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クズで無能な勇者が有能な仲間たちをパーティ追放しまくるお話  作者: 耳垢の一
盗賊シフティを追放!
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盗んだのお前だろ!俺がやれって言ったけど

俺は勇者レフ。


前回はマナトの卑劣な裏切りによりモンスターに敗北を喫してしまった。

俺たちはそれに対抗すべく、以前城に呼ばれたときにシフティと共に盗んだ魔石の魔力を浴びることによって大幅にステータスが上昇。

さらに盗んだ金品で装備を買い替え、Dランクモンスターを瞬殺できるほどの強さを得た。


見たかマナト!

貴様ごときに止められる俺たちではないんだ!

はっはっは!



ところで今俺たちは再び城にやってきている。

王様に呼びつけられたからだ。

きっと褒美でもくれるのだろう。


「うむ、お主らに来てもらったのは他でもない」


「なにをくださるのですか?」



「くださる?何か勘違いをしておるのう。ワシはお主らに聞きたいことがあって呼んだのじゃ」


は?褒美がもらえるから呼ばれたんじゃねえのかよ。

無作為アンケートの対象に選ばれただけってか?


「聞きたいこと、とは?」


「実はじゃな、先日お主らを城に入れた後、国宝指定石『巨峰(センテニアル)』がなくなっておった」



巨峰(センテニアル)』とは、昔王国が国宝に指定し、城で保管されていた巨大な魔石である。

最近どっかで見たような気がするな。

ああ、そうだ。俺たちはあれの魔力を浴びてパワーアップしたんだった。

魔石はそのときに消滅したんだったかな。



「いえいえ、さっぱりわかりませんよ。見たこともありません」


「レフ!それってこの前俺たちが……モガモガ」


俺はシフティの口を抑えた。


「黙ってろシフティ。俺たちが国宝を盗んだことがバレたら終わりだぞ」


「お、おう」


「ミルソンとアリナンも、あの宝石のことは内緒だぞ」


「承知いたしました」

「わかってるって」


本当に大丈夫かこいつら。



「ふうむ知らぬと申すか。しかしその日城に来たのはお主ら勇者パーティだけじゃ。『巨峰(センテニアル)』を置いてある部屋の前には屈強な見張りと(トラップ)をつけておるから、それを掻い潜れる能力を持つ者はお主らくらいにおらぬと思うてな」


「王様。お言葉ですが、私たちは勇者パーティとはいえまだDランク相当。屈強な見張りの目を欺き大きな石ころを盗み出すのは不可能です」


「ふむ?お主らは先週Cランクではなかったかな?」


「私たちがCかDかは今は些細なことです。それよりも犯人を捜すことが先決ではないでしょうか」



まずいな。

俺たちに探知魔法で『巨峰(センテニアル)』の残り香を探られたらあっさりバレてしまうだろう。

その前に誰かに容疑をなすりつけるのが望ましい。


だが俺たちのほかに城に来た者がいない以上、俺たちに疑いの目が向くのは必然だ。

出入り可能だった兵士らには既に探知魔法や自白魔法による調査が行われているだろうから、

容疑のなすりつけは不可能。


と、なると外部犯ということにすべきか。

いやしかし……。



「レフ殿。以前より気になっていたのですが、そちらの御仁は名高い盗賊シフティではないでしょうか?」


「なに?ミハイレスク、それは本当か!盗みの名人である盗賊をパーティに入れているということは、やはりお主ら勇者パーティが怪しいのう!」


騎士団長め、余計なことを!

王の前でシフティが盗賊だとバラすとは!


「うっ。ど、どうするレフ。俺が盗賊だとバレちまったぜ!」


うるせえな。

盗賊はこの世界では一般的な職業だろうが!


いや、まてよ?

これは逆に使えるんじゃないか?



「な、なにっ!シフティ!お前盗賊だったのかよ!知らなかったー!!」


俺の一世一代の迫真の演技である。


「えっ!わ、(わたくし)としたことが!気づきませんでしたー!!」


「わ、私も知らなかったわー!あっ!私の下着がなくなってたのもまさかー!!」


ミルソンとアリナンも追随する。

そうだ、それでいい。

俺たちは被害者なんだ。


「は!?俺が盗賊だってみんな知ってただろ!!つーかお前らめっちゃ棒読みだな!!」



「これはどういうことじゃ?まさかお主らも被害者じゃったのか?」


王様チョロっ。

こんな猿芝居に、まあいい演技を続けよう。


「シフティは自分が短剣使いだと嘘をついてパーティに入ってきたんだよなー!!」


「パーティの資金の計算に齟齬があると思ってはおりましたがー!!」


「まさか、盗賊だったとはねー!やられたわー!!」


見ろ、俺たちの迫真の演技を。

これで信じぬ者はいまい。


「いやいやいや、棒読み!お前ら!」


だが見てみろ、王は信じたみたいだぞ。



「ミハイレスク!今すぐシフティに探知魔法を使うのじゃ!」


「……直ちに。探知魔法『探知淡々(タンチッチ)』‼︎」


相変わらずダサい魔法名だ。

騎士団長が探知魔法を唱えると、

シフティの身体から出た魔力がピンクの煙状になり、

巨大な宝石のイメージを作りあげた。


「陛下、『巨峰(センテニアル)』摂取後の体内残留魔力が付着しておりました」


「やはりそうであったか!皆の者!このならず者を引っ捕らえよ!」


国王の命令と共に周りに待機していた兵士がシフティへ飛びかかった。

捕らえられたシフティは慌てて取り繕った。


「お待ちください国王様!俺は嵌められたのです!真実をお話ししましょう!この盗みは実は……!」


やはりな、

俺たちの関与を話す方向でくるか。

クズの考えそうなことだ。


「アリナン、急いでシフティの口を封じるんだ」


「まかせて。召喚魔法『虫歯菌召喚(アンチデンタル)』」



虫歯菌召喚(アンチデンタル)』とはアリナンが使える召喚魔法の一つである。

対象者の口内に虫歯菌を召喚し、その者を痛みでしゃべれなくしてしまう。なんともエグい魔法だ。



「うっ、ふがぁふがぁ、いふぁーい!」


シフティもご覧の有り様だ。

泣きそうになってる。ウケる。


「陛下。この賊わけのわからぬことを!」


「構わぬ!早く牢へ入れい!!」


「はっ!」


シフティは縄で縛られ、ズルズルと地下へ引きずられていった。



「王様!申し訳ありません!まさか仲間に裏切り者がいたとは夢にも思わず……!」


「うむ、気にするな。お主らも被害者、謝るのはワシの方じゃ。疑って申し訳なかった」


「そう言ってもらえると、励みになります。今後はこのようなことがないよう、精進します」


俺は深々と頭を下げた。




「ねえ、ほんとにやっちゃってよかったの?」


アリナンが聞いてきた。

あんなにエグいことやっといてよく言うわ。


「シフティは盗賊だから素早さが少し高いくらいでそんなに強くはない。何も問題ないさ」


「おっしゃる通りです。シフティ様の役割であった(トラップ)の発見も(わたくし)の『鑑定』で事足りるでしょう」


「そういうことだ。全く問題なし!」




…………

………

……

 


その後、俺たちが城から出るときに、俺にこっそり話しかけてきたのは騎士団長だった。


「レフ殿。『巨峰(センテニアル)』を盗んだ主犯格、本当は貴方なのですね?」


「ふん、根拠もねえ癖に何だよ。それとも、何か?俺たちを王に突き出そうってのか?」


「いえいえ、私にも立場というものがありますから。貴方を勇者に推薦した立場が」


「だったらなんだ?金が欲しいのか?ほらやるよ、くれてやる」


俺は金貨数枚を床に投げつけて、城を立ち去った。



「まったくあいつは……。金貨も案の定偽物だし」

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