表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第7節・一人じゃない
61/150

第7話

前回のあらすじ


今まで戦闘中の進化だと思っていた事象が、転送の際に削っていた機能の送信だと知り、今まで以上に強力な相手との戦闘に備える様告げられた光達。

その後光は久遠の口より、フォトンファイターが縁から別のパイロットに代わる話を聞かされ、彼の体が原因と見て戦闘で負担を掛けさせない様久遠と決意を新たにする。

日が暮れ月が昇り、夕焼けに星明かりが灯り始める時間帯、滝音市をそんな風景に似つかわしくない光が照らしあげる。

夕焼け空と夜の星空が交わる境界には似つかわしくない暗雲の時空転移ゲートが開き、そこから現れた十機クロノドローンが街を怖し、火の手をあげる。

塾帰りの子供達、部活帰りの学生達、仕事終わりのサラリーマン等、多くの人々が逃げ惑う中クロノドローンは我が物顔で滝音市の市街地を飛び回っていた。

まるで何かを待ち構えるかの様に時空転移ゲート付近で破壊活動を行うクロノドローン。その頭上、星明かり煌めく空に一つの星が瞬くと暴れるクロノドローン目掛けて流星が流れ落ちる。


「パーティクル……キィィィィック!!」


夜空より流れ落ちた流星──フォトンファイターは右足を突き出し、縁の叫びと共に光の粒子の尾を引きながら光の弾丸となりクロノドローンの一機を蹴りつける。遥か上空からの急降下の勢いが乗った一撃は命中したクロノドローンの胴体を貫通して上下に真っ二つにすると、着地と共に背後で上下に別れたクロノドローンが爆発した。


「まずは一機、油断するな!!」

「判ってる!!」


爆発したクロノドローンを見届けた縁にオペレーターから油断しない様注意が入る。縁はそれに応えると、今回のためにフォトンファイターのリアアーマに後付けで懸架させられた武装を手にすると、上空に飛ぶクロノドローン目掛けて引き金を引く。


「パーティクルショット!!」


フォトンファイターに懸架された武装、それは今現在もオーバーホール中のフォトンランダーに搭載されている筈のパーティクルショットだった。

武器を一つも装備しておらず、基本の攻撃方法が殴る蹴るだけのフォトンファイターを見て、自分が戦えない以上せめて何か遠距離武器をと考えた光が博士達に提案して搭載させたものであり、現に今も飛び回ってフォトンファイターに向かい指先からビームを放つも、それを避けた際の反撃手段として重宝されている。

もし懸架せずに素の状態のフォトンファイターが挑んでいたとなると、九機からなる弾幕に翻弄されて苦戦を強いられていただろう。


(ありがとう博士、光!!)


縁が無理を言ってパーティクルショットを懸架させる様頼み込んだ光と、忙しい中その考えを形にした博士達に内心で礼を述べていると縁の放った光条がクロノドローンを二機まとめて撃ち抜き、爆発を引き起こす。


「残り七機……っ!!向こうから来るぞ!!」


残敵数を伝えたオペレーターが何かに気付いた様に言葉を詰まらせ、すぐさま縁に窮地を告げる。

その瞬間コックピット内にアラートが鳴り響き、レーダーにフォトンファイターへと急接近する三機の姿が映った。

接近する三機のクロノドローンはフォトンファイターに向かい両腕を突き出し、立て続けにビームを放って距離を詰めて来る。縁はそれをバックステップでかわすと先程までフォトンファイターが居た場所にビームが降り注ぎ、地面スレスレまで降下して来たクロノドローンが地面に沿う様にフォトンファイターへと向かって行く。


「はっ!!」


向かって来るクロノドローン達に縁はパーティクルショットを放つと、クロノドローン達はそれをバレルロールで回避して接近を続ける。


「だったら!!」


直接当てるのが難しいと判断した縁は銃口をクロノドローン達の進行方向の地面へと向けると引き金を引き、向かって来るクロノドローン達の眼前に着弾し土煙を巻き起こす。

巻き起こされた土煙によってクロノドローン達は視界を塞がれるが怯む事無く土煙を突破し、レーダー上に表示されているフォトンファイターの眼前へと現れるが、土煙の先にはフォトンファイターの姿は無い。

三機は咄嗟に直上へと頭部を向けると、そこには今まさに引き金を引かんとするフォトンファイターの姿があり、瞬間パーティクルショットの銃口よりビームが放たれ左右の二機が立て続けに放たれた二発のビームに撃ち抜かれる。

左右のクロノドローンが爆発し、その爆風の煽りを受けた残るクロノドローンがよろける。それを縁は見逃さずフォトンファイターを急降下させ、両足で踏みつけ地面へと押し付けて破壊した。


「残り四──っ!!」


爆発の中から残るクロノドローンを見つけんと顔をあげるフォトンファイターに、上空から光条が降り注ぐ。

短時間で六機も落とされた事に警戒を引き上げたクロノドローン達が、上空からフォトンファイター目掛けてビームを立て続けに放っており、縁は防御姿勢を取ってその場に足止めされた。


「く……っ!!」


上空から降り注ぐビームに防御を解く事が出来ずに縁が歯噛みすると、再びオペレーターより通信が入る。


「縁!!上空からのビームだが、砲身の冷却の都合か一定周期で◯.五秒程弾幕が薄くなる瞬間がある!!そこがチャンスだ!!」

「──っ、了解!!」


オペレーターより告げられた弾幕の弱点、それを聞いた縁はそれを狙い防御したまま身構える。上空からのビームに耐えながら弾幕の薄くなる瞬間を狙う縁、瞬間上空からの弾幕が僅かに薄くなった。


「今だ!!」


縁はフォトンファイターのスラスターを最大にし、ビームの中を掻き分けて飛び上がると◯.五秒内でクロノドローンと同等の高度へと上昇する。

砲身の冷却を終えたクロノドローン達が飛び上がったフォトンファイター目掛けて銃口を向けようとするが、それよりも早く向けられたパーティクルショットにより頭部を撃ち抜かれて墜落して行く。これにて残り三機。


「──っ!!」


一機落とすためにパーティクルショットを構えたフォトンファイターの背後を、二機のクロノドローンが取ると両腕より無防備な背部目掛けてビームを放つ。だが──


「はあっ!!」


縁は背部より迫り来るビームを、背部と脚部のスラスターを吹かして宙返りをして回避すると、逆さまの状態のまま撃って来た二機目掛けて銃口を向けて引き金を引く。

あり得ない方法での回避と反撃にクロノドローン二機は反応が遅れ頭部を撃ち抜かれ、機能を停止し地面へと墜落していった。


「あと一機っ!!」


残るクロノドローンがあと一機となったのを確認した縁は背後からの強襲を避けるために逆さまのままスラスターを吹かし、地面に向かって落下して行き、今まさにぶつからんとした瞬間一回転し、膝をついて地面へ着地するとクロノドローンの反応のある方へとパーティクルショットの銃口を向ける。

するとフォトンファイターを追って地面に向かって来ていたクロノドローンが眼前に現れ、縁は咄嗟に空いた左手で頭部を掴み押し留めるもクロノドローンはパーティクルショットを手にした右腕を抑え込み、残る右手からゼロ距離でビームを放とうとして来た。


「エネルギーを左手に回せ!!」

「了解!!」


オペレーターの指示の元、縁はクロノドローンの頭部を掴み取る左手へ光子エネルギーを集中させると、フォトンファイターの左手が青白く光輝き始める。

その光景に見覚えのあった縁は全力を込めてグリップを握ると、力強く叫びながら操縦桿を押し込んだ。


「パーティクル……バンカーッ!!!!」


かつて海中で戦ったクロノギアス相手に光の考案で放ったフォトングラストの一撃、それをフォトンファイターで再現した一撃がクロノドローンへと光子エネルギーを流し込み頭部を破壊する。

流れ込んだ光子エネルギーは頭部だけで無く全身へと行き渡り内部を破壊し尽くし、宙へと浮かぶ事すら維持出来なくなったクロノドローンは地面に落ち、フォトンファイターの右腕の拘束も緩み落下の衝撃で手が離された。


「時空転移ゲート、収束していっている。帰投するんだ」

「了解」


ナビゲーターの言う通り小さくなっていく暗雲を見上げ、完全に消え去り星空だけが残る空を見た縁はそう頷くと、スラスターを吹かして最高高度まで跳躍する。

そのまま青白い光の尾を引いて滝音市上空より飛び立ち去って行った。


「フォトンファイター、帰投ルートに入ります」

「よし、改修作業外の整備班を格納庫へ。それを終えたら各自解散だ」

「了解」


フォトンガードナー司令部のモニターに、帰投ルートに入ったフォトンファイターの姿が映し出される中、 光平の指示を聞いたオペレーターが整備班へとフォトンファイターの整備を指示する。

その他のオペレーターは戦闘が終わった事に一息ついており、そんなオペレーター達の中に光も混じり先程まで縁との通信に使っていたインカムを外すとほっと一息つく。


「お疲れ、中々様になっていたぞ?」

「あ、平野さん……ありがとうございます」


そんな光の元に平野がやって来て光へと缶コーヒーを差し出し、光はお礼を言って缶コーヒーを受け取る。


「それにしても、戦えないからせめてオペレーターをやりたいって言うとはねぇ」

「縁にだけ戦わして、俺一人後ろに居るのは何かモヤモヤするんですよ……今もしてますけど……」


そう言って光は顔を伏せると、平野は小さく溜め息をつく。戦えない代わりに出来る事が無いかと光平に聞いて来た光は、戦えなくなって毎日遅い来るクロノドローンと戦う縁の姿を見て、複雑な想いを抱いていた。


「まあ、明日で改修作業は終わるんだ。むしろ今まではクロノギアスが来なかった幸運に喜ぼう、な?」

「そうですね……」


背中を叩いて励ます平野の言葉に光は顔をあげると小さく頷き、平野から貰った缶コーヒーへと口をつける。

ブラックコーヒーの苦味に顔をしかめつつも飲み切り一息ついていると、同じ様に司令部で縁の戦闘のアシストを行っていた久遠が近付き声を掛けた。


「光、戦闘データを纏め終えた。博士の元へ届けに行くぞ」

「了解。平野さん、コーヒーありがとうございました」

「おう」


戦闘データが記録されたメモリーカードを手にした久遠の誘いに光は頷き、席を立つと隣で自分の分の缶コーヒーを飲んでいた平野へと礼を告げる。

礼を聞いた平野は小さく笑みを浮かべて頷き、それを見た光達も小さく頭を下げて博士の居るであろう格納庫に向かって司令部を出て行った。







クロノイド制圧軍作戦司令部、床のモニターにクロノドローンが殲滅された映像が映し出され、リーリスが腕を組み不機嫌そうな表情を浮かべ腕を指で叩く。

無音の部屋にトントンと指が腕を叩く音を鳴らしていると、司令部へとジェネルが入って来て、床のモニターへと目を移すと顔をあげてリーリスに向かって口を開いた。


「此度も失敗か」

「うるさいね……言われなくても解ってるわよ」


時空転移ゲートが閉じる度に作戦がどうなったのかを確認しに来るジェネルに、リーリスは苛立ち混じりにそう返す。

結果が知りたいのなら一から十まで司令部で見ていろと言ったのだが、新たなクロノギアス設計に時間を費やしたいと口にして拒否していた。

リーリスも作戦の最中でジェネルに小言を言われる心配も無く放置していたのだが、それが作戦の失敗と共に結果の確認のための来訪が合わさり苛立ちが増す結果となってしまっている。


「……やっぱりクロノギアスが必要だね……あの老いぼれ、何時まで時間を掛けるんだい……!」


やがて苛立ちの矛先は、作戦に使うクロノギアスを用意出来なかったシュタインへと向けられ、三日前には半分は既に仕上がっていると言っていたのに未だに完成の連絡が来な事、時間を掛ければ掛ける程フォトングラストが元の状態で戻って来る確率が上がるためリーリスは焦り始め、それも加わり足で床を鳴らし始める。


「これだけのスパンで戦闘を行っても表面的なダメージは無しか……ずいぶんと頑丈なコアマシンの様じゃの」

「「!!」」


すると突然司令部へとやって来たシュタインがモニターの映像を見て感心した様子でそう呟く。

そんな余裕綽々とした態度がリーリスの神経を逆撫で、青筋を浮かべたリーリスは小柄な老人とはいえシュタインの胸ぐらを掴み片腕で持ち上げた。


「ぬぐお……っ!」

「あんたねぇ……何余裕こいてんだい!!今のあたし達にゃ時間は敵なんだよ!!」

「ドクトル・シュタイン……今回はお前が悪い……そして、俺もリーリスと同意見だ」


乱暴に持ち上げられたシュタインは必死に足掻くもリーリスの拘束から抜け出せず、助け船を出す立場である筈のジェネルはリーリスの苛立ちが理解出来て静観を決め込む。

リーリス主導の元地球へと行われているクロノドローンによる侵攻は、クロノギアスが完成するための繋ぎだけでなく、フォトングラストを有するフォトンガードナーのリソースをクロノドローン迎撃に割かせ、整備を遅らせるといった打算があった。

けれど時空転移ゲート発生装置のエネルギーの都合上エネルギーを貯めるために一定時間停止させなければならず、その間に地球でフォトングラストの整備が進む事を考えると余り長い時間をクロノドローンに任せる訳にはいかない。

リーリスの言う時間が敵という事はここから来ており、ジェネルも消耗が大きい内に叩こうという考えには賛同していた。


「いい加減にせんか……!せっかくクロノギアスが完成したというのに……!」

「「!!」」


クロノギアスの完成、それを聞いてリーリスとジェネルの眉が僅かに跳ね、リーリスはシュタインを掴み上げる手から力を抜きシュタインがそのまま床へと落とされる。


「その言葉、嘘じゃあ無いんだね?」

「ゲホッ……うむ……」


シュタインを落としたリーリスは冷めた目で睨みながらそう問い掛けると、咳き込みながらシュタインはタブレットを取り出し、格納庫の様子をモニターに映し出す。


「お前さんの要望通りに仕上げたものじゃ、文句は言うまい」

「おお……!」


シュタインは目線をクロノギアスから外さぬままリーリスにそう言い、ジェネルはクロノギアスの姿を目にして感嘆の声をあげる。

リーリスもモニターに映像と共に映し出されたクロノギアスのスペックに目を通し、仕様通りに仕上がっているのを確認──それ所か幾分か向上しているのを目にして鼻を鳴らす。


「儂の技術の傑作……『クロノギアス・キュマーラ』!!その力を持って、フォトングラストを討つのじゃ!!」

「フォトングラストが相手になるかどうかは、まだ分からないけどね」


作り上げた傑作に昂るシュタインを尻目にリーリスは突っ込みを入れつつも、このクロノギアスなら勝てると確信し舌舐めずりをして笑みを浮かべた。


面白いと思った方は、評価、感想、ブックマークをよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ