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四捨五入すればハーレム

 俺は首をかしげる。


「つーか、お前は女神教団の人間なんだろ? 魔族とか大丈夫なのか?」


「雑魚に用は無い」


 だそうだ上級淫魔様。


 イヴの角が三割増しで大きくなった。


「だ、誰が雑魚よ!?」


「どーどー。落ち着けイヴ」


 まあ、実際のところずっとリンに封印されてたし、さっきのカブトムシ魔族とも戦えてなかったもんな。


 クロエがカウントを始めた。


「ではあと三秒以内に願いを言わなければ、すべてを無かったことにしてそちらも水に流すのだぞ。三……二……一……」


 とっさに口が開いた。


「友達になってくれ」


「……ふむ……ふむ? 先ほどのアレは悪い冗談ではなかったのか?」


「どうなんだ? 俺の願いは叶うのか?」


 イヴはいつも通り反対……するかと思いきや、玉虫色の瞳でじっとクロエを見つめてから頭を下げた。


「お、お願いクロエ! ダーリンずっとぼっちだったから!」


 青い瞳からスッと力が抜けた。


「いいだろう。お友達から関係を始めようではないか」


 途端にイヴがクロエに殴りかかる。


「うるあああああああ! お友達はいいけどそこから発展させるんじゃねえええええ!」


 両手をグーにしてポカポカとクロエの胸を叩く。が、バインバインと跳ね返された。


 にしてもイヴのやつ人格変わっとるぞ。なんか俺に似てきてないか?


「わかったわかった。宿敵と書いて友と読むようにするから安心するがいい」


 涙目駄々っ子パンチをすべて受け止めてクロエは小さく息を吐く。そのまま黒衣の教団職員は俺の顔を指さした。


「友達になる以上はお互いに気持ち良い関係でありたい。だからクロエ可愛いって言って」


「はぁ?」


「言え」


 圧がすごいはイヴが顔面しわくちゃにしながら首を左右に振って訴えるは、右手で押さえてないとリンは暴れるはでどうにかなりそうだ。


「わかった。クロエもイヴもリンも可愛いぞ」


 三人が大人しくなる。イヴは泣き顔が笑顔になり、リンは俺の手を離れると自ら地面に落ちたさらしにくるまり始めた。


 チョロい……のか?


 言わせたクロエも伏し目がちになる。


「こ、こちらとしても魔族を支配し聖力を秘めた銀剣を持つ貴様には興味がある。友達というていで、しばらく監視下に置かせてもらうぞ」


「監視対象に堂々と告知していいのかよ?」


「私からの友情の証と思って、この情報を受け取るが良い」


 友情かぁ。思ってたのと違うなぁ。違うことばかりだ。


 とはいえ―― 


 やったね俺! 友達(変人だけど)ができたね!



 ◆



 山の上の古城にて、イヴからリンを引き抜いたのを皮切りに、あれよあれよという間に周囲が賑やかになってきた。


 女神教団の職員と一緒にいれば、周囲から変な目で見られることも少なくなるに違いない。


 と、思ったのもつかの間である。


 俺の噂にまた一つ尾ひれがついた。


 女神教団女性職員を一人で二本差しにしたダリン。


 出火元は恐らく、一旦戻って俺の無実を晴らしてくれた巡礼者の女だろう。


 解いた誤解以上の噂を広げるんじゃねぇよ!

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