横転してしまうのだった。


「くっそ……どこのどいつだ? 俺たちを襲ったのは」


 馬車から放り出されたロトンドは体のあちこちの痛みに堪えながら目を覚ます。

 突然の襲撃に怒りが込み上げてしまう。しかし、襲撃はまだ終わっていなかった。


 地面を這うロトンドの手のひらに突然、矢が深く突き刺さる。


 植物の様に紫がかった矢で馬に撃ったものと同じ、薔薇の様な棘が付いていた。

 森の通り道、襲撃にあったロトンドは、耐えきれない苦痛に悲痛な叫びを上げる。

あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。

どうも、あやかしの濫です。

リトラルは恐らく二番目に平和な国ではあったのですが、組織やソロハンターも多く縄張り争いての様な状態でぎくしゃくしてました。他にはずる賢い盗賊もいて大変だった時代が合ったみたいです。

「リトラルの鳥使い」面白かったらぜひ、ブックマーク高評価をお願いします。

また、お気軽に感想など書いて言って下されば励みになります。


他作品も書いていますのでよろしければ、そちらも読んでいただけると嬉しいです。

よろしければ、X(Twitter)のフォローもお願いします。

https://x.com/28ghost_ran?s=11&t=0zYVJ9IP2x3p0qzo4fVtcQ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。