金! 聖剣(暴力)! サキュバス!
こうして夜は更けていき――
翌朝、無事に目が覚める。隣にイヴの姿がない。右手を見ればリンも消えていた。
体を起こして部屋をぐるりと見渡すと、壁にイヴが磔になっている。
白い石像状態だ。その腹を銀の刃が貫いていた。
「なんで元に戻ってんだよッ!」
部屋の中は嵐が過ぎ去ったあとみたいに荒れ放題。
銀剣がそこかしこを切りつけた痕跡が生々しい。凄惨な事件現場じゃねぇか。
説教してやらんとな、こりゃ。
◆
イヴが床に正座して釈明する。
「ダーリンの掛け布団になろうとしただけなの。朝晩は冷えるし風邪引いちゃうかもって思って」
銀剣も床に伏せて置かれたままだ。オーブは光らない。だんまり(?)である。
「で、リンと喧嘩になって負けたんだな」
「ま、負けてないし! 引き分けよ!」
俺はリンに視線を落とした。
「お前もお前でやりすぎだぞ。おでこペチペチくらいにしてやってくれ」
柄の端の水晶球が青く光る。不服っぽいな。
イヴがそっと挙手をした。
腋の下を隠して胸隠さず。全裸は淫魔の正装だが腋は恥ずかしいですかそうですか。
「ダーリンに質問があります」
「はい、イヴさん」
「さん付けとか他人行儀な。ええとですね、ダーリンが我慢できずに、あたしを襲っちゃうのはOKですか?」
「まあそれは……」
同意の上ということになる。綺麗だし魅力的だが、中身の残念さのおかげで理性を保てているのが現状だ。
イヴはぎゅっと拳を握る。
「わかりました。ダーリンに好きになってもらえるような、いい女になって進ぜよう」
「進ぜようじゃねぇよ」
「あはんツッコミきもてぃいい♪」
残念美人サキュバスめ。この調子ならまあ、そういうことは起こるまい。
「じゃあ町に戻るぞ……」
言いながら俺は部屋の中を物色した。
金貨が無難なので詰められるだけ革袋に詰めてパンパンにする。
イヴがジト目になった。
「ちょっとダーリンなにしてんの?」
「なにって冒険者なんだから戦利品は持ち帰るだろ普通」
「あっ……うん……」
「文句あんのか?」
この城の持ち主からすれば押し込み強盗。堂々もらっていく俺も俺だが、冒険者ってのはそういう仕事だ。
「ななななないわよ! ダーリンに全部捧げちゃうつもりでいたし。っていうか全然持ってっていいから! いくらでも持ってって! むしろ奪って!」
動揺すんな。怪しすぎるだろ。
金貨を一枚手に取ってみる。
見たことも無い刻印だ。ルヴェリア聖王国のやつじゃねぇな。とりあえず奥歯で噛んでみると、純度が高いのか柔らかいし、鉛にメッキした偽物でもなかった。
どこかにIFストーリーがあるらしい




