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閑話に便利なゴブリンたち

 俺に角を折られた魔族が、一斉に倒された。


 こんなことができるのはフォーボスだけ。とはクロエの言葉だ。


 仇の魔族は黒い牛鬼で角が四本。図体もデカいらしい。


 問題は標的の居所である。流浪型の魔族だそうだ。


 どこにいるのかさっぱりわからん。クロエも痕跡を追ってあと少しのところで手がかりが途絶えてしまうとか。


 手を伸ばせば消える。まるで蜃気楼だ。


 どうしたもんか。


 脳筋な俺の出した結論は――


「手当たり次第に魔物や魔族殴ってりゃ、そのうちあっちから出てくんだろ?」


 人としてアレな台詞だとは重々わかってるんだが、他に手がねぇんだよ。


 町から徒歩五分の森に向かった俺たちは。目が合ったというだけで襲ってくる魔物やらゴブリンやらゴブリンやらゴブリンにゴブリンなどを張り倒していった。


 この地域、ゴブリン多くね?


 俺一人の時と違って、ちょっと目があったくらいじゃ逃げなくなった。まあ、情報を集めるのに逃げられるよかよっぽどいい。


 あらかたぶっ飛ばして最後に残ったゴブリン集団パート3のリーダーを、銀剣が追い回した。


 あと少しで逃げ切れるという寸前でクロエの鎖が捕縛する。


 ゴブリンリーダーの表情が絶望一色に染まった。


 ずるずると引きずられるゴブリン。


「嫌だあああああ! 死にたくない! 死にたくなーい!」


 俺は鎖で拘束されたゴブリンの元に向かう。クロエが「もういいだろう。逃げる気すら起こるまい」と、束縛を解いた。


 拳を握ってポキポキ指を鳴らし告げる。


「最初に言ったよな。ちょっと聞きたいことがあるって。ここいらに魔族はおらんのか?」


「ひいいぃ! ここら辺の魔族はみんな魔族狩りの銀髪男に……ま、まさかあんたが!?」


「だったらどうだってんだ?」


「許してくださいなんでもしますから!」


「今、なんでもって言ったな? よし俺と友達になれ」


「死んでも嫌ですうううううう!」


「そんな悲しいこと言うんじゃねぇよ! 俺たち友達だろ?」


「わかりました友達というなら殴ってください! ひとおもいにぶん殴ってください! 友情とは河原での殴り合いで育まれるものなんです!」


「お、おう……くらえ友情の拳ッ!!」


「友情万歳!」


 ゴブリンリーダーの左頬に拳を叩きつける。小鬼はぶっ倒れて動かなくなった。


 我ながらむごいことをしたと思う。


 こんなんで会話が成り立つのも、イヴとクロエの魔印と聖印が俺の威圧感を中和してるからっぽい。


 ちらりとイヴを見ると、俺がぶっとばしたゴブリンを指でつついて「最初から素直に情報くれたらよかったのに。これからは額に十字傷のある銀髪灼眼の悪魔に出会ったら、即全裸土下座で情報を差し出すようにって、お友達にも広めてあげてね。それでみんな幸せになれるから」と、吹き込んでいた。


 お前……というか、俺が言うな案件だが言わせてくれ。ゴブリンはそれで幸せになってるんだろうかと。

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