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紫の空は、地面まで紫に染め、不気味な雰囲気を漂わせていた。
この町は、一年中、紫の空に覆われているのだ。よそから来たものは、みな気味悪がって、三日ととどまることは出来ないが、ここに住むものにとっては、これが普通だった。
そんな町人たちも気味悪がる場所がある。
西の森にある館だ。
獣道を、奥へと進んでいくと、ひっそりと、つたに覆われた館が姿を現す。
通称、アリサの館。
その名の通り、館にはアリサがいた。
町人に忌み嫌われる怪物。
見た目には人間の少女と大差ない。白髪ということを除けば。
古くから伝わる書物には、アリサが昔、突然やってきて、町を滅茶苦茶に壊したと記されてあった。それは親から子へ、子からさらにその子へと伝えられていき、今では西の森に近づく人もほとんどいなかった。
アリサは魔術師のまじないによって、館から出ることはできないのだが、それでも町人は用心しているのだ。
そんな森の入り口に住む少女がいた。
意思の強そうな目と、栗色の髪の毛、そして大きな剣がトレードマークの少女。
名前は美夜。
美夜は、アリサの世話をしていた。
彼女の一族は、アリサの世話を強いられていた。
詳しいことは美夜自身も知らない。だが、アリサの世話をすることは、彼女に課せられた義務であった。
世話といっても、館の掃除や、アリサの精神が不安定になっていないか確認するだけだった。
そして今日も、美夜は朝から館に出かけていた。




