37
向けられた背中がとても疲れきっているように思えて思わず声をかけた。
「無理しないでください」
泣きそうな弱弱しい声で呟く。
「泣いただろう お前。帰りたいんだろう」
「だからって、そんな無茶・・・・」
「どうってことはない。こんなの無茶なうちに入らない」
「でも・・・」
「気にするな。俺が勝手にやってるだけだから」
「うー」
顔を見ずに話していたが後ろから泣き声が聞こえてき、びっくりしてシェイナの方へ振りかえった。
「おっ、おい。なんで泣く」
ゆっくり頬に流れている涙をぬぐいながらシェイナの目線に合わせるようにしゃがんだ。
「私、私、、」
「ん?どうした?」
「私、おかしいんです」
「おかしいって?」
「私、確かにこっちの世界にきてしまって、私の周りの人達みんな心配してるだろうな。とかみんなに会いたいな。とか思ってたんです。でも・・・・・」
「でも?」
「私、私は、今はティアスのそばにいたいんです」
「シェイナ・・・」
抱きしめて自分だけの物にしたい衝動にかられる。
だけど、いまここでシェイナの思いに答えてしまったら、シェイナに故郷を捨てさせるという選択をさせることになってしまう。
それに自分を選ぶということは、必然的に王妃という立場にシェイナを置いてしまうという話にもなってしまう。
そんなつらい思いをさせたくなく、ゆっくりとシェイナを傷つけない言葉を紡ぎだしていく。




