不幸なゴブリンキングと経験値の考察
スライムキングを倒し終え、紆余曲折を経ていつの間にか出現していた階段を降りていくエルガ。降りる途中、何故スライムキングに対して『毒究明』を使用しなかったのかと自問自答したが、次から使用すればいいと結論に達したため、それ以上考えることをやめた。
そして階段を降りきった先には、15メートル程の奥行の通路と、ボス部屋に通じる扉があった。
固有能力『解析』でその奥にはゴブリンキングが待ち構えていることを知っているエルガは、どのように立ち回るかを検討し始めた。
(多分、さっきの戦いで苦戦したのって、『解析』でステータスを見てたのと魔法の準備に意識を割きすぎてたからだよね?でも、『無限思考』があるからさっきみたいには成りにくいだろうし、今度は『毒究明』を使うから一瞬だろうな……。)
そう思考した通り、エルガは『毒究明』の力を使えば瞬殺に近いことをできるだろうという確信があった。忘れていたのは、魔法の練習ばかりしていたので意識の外に追いやられていたからに過ぎない。
(となると作戦は、『解析』でステータスを除くと同時に『毒究明』で作成された専用毒を液体にして出す。そしてそれを水魔法で操ってぶっかければおしまいかな?)
そうと決まれば、と、エルガは素早く移動し、扉を開け放った。
◆◇◆◇◆◇
そこに居たのは、筋骨隆々の、スキンヘッドで体長が2メートル近くある大男だった。
但し、肌の色が緑色で、何かの毛皮の腰布しか着用していないと注釈はつくが。
その姿を見て、エルガは事前に抱いていたイメージ──ぶくぶく太り、頭に王冠を載せ、玉座にふんぞりがえっている緑色の人形の化物──とはかけ離れている姿に一瞬呆けてしまった。が、冷静を心がけていた『無限思考』により増えた思考が『解析』を使用し、『毒究明』で専用毒を液体状の水球にして生成した時点ではっとして水魔法でそれを操り、一気にゴブリンキングへと浴びせた。
今回使った毒は『ゴブリンキング専用溶解毒』。無意識のうちに最も効果が高そうなものを選んでいた。
『毒究明』の毒は、『~専用〜毒』と表示される毒の方が使用した際の威力が高い。しかし、専用の毒であるので対象外の生物に対しては効果が無いというピーキーなモノである。
そして、今回使った溶解毒は、その名の示す通り相手を跡形も無くとはいかずとも、体を構成している物質を溶かす毒である。更にゴブリンキング専用なので、その効果はゴブリンキングに対してだけはとてつもなく大きい。その結果ゴブリンキングがどうなったかと言うと。
「1ヶ月生の肉を室温で放ったらかして奇跡的に蛆がわかなかったものに50パーセントの塩酸をかけて一日放置した結果」とも言うべきものに早変わりした。
(うぇ、この結果はちょっと……。でも……おかしい。レベルアップしない……。しかも、人形の生物を殺しても何も感じない……。これは前世と精神構造から違うのかな?まぁ、それはいいとしても、やっぱりレベルアップしないのはなんでだろ。)
ゴブリンキングが死んでから早数十秒。エルガの頭(比喩)の中にはいつものステータスアナウンスが一向に響きわたらなかった。
念のため『解析』を使用しゴブリンキングの死体 (?)を調べてみても死亡していることは確認できているし、階段も現れている。しかし、一向にレベルが上がらない。
その事から、エルガは二つの仮説を立てた。
(一つ目はレベル差がありすぎて経験値が入っても微々たるものだった。ただ、これは有り得ないかな。レベル差はあってもステータス差が結構あったみたいだし。
二つ目は『経験値』の名が示すとおり何かを『経験』しないと駄目なのかな?
……多分二つ目かな?今回はほとんど何もせずに殺せたわけだし、スライムキングの時は軽く死にかけたからね。スライムキングの時よりもステータス差が開いてる相手を殺してレベルアップしないのはやっぱりおかしいし。)
そこまで考えたエルガは、一旦思考を打ち止めにして、出現していた階段を見た。
(……次からは、経験値的な意味でも実戦経験的な意味でも、『経験』を積めるようにしよう。)
そう決意を新たにして、エルガは階段を目指して移動し始めた。ちゃっかりとぐちゃぐちゃになったゴブリンキングを異空間にいる分裂体の真上に落として捕食し、更に体積を増やしながら……。
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ゴブリンキング以下:ゴ
エルガ以下:エ
ゴ「ん?来たな……!さあ、貴様の実力を我に示────」
エ「『解析』!『毒究明』!」
ゴ「えっ、ちょっ、まっ────」
エ「『ゴブリンキング専用溶解毒』!行けっ!」
ゴ「ぎゃあああ!」
エ「ふう……。……ん?経験値が入らない……?」
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因みに、エルガは扉を開けてから1歩分しか動いてません。意外と鬼畜なエルガ。
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さて、ここからは関係ない、けれども重要な話になるのですが、もしかしたら作者側の都合で更新が途絶えるかも知れません。そして、いつ更新再開できるのかも不定期です。もしかしたらこれが最後の投稿になるかもしれません。【毒奏者】を楽しみにしておられる方々には申し訳ありませんが、何とか更新を再開できるように努力したいと考えているので、応援宜しくお願いします。2ヶ月経っても再開していないようなら、申し訳ありませんが更新出来ないと考えて下さい。作者自身としましては、ここで作品が終わるのは嫌なので再開できるように努力するつもりではあります。どうか応援、宜しくお願いします。




