偽勇者を追放した俺たちの末路
俺は勇者レフ。
前回、俺たちはパーティの足を引っ張っていた偽勇者マナトを追放した。
嘘をついて勇者を名乗るなんて許せねえよな。
恥を知れ恥を。
というわけで勇者パーティーには新たなメンバーとして召喚師のアリナンが加入した。
彼女は優秀な召喚師で、国王の計画する大規模召喚のために王都へ召集されていたのだが、マナトの一件で大規模召喚がポシャったせいで路頭に迷っていた。
それを俺が拾ってパーティに勧誘したのである。
マナトの被害者がこんなところにも。
それはさておき、俺たち勇者パーティはレベル上げを兼ねてDランクダンジョンに来ているのだが……。
「なんだあっ!?いつもよりモンスターが多いぜ!」
「これではレベル上げどころではございません!」
「ええっ!勇者パーティってDランクで苦戦してるの!?」
散々だ。
「なんで俺たちはDランクモンスターごときに苦戦してるんだよーー!!!!」
「毎週ランクが1個ずつ下がってねえか!?」
まあいつものやつだが。
おかしい。
マナトの本当のステータスは一般人未満。
あいつがいなくなっただけで苦戦するはずがない。
それにいつもよりモンスターが多い。
いくら俺たちが強くても、これでは多勢に無勢だ。
「レフ様!ここは撤退なされた方が賢明です!」
「わかってるよ、んなこと!シフティ!脱出する技を使うんだ!」
「すまん!今モンスターの対象で手が離せねえ!」
それは全員そうだろうが。馬鹿が。
「じゃあミルソン!鑑定で逃走経路を!」
「申し訳ございません!私たちを取り囲むモンスターの数があまりにも多く、逃走経路の構築が不可能でございます!」
お前ら毎週使える逃げ技はねえのかよ。
「アリナン!お前は逃げる技ねえのか!」
「あるにはあるけど、使っちゃっていい?」
「一刻を争うんだ!早く使え!行き先は王都の宿屋だ!」
「OK!召喚魔法『被召喚陣』‼︎」
『被召喚陣』とはアリナンの持つ召喚魔法の一つ。
通常、召喚魔法とは『召喚陣』と呼ばれる魔法陣から精霊やモンスターを召喚するものであるが、
この『被召喚陣』は逆で、人間が魔法陣に飛び込み、行きたい場所に召喚されるのだ。
召喚魔法を極めたアリナンにしかできない芸当と言えよう。
〜魔法陣の中〜
「なあアリナン。なかなか宿屋に着かないんだが」
「『被召喚陣』は結構時間がかかるのよ。そのうち出られるから大丈夫」
「そのうち、とは。到着のご予定はアリナン様にもお分かりにならないのでしょうか」
「うん。いつ着くか全然わかんない」
何その不便すぎる魔法。
もう二度と使わん。
「そんなことより、なんで俺たちはDランクモンスターに苦戦しちまったんだよ?」
「妙ですね。昨日までは簡単に倒せるモンスターでしたし、マナト様が抜けたのでパーティの平均ステータスも上がっているはずですが」
「あれ?じゃああなたたちが弱いわけじゃないんだ?」
まあ皆が疑問に思うのも無理はない。
俺には大体目星がついているがな。
「俺たちのステータスは上がっているのに、モンスターに苦戦している。だったら答えは一つ。あのモンスターは本当はDランクではなかったんだ」
「なんだって!?どういうことだよ!」
「私には普通にDランクのモンスターの強さに見えたんだけど……?」
「私の『鑑定』の結果もDランクモンスターだったように存じておりますが……」
「そう。普通の『鑑定』では見破れない。つまりモンスターのステータスが偽装されていたんだろう。それができるのはユニークスキル『ステータス偽装』を持つマナト以外に存在し得ない」
「た、確かにその通りです!マナト様が関与していたと仮定すれば全て辻褄が合いますね!」
「待てよ、ミルソンの『鑑定』では『ステータス偽装』を打ち破れねえのか?」
「シフティ。この前のことを思い出せ。『ステータス偽装』を打ち破れるのは『鑑定・強』だ。あれは結構な労力と時間を要するので戦闘時には使えない」
『この前』とは2話前だ。
既に忘れている読者の方はもう一度2話前を読むことでこの作品のPVが増えて書籍化に近づきます。
「国を追われたマナトは、おそらく魔王軍に拾われたのだろう。そして俺たち勇者パーティの情報、よく行くダンジョンなどを横流しして、Dランクモンスターに偽装したSランクモンスターを送り込んだに違いない」
「じゃあ、みんなは本当は強くて、そのマナトって人が悪いってこと?」
「そういうことだ」
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そういうことではない。
モンスターの中には、『鑑定』『気配察知』『野生の勘』等のスキルで危険を回避するものがいる。
常に『ステータス偽装』で高ステータスだったマナトの存在が、そういった慎重派のモンスターを遠ざけていたのだが、マナトがパーティから抜けたことによって慎重派のモンスターが一挙に襲ってくるようになった。
これがモンスターが増えていた原因である。
俺たちが苦戦したのは、マナトが加入して以降そういったモンスターを相手にする機会が失せていたからだ。
今まで俺たちはマナトのステータス偽装によって護られていたのである。
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「ところで俺たちはまだ召喚陣の中にいるわけだが、本当にいつ出られるんだ?」
「うーん。私たちが出られるのは誰かが王都の宿屋で召喚魔法を使ったときだから、結構先だよ」
「はあ!?王都の宿屋で誰かが召喚魔法を使ったとき!?そんなのあるわけねえだろ!!」
「ではどなたかが召喚魔法を使わない限り私たちは永久にこの召喚陣の中に居続けるということですか!?」
「俺たち一生出れねえじゃねえか!」
「だって使えって言われたし……」
数日後、
運良く王都の宿屋に召喚師が泊まって召喚魔法の練習をし、俺たちは飲まず食わずでボロボロになった状態で発見されたのであった。




