使命
遅くなってすいません。
少し予定が立て込んでおりまして、なかなか執筆の機会が恵まれなかったんですよ。
まあ、取り敢えず第23話、どうぞお読みください!
エルガが目を覚ますと、周囲は灰色一色に染まっていた。そしてエルガは、以前に一度、ここに来たことがあった。
そう、エルガを『テコル』に転生させた原神の神域だ。
そこまでを数瞬呆然としながらも理解したエルガは、『無限思考』、『高速演算』を併用し、100まで増えた思考を加速させ、現在の状況を『解析』も交えながら考察し始めた。
(まず、直前の記憶……『百魔のダンジョン』50階層の通路で寝ていた。当然、死んだ訳では無い。次に現在の状況……原神の神域に何故かいる。何故かは不明。ステータスは……、開かない、か。周囲の空間の『解析』は……一部しか不可。その一部にしたって『原神の神域』しか分からない。やっぱりここが『テコル』じゃないから『解析』も使いにくい。取り敢えず、ここの世界との接続を構築っと。そして僕自身に『解析』をかけてっ……て、何これ!?)
増えた思考の七割を使い、『原神の神域』という名の世界に『解析』をかけ、そのあまりの情報量の少なさにエルガは呆れた。『無限思考』を入手する前までならば演算能力と思考の限界という壁があったせいで、『解析』を世界の繋がりに頼るしか十全に扱う方法は無かったのだが、『無限思考』を手に入れてからは二つの壁のうち思考の限界を無数に増やすことで己の技量だけで完全に『解析』をすることに成功したのだ。それなのに『原神の神域』はろくな解析ができず、多分わざと見せたのであろうことしか分からなかったのだから、改めて格の差を思い知ったのだ。しかし、エルガは『解析』と解析システムを強引に繋げることで情報の秘匿を解除しようと試みた。が、それは失敗に終わり、ならばと自分の情報を『解析』していった。そしてエルガは驚愕した。何故ならば……
─────────────────────
『仮初の器』
原神が作成した、魂の仮初の器。原神自身の◼◼を材料にしているため、原神の意志自体で殺傷可能。
特性:『自在殺傷:原神』『破壊不可』
─────────────────────
このようになっていたからである。が、解析結果を知りつつも、エルガ自身に驚愕はあれど焦燥はなかった。原神は自分を殺さないだろうと、ある意味では信頼していたからだ。(最も、原神がわざわざ加護を与えた存在を消すはずがないと、半ば確信もしているのだが。)
「うんうん、結構ステータスシステムにも慣れたみたいだね〜。しかも考察もだいたいあってるしね〜。」
その言葉とともに、原神が突然と現れた。エルガの360度ある視界でも突然現れたかのようにしか見えず、まるで瞬間移動したかのようにエルガは感じていた。
しかし、この空間は原神が作ったものなのでエルガはそこまで驚きはしなかった。たが、エルガは別のことで驚いていた。勿論、思考を読まれたことに対してだ。
エルガがそのことに対して疑問を浮かべると、律儀にも原神は答えてくれた。
「それはね〜、君が入ってる器が元々僕の力の一部で作られたものだからね〜。つまり〜、僕の支配しているものに君を入れたんだから思考くらい読めるっていう寸法だよ〜。」
そしてエルガは納得した。そして、それと同時に神というものに対して僅かながらの畏れを抱いた。原神の口ぶりからして、他の神でもできるような言い方だったからだ。
そんなエルガを置き去りに、原神は話を進めた。
「悪いけど今回は時間制限付きだからね〜。早めに本題に入らせてもらうよ〜。まず〜、なんで君がここにいるかだけど〜、君に僕の眷属としての初めての使命を与える為だよ〜。」
その言葉で、エルガは少々警戒心を上げた。原神の眷属としての指命。その言葉が今のエルガには重く感じられたからだ。
そもそも、エルガは魔物としての格は特異種なのでそこそこ高いのだが、ステータス値だけを見るならば一般男性の10倍と、あまり強くない。10倍と聞けば強く感じられるものだが、多少レベルアップすれば人でも簡単にたどり着ける領域。今まで戦えてきたのは固有能力が強力だったのと攻撃を当てにくい小ささがあったからだ。
そのため、その使命の内容次第では死を覚悟しなければいけないと考え、緊張していたのだが、原神はこれもお構い無しと言葉を続けた。
「使命の内容は〜、邪神の討伐〜。」
(……ッ!?)
「お〜、気付いたみたいだね〜。そうだよ〜、君を苦しめてきた邪神の討伐だよ〜。」
でも、と、原神は言葉を続けた。
「君は弱いからね〜。多分今のままの君だと〜、邪神の気配に当てられただけで死んじゃうんじゃないかな〜?」
と、原神はどこか憂うようにそう言った。
当然、エルガとしても自身の弱さは自覚していたが、こうもはっきりと言われると悔しさで歯がゆい気持ちになった。しかし、そこで足踏みしていたらいつまで経っても強くなれないとは何となく分かっていたので、打開策を模索したりもしていた。その一つが魔法であったりするわけだが、ここでは置いておく。
そして、エルガ自身が可能性を感じているものがもう一つあるわけだが、それが……
「薄々君も感づいてるんでしょ〜?詳しくは自分で知ってほしいから言わないけど〜、アレは僕の眷属にしか与えられない特別なモノだからね〜。」
(……確かに、アレは他のモノの中でも異彩を放ってたし、あの1回でも滅茶苦茶な結果を引き起こしたからヤバイものなのは知ってる。そして、同時に可能性も。でも、全然『解析』ができないんだけど……。)
「それは当然だよ〜。そもそも〜、アレは持ち主の能力で絶対に秘匿は解除できるように出来てるから〜、ただただ愚直に解析していったんじゃ無理に決まってるでしょ〜?もっと能力の使い方を工夫しないと秘匿の解除すらできないよ〜?」
そしてその言葉と同時に、エルガは急に眠気を覚えた。
「おっと〜、もう時間だったね〜。じゃあいいか〜い?取り敢えず君が手っ取り早く強くなるにはアレを使うことだよ〜?そして、十分に強くなったら邪神討伐ね〜?と言っても〜、邪神が『テコル』に着くのは大体1、2年後だからね〜。その間に強くなんないと〜、君は死んじゃうよ〜?あと〜、邪神討伐は絶対ね〜?君自身でさえ気付いてないかもしれないけど〜、ソレのためにも〜、ね〜?じゃあ、頑張ってね〜。」
その言葉を最後に、エルガの意識は暗闇に閉ざされていった。
◆◇◆◇◆◇
「……クックックッ……グフッ……フハハハ、種が芽吹きましたか!そう、それでいいのです!さあ、早く!速く!疾く!はやくそちらに行きなさい!そうすれば、私は…………!」
暗闇の中で、一人の美青年が叫んだ。
それは、未来が確定した事への賛美。
それは、燃え上がる情熱。
それは、濁りに濁った、欲望を超えた慾望。
そして、確定未来の為への第1歩。
芽吹いた芽は最早止めること叶わず。
人知れず、葉を増やし、茎を伸ばし、根を広げ、花を咲かせ、実を実らせる。
撒かれた種は、悠久を生きし存在の感知を掻い潜り、そして何時しか花を咲かせる。
その花が希望となるか、それとも絶望となるかは、まいた本人でさえ知らない。
何故ならば、絶対的な未来は観ることは出来ないため。
しかし、至高の存在の預かり知らぬところで咲いた花は、
撒いた本人の希望へと、
そして、
撒かれた種と周囲の者への絶望となって、
何時しか降り注ぐ。
その未来が、訪れることを知っているのは、
現在ではこの男1人である。
そして、暫くの間は暗闇の中で断続的な笑い声、いや、嗤い声と、痛みに呻くような声が、度々響いた。
雰囲気壊すようで悪いのですが、こんな感じでいいのでしょうか?シリアスってどう書けばいいのかよくわからないので、拙い文になると思いますが、暖かい目で見てくれれば幸いです。
次回も一週間後に投稿できればと思っております。
ポイント、評価、感想、誤字報告どうかよろしくお願いします。
ちなみに『アレ』って単語で『アレ』の正体わかっちゃった人いました?わかった方はどうか心に秘めてくださいお願いします。拙い文章ですのでバレバレだとは思いますが……。




