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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第11節・落光
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第4話

前回のあらすじ


ゼシアが敵だと分かったが、地球で過ごしていた姿を思い浮かべていまいち踏ん切りのつかない光に、向こうの事情を聞いてみてはどうかと久遠が言う。

その言葉で持ち直した光が電話をかけてもゼシアは出ず、戦場で出会う事となるだろうと考えていたら、本当にクロノイド制圧軍の侵攻が行われた。

クロノギアス襲来によりスクランブルのかかったフォトンガードナー。基地から出撃した久遠の駆るフォトングライダーと、光の駆るフォトンランダーが発進するが、そこに中核を成すフォトンファイターの姿はない。


「それにしても、この二機だけなんてな……!」


フォトンランダーを走らせ市街地で暴れるクロノギアスの元へと向かう光がそう愚痴ると、久遠が苦虫を噛み潰した様な表情で呟く。


「仕方無いだろう、まだフォトンファイターのパイロット登録を変えていなかったんだから」


本来であれば光か久遠のどちらかがフォトンファイターに乗り、フォトンファイターともう一機での戦闘が想定されていたのだが、クロノギアス襲撃時にはまだフォトンファイターを動かすのに縁のバイオメトリクスが必要な設定にしていたため出撃させる事が出来ず、やむを得なくフォトンランダーとグライダーの二機での出撃となった。


「だが、あのクロノギアス一機だけなら、改修済みのこの二機で行ける筈だ!!」


フォトンファイターが欠けても今の二機ならやれると言う久遠に、光はハンドルを握る手に力を込めながらポツリと呟く。


「一機だけで済めばいいけどな……っと、市街地入るぞ!!」


光の呟きは市街地に入った際にクロノギアスが起こした爆発でかき消され、クロノギアスは自身へと向かってくる二機を確認すると威嚇する様に鳴き声をあげる。対面すれば恐ろしさを感じる咆哮だが、光達はそれを意に介さずにどう打破するかを相談し始めた。


「私が時計回りで飛びながら隙を窺う、お前は足元を走り回って注意を逸らしてくれ」

「決定打はあるのか?なけりゃ無駄弾吐くだけになるぞ?」


光を囮に隙を見つけ出すという久遠に、光は隙を突いて止めを刺せる──ひいてはダメージを与えられる武器があるのかを問いかける。

それを聞いた久遠ははっきりと頷き、決定打となる武装のデータを光へと送った。


「改修後のパーティクルキャノンの溜め撃ちなら奴の装甲も抜ける。そのチャージの時間をお前に稼いでもらいたい」

「了解、派手に暴れるとしますかね!!」


久遠の作戦に了承した光は更にアクセルを吹かしてクロノギアスへと急接し、対する久遠は隙を窺うために距離を取ってクロノギアスを中心に旋回し始める。

クロノギアスは自身の周りを飛び回るフォトングライダーを認識するや、口内に火炎放射の火が点るが、開いた口内目掛けてミサイルが飛来する。クロノギアスは火炎放射を咄嗟に取り止め尻尾でミサイルを薙ぎ払うと、巻き上がった土煙の中からフォトンランダーが飛び出し、クロノギアスに向かい車体両側のパーティクルショットを乱射し始めた。


「鬼さんこちらってな!!」


パーティクルショットを放ちながらクロノギアスの周りをフォトンランダーが駆け回り、クロノギアスは標的を周囲を飛び回るフォトングライダーから、明確に攻撃してくるフォトンランダーへと変更する。


「よっし釣れた!!久遠!!そっちの準備を頼む!!」

「了解だ!!」


クロノギアスのターゲットが自分に移り、踏みつけや腕部の爪による突き刺しが行われる中をハンドル操作で駆け抜ける光は、久遠にパーティクルキャノンのチャージを行う様に告げる。

久遠もそれに頷いてクロノギアスから付かず離れずの距離を維持し、パーティクルキャノンにエネルギーをチャージし始めた。


「五十……五十五……六十……っ!?」

「時空転移ゲートに反応!?何だ!?」


パーティクルキャノンのエネルギーチャージを小刻みに確認していた久遠だが、突然鳴り出したアラートに目を見開く。

同様にアラートが鳴り出した光は即座にアラートの発生源へと目を向けると、時空転移ゲートの雷鳴が強くなりそこから一つの影が地球へと落下してきた。


「なっ!?あれは──!?」

「重火器積んだやつか!!」


土煙を巻き上げ着地した影──もう一機のクロノギアスの姿を目にした久遠は目を見開き、着地の振動で宙に浮いた機体を立て直しながら近接型のクロノギアスから逃げる光は、晴れた土煙の中にかつて戦った重火器を大量に搭載したクロノギアスを目にして舌打ちを打つ。

突然現れた重武装のクロノギアスは周囲を一瞥し、フォトンランダーを追い回す近接型とその近接型の周りを飛び回るフォトングライダーを目にするや咆哮をあげ、背部に取り付けられたミサイルポッドから大量のミサイルがフォトングライダー目掛けて放たれた。


「──っ!!」


突然ミサイルの雨に晒された久遠は機体に無茶な飛行を繰り返してミサイルの雨を掻い潜るが、重装型は諦める様子など無く再び久遠に向かってミサイルを放つ。

久遠もそれを再び避けようとするが、それが原因でパーティクルキャノンのエネルギーチャージが完全に止まってしまった。


「ここで増援かよ……しかもクロノギアスの……っと!!」


ミサイルの雨に晒される久遠を目にしながらミサイルの発生源である重装型のクロノギアスへと目を向け舌打ちを打つも、光も気を抜ける状態では無く背後から迫る近接型の攻撃を紙一重でかわして逃げる。

牽制として放つパーティクルショットは少しはダメージを与えている様には見えるが、微々たるもので完全な撃破となるとまだ先が長い。


「くっそ……!あんまり長引かせると、久遠が持たねぇぞ……!」


一対一でクロノギアスを相手取るには決め手が足りず、少しずつ押され始め、特にミサイルの弾幕を掻い潜る久遠は消耗が一際激しい。今はミサイルを避け続けられているが、少しずつ精細が欠いていっているのを見て、長引かせられない焦りが光を蝕んでいく。

その焦りを助長させる様に、再び背後から迫る近接型のクロノギアスの一撃が、フォトンランダーを空振り地面に突き刺さり機体を跳ね上がらせた。


「っ何時までも逃げてばかりと思うんじゃねぇぞ!!」


光は背後のクロノギアスを睨み付けるとハンドルから操縦桿へと持ち替え、フォトンランダーをフォトングラストの下半身へと変形させる。

着地と同時にクロノギアスの方へと向き直ると、立て続けに振るわれようとしていた左腕を右足で蹴り飛ばし、そのまま流れる様に左足で胸部に飛び蹴りを叩き込んだ。


「っ、やっぱりパワーが足りねぇか……!」


クロノギアスを蹴り飛ばした反動を利用して距離を取った光は、対してダメージを受けていないクロノギアスを目にして舌打ちを打つ。クロノギアスの胸部には確かに先程の蹴撃で出来た凹みがあるが、決定打になるにはパワー不足が否めない。

近接型のクロノギアスは光からの思わぬ反撃に僅かに硬直するも、すぐさま復帰して攻撃を行った光に対して咆哮をあげて駆け出しその両腕を振るう。下半身だけという特異な姿を相手に的確に振るわれるそれを、光はステップやジャンプ、蹴りによる相殺でいなして行くが一アクション毎に僅かばかりのズレが生じていき、少しずつ押され始めて行く。

そして、遂に危惧していた事が起きてしまった。


「うあぁぁぁっ!!」


重装型のクロノギアスより放たれるミサイルの弾幕を避けていた久遠が、とうとうミサイルに命中してしまった。フォトングラストの胸部装甲となる機体であるため機体自体にダメージは余り見られないが、着弾と爆発の衝撃が久遠を襲い、操縦を誤らせて地面へと墜落してしまう。


「久遠っ!!っがあぁっ!!」


久遠の墜落を目にした光も思わず動きを止めてしまい、その隙を突かれて近接型のクロノギアスの一撃をもらってしまい吹き飛ばされる。 地面に轍を刻みながら転がるフォトンランダーは、先の一撃で墜落したフォトングライダーの元へと転がされていった。


「うぐっ……く、久遠……!大丈夫か……!」


フォトングライダーの元へと転がっていった光は、痛みに呻きつつも先んじて墜落していた久遠に安否を問うと、ノイズが走りつつも久遠がそれに答える。


「わ……私は大丈夫だ……だが、推進機が……!」


久遠の言葉を聞いて光は、墜落したフォトングライダーの翼下部に搭載されたパーティクルキャノンへと目を向ける。クロノギアスの装甲を撃ち抜かんとエネルギーが溜まっていたパーティクルキャノンは、爆発の衝撃が原因か溜まっていたエネルギーが暴発し砲身が破壊されていた。

それ所かパーティクルキャノンが推進機に搭載されている弊害か、フォトングライダーの推進機にもダメージが入っており、飛べる状態では無くなっていた。


「まっじぃな……」


久遠がまともに動ける状態ではないと知り、光は冷や汗を流す。そんな光達を追い詰める様に二機のクロノギアスが光達に向かって一歩、また一歩と歩を進めてくる。


「……光!!お前だけでも逃げろ!!」

「っ馬鹿言ってんじゃねぇ!!お前だけ残して逃げれるかよ!!」


久遠は光に自分だけでも生き延びる様に言うが、光はそれを拒否してクロノギアスに向かってパーティクルショットを放つ。しかし装甲の厚い近接型が前に出る事で、重装型への誘爆を防いで二機への接近を続け、近接型の爪の射程に入ってしまった。


「──っ!!」

「うあっ!!ひ、光!?」


近接型が腕を振り上げた瞬間、光は咄嗟に背後に庇うフォトングライダーを蹴り飛ばす。

突然の行動に衝撃に襲われた久遠は光に向かい問い詰めようとしたが、彼女の目に紙一重でコックピットは避けるも機体に大ダメージを受けて吹き飛ばされるフォトンランダーが映った。


「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


まともに回避も出来ない久遠を逃がすために身代わりになった光を、フォトンランダーを吹き飛ばした爪による衝撃が襲いかかる。

受け身もとらずに地面を転がりビルによって停止するも、光は衝撃で意識が朦朧としていた。


「光!!大丈夫か!!光!!」

「急いで立って逃げるんだ!!」

「ぐ……っ!」


通信から久遠と平野、その他オペレーターの声が聞こえるが、意識が朦朧とする光はそれに答える事が出来ず呻き声をあげる。

そんな光に今度こそ止めを刺さんとクロノギアス達が近づいて行き、近接型が倒れ付したフォトンランダーを射程に捉えた。


「……っ、……っ!」


朧気な視界にクロノギアスが腕を振り上げるのを目にした光は、揺れる意識の中必死に操縦桿を動かそうと手を震わす。しかしそれを嘲笑うかのようにクロノギアスの右腕が高く振り上げられ、フォトンランダーのコックピットにその爪を突き立てんと振り下ろした。


「■■■■■■──ッ!?!?」


しかし、振り下ろされた右腕は何処からか飛来したビームにより腕を弾かれて、狙いを大きく逸れてビルへと突き刺さる。

クロノギアスが自身へとビームを当てた相手を探さんと周囲を見回した瞬間、フォトンランダーのレーダーが新たな反応を検知した。


「う……あ……?」


ある程度時間が経って多少意識を持ち直した光は、レーダーが反応を捉えた方向へと目を向け、それに合わせてコックピットのモニターに拡大した映像が現れる。

そこには、人型のクロノギアスとフォトンファイターを合わせた様な姿をした灰色一色のロボットが、頭部に通信用のアンテナを角の様に装備した機体を中央に十三機の編隊で飛来してきていた。

重装型のクロノギアスがロボットの編隊を捉え、背部のミサイルポッドを開き迎撃せんとミサイルを発射しようとするが、先程光を救ったビームを放ったであろう銃火器を構える機体が再びビームを放ち、ミサイル発射よりも早くミサイルポッドに着弾し、誘爆を引き起こしてその反動で転倒させる。

残る十二機も腰に懸架していたフォトンライフルを小型化した様な銃火器を構え、クロノギアス二機へとビームを放ち始める。近接型はビームの雨に晒され否応なしに光から距離を取らされ、同じ様にビームの雨に晒される重装型を庇いに向かって行く。

そうして一ヶ所に集まったクロノギアスを囲うようにロボット達が降り立つと、二機に向かって集中砲火を開始した。

近接型は余りの集中砲火に重装型の火器への誘爆を恐れて庇いはするも、たった一機で十三方向からの砲撃は守れる訳が無く、銃撃のほとんどが重装型へと命中する。

重装型もやられっぱなしではいられないと反撃に脚部のミサイルを放とうとするが数の暴力でミサイルポッドを撃ち抜かれ、誘爆を起こして脚部を損傷し倒れ伏す。

それでも諦めじと両腕のビーム砲を展開するが、それすらも撃ち抜かれて誘爆してしまい、両腕が完全に吹き飛び肩口から内部機構が露になってしまう。

武装もほとんど破壊され、明確な急所を作ってしまった重装型は近接型に庇われるも、集中砲火に晒され内部機構にダメージを負い動力炉が爆発し庇っていた近接型を吹き飛ばして爆散した。


「す……すげぇ……」


光が一方的に重備型を倒したロボット部隊に感嘆の声を出していると、重装型の爆発を至近距離で受けダメージを負った近接型が咆哮をあげて、隊長機と思われる角持ちの機体に向かって駆け出して行く。

傍らに控える僚機が迫りくる近接型に銃を向けるも隊長機はそれを制し、自身の銃を投げ捨てて丸腰で近接型へと挑みかかった。

咆哮をあげて両腕を振り上げ、巨大な爪で隊長機を引き裂こうとする近接型に対し、隊長機は懐に潜り込まんと姿勢を低くして飛び込んで行く。

そうして隊長機を射程に捉えた瞬間近接型は両腕を振り下ろし爪を突き立てようとするが、隊長機はそれを更に深く踏み込み一気に潜り込む事でかわし、無防備な腹部に張り付いた。


「なんという……」


危険を承知で懐に潜り込む度胸に久遠が舌を巻く中、腹部に張り付いた隊長機は右拳を握りしめて拳の先より光子エネルギーの刃が発生するやがら空きの胸部に向かって右ストレートを叩き込む。

両腕を地面へと突き刺した近接型はそれを防ぐ手段も無く光子エネルギーの刃が胸部に突き刺さると、光子エネルギーの刃が一気に伸びて背部を内側から貫通した。


「■■■■──…………」


胸部を貫かれ動力炉を破壊された近接型は瞳より光を無くし、そのまま動かなくなる。それを確認した隊長機はゆっくりとした動作で近接型より離れて行く。


「何だったんだ……あいつら……は……」


クロノギアスの討伐を終え、ゆっくりとした動作で向かってくるロボット達を前にして、限界がきた光はそのまま意識を失ってシートへと倒れ込んだ。


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