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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第5節・明かされた秘密
37/150

第1話

この話より第5節に入ります。

今後とも超光戦機フォトングラストをよろしくお願いします。


前回のあらすじ


重装甲のクロノギアスを相手に、攻め手に欠けて苦戦するフォトングラスト。

それを司令部に居た白部が咄嗟にクロノギアスの弱点を見出だし、撃破する事に成功した。

青い空に浮かぶ白い雲、その隙間から燦々と太陽が大地を照らし上げる。そんな夏日和の青空の下、波の音が光の耳に入って来た。


「野々原部長!そっちに上げたよ!」

「でかした有沢部員!でりゃあっ!!」


光から少し離れた位置では砂浜に作り上げたビーチバレーのコートにて、水着の縁と白部のタッグが同じく水着のオペレーター二人を相手にバレーボールを試合を行っている。


「滝音さーん!かき氷貰って来たよー!」

「水代、私は要らない。一人で食べていい」

「そう言わないの!ほら、ブルーハワイ!」

「むぅ……」


同じ様に少し離れた場所に立てられたビーチパラソルの下で腰を下ろす久遠の元に花音がかき氷を手にしてやって来て、その一方を困惑した表情を浮かべる久遠に差し出す。

彼等彼女等以外にも、あちこちでフォトンガードナーの職員達がビーチで思い思いに過ごしており、どう見ても同行者二名を伴った慰安旅行といった風情を醸し出していた。


「おーい!!肉が焼けたぞー!!」


そんな彼等の耳に総司令である光平の呼び掛けが聞こえ、光を含めた全員の視線が声の方へと向く。

そこではバーベキューコンロ前に立ち、トングで牛肉やウインナー、玉葱にトウモロコシ、茄子にピーマン等様々な食材を焼く光平が、焼き上がった食材を皿に移しながら全員を呼んでいた。

その声と共に風に乗って流れて来る肉や野菜の焼ける匂いに多くの人達の腹の音が鳴り、全員光平の元へと喜び勇んで(久遠のみ若干呆れた様に溜め息をつきながら)歩いて行く。


「高坂ー?あんたは食べないのー?」

「んにゃ!今行く!」


独り取り残されていた光にバーベキューコンロ横の長机に並んだ花音から呼び掛けられる。光はそれに首を振ると、どんどん食材を取って行く職員達の元に向かって砂浜を駆け出す。

そこで先に取り分けられていた各種具材一品載せの皿を受け取ると、ジャナ部の面子で集まって食べ始めた。


「それにしても……こんな事してていいのかねぇ?」

「?どうしたんだ高坂部員」


肉を頬張りながらポツリと呟く光の声を聞いた白部が玉葱を齧りながら聞き、光はそれに海を見ながら答える。


「俺達は仮にも仕事で来てるんだろ?それなのにこんなに遊んでていいのかって思ってさ」

「ああ、そう言えば君達の目的はそうだったな」


光が話した『仕事』、それを聞いた白部も曖昧な表情を浮かべる。そうして二人は何故海に来ているのかを思い返し始めた。






事の始まりは三日前、トレーニングルームでのトレーニングを終えた後に光平から司令部に呼び出された時にまで遡る。


「時空転移ゲートの反応……ですか?」

「ああ、ここから遠く離れたある孤島にて、時空転移ゲートの反応が観測されたんだ」


時空転移ゲートというクロノイドからの侵攻の予兆、それが滝音市以外から検出された事に光は目を丸くするも、同時にとうとう来たかと内心苦虫を噛み潰す。

これまでは何故かクロノイドによる侵攻は滝音市にのみ集中しており、博士や光平からは「地球侵略の邪魔になるフォトングラストが現れる此処は必ず落としたいのだろう」と言われ当時は納得したものの、何時も滝音市に出現するクロノギアスに光は辟易していた。

それが今回は滝音市以外だと知って、滝音市に被害が出ない事には喜びつつも、いずれ別の街にも被害が出る可能性が出て来て複雑な表情を浮かべる。


「それで今回は孤島にフォトンガードナー総出で向かい、時空転移ゲートの痕跡の調査……万が一はそこから現れたクロノイド制圧軍の相手をする事を国連から指示を受けたんだ」

「確かに、時空転移ゲートが開いているとなるとクロノドローンやクロノギアスが出現している可能性がありますし、私達が調査した方が安全でしょうね」


光平が口にした国連からの命令を聞き、納得した表情で久遠が頷く。しかし、ふとある事に気が付いた縁がおずおずと手をあげた。


「あの……もしかして泊まり掛けの調査になりますか?」

「まあ、痕跡探しである以上短くて三日……長くて五日間は島に滞在するだろうな……」

「その場合……僕や久遠は大丈夫ですけど、光はどうなるんですか?」

「あ……」


縁の問い掛けに光は思わず声をあげる。滝音コーポレーションの令嬢である久遠やフォトンガードナーの人間が後見人の縁と違い、光はあくまで一般人だ。そんな彼が長期間学校を空けるとなると何を言われるか分かったものではない。

学校の方には家庭の事情、光の両親には学校の行事として伝えるにしても、万が一確認を取られたら認識の齟齬で光が問い詰められてしまう。

光と縁がその可能性に対して頭を悩ませているが、そんな彼等とは裏腹に光平は何処か余裕の笑みを浮かべていた。


「フッフッフッ……大丈夫だ。ちゃんとした策はある」

「っ!?あるんですか!?学校と光の家庭にちゃんとした説明の出来る理由が?」


光平の言葉を聞いて光は思わず目を見開き、縁は一体どの様な方法で双方を納得させるのかを光平に問い、光平はそれに笑みを浮かべながら答える。


「偶然のアクシデントが呼んだ出来事だったけど、あの時にバレたのは行幸だったよ」

「バレる……?」

「……っ!もしかして……!」


縁は光平が口にした理由とは思えない言葉の一ヶ所に引っ掛かりを感じ首を傾げ、光も同様に首を傾げているとある事に気が付いたのかはっとなって光平を見る。光平は光の視線から彼が答えにたどり着いたのだと確信すると、小さく頷いて口を開いた。


「野々原君に水代君……常磐ジャーナリスト部全員をまとめて連れて行こうじゃないか。そうすれば、学校、家庭共々に部活動の一環って言い訳が出来るからね」






「まあ、結果としてこうおこぼれに預かってる身として言うのは何だが……別に問題ないんじゃないか?」

「そうかぁ……?」


ひとまず遊んでいる事は総司令である光平が率先して行っている事から問題無いと言う白部に、光は納得のいかない表情を浮かべる。

そんな彼等の元へ、具材を焼き終え自分の食べる分を取った光がやって来た。


「ずいぶんと浮かない顔をしてるけど……苦手な物でもあったのかい?」

「あ、いえ!どれも美味しいです!」

「そうか、箸が止まってたから苦手な物でもあったのかと思ったけど、それならよかった」


箸が進んでいない二人を見て苦手な具材を入れたのかと思ったらしくそう聞いて来て、白部がそれにすぐに問題ないと答えると光平は笑みを浮かべて安堵の息を零す。

そんな彼の様子に光は思わず問い掛けた。


「あの、総司令……本当にこんな風に遊んでていいんですか?仮にも今回は調査って名目で此処に来てるんでしょう?」

「ん?……ああ、大丈夫だよ」


遊んでいてもいいのかという問いにそう断言され、光は思わず言葉が詰まる。そんな彼を気にせずに光平は言葉を続ける。


「こんなバカンスも出来る島に来たのに働き詰めなんて職員達のストレスになるだろう?だったら昼位遊ぶ時間を作るのも福利厚生の一環だよ」

「まあ、言いたい事は解りますけど……」


光平の言う通り初めてこの島に上陸した時は、見るからに人々の思い描く孤島の楽園といった風情で久遠や縁を除いたジャナ部の面々はテンションが上がった。そんな中で遊ぶ事も出来ずに働きに出されるなんてストレスでしか無い。

けれど同時にあるものが目に入って、どうも光は賛同しかねていた。


「けど、ああいうコテージもある以上、手早く済ませてオーナーを安心させたいって気持ちもあるんですよね」


そう言って光は皿を手にしていない方の手で、今居る砂浜から離れた場所を指差す。そこには海岸に沿うように八棟ものコテージが海上に浮かんでいる。

それを見た光平は一瞬キョトンとするもすぐに体を丸めて笑い始め、光や隣の白部も思わずキョトンとした。


「あの、総司令……何を笑ってるんですか?」

「あっはっはっはっはっ……!いやぁ、本当に君は真面目だなぁって思ってさ……!」

「いやいや、真面目なのはいい事ですし、そこまで笑うことでもないでしょうよ!あのコテージも誰かの物件な訳ですし!」

「…………もしかして……」


何故笑われているのか分からず、背後で白部が何か気が付いた様な事を呟くも耳に入らなかった光はそのまま光平へと食って掛かる。

詰め寄られた光平は笑いを抑えつつ目尻に浮かんだ涙を拭い、コテージのオーナーの話になった途端に笑い出した理由を話し始めた。


「この島は滝音コーポレーションの保養所の一つで、土地の名義も滝音コーポレーションが所有しているんだ」

「へ?」

「やはりそうか……」


光平から告げられた事実を飲み込めず呆ける光の後ろで、予想が当たったといわんばかりに頷く白部。呆ける光を前にして苦笑しながら光平は説明を続ける。


「だからこの島にあるものは、我が社の所有物なんだよ」

「え…………ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?」


明かされた事実を理解して、衝撃に呑まれた光の叫び声が青々とした空へと広がって行った。







クロノイド制圧軍基地の廊下を二人の人影が靴音を鳴らしながら歩いて行く。その道中で二人の片割れであるシュタインがタブレットに目を通しながら、もう一人のリーリスへと声を掛ける。


「……うむ、時空転移ゲートの移設完了じゃ。これで前の様な事は起こらんよ」

「本当かい?また前みたいに水浸しは勘弁だよ」

「うむ、今度こそ大丈夫じゃ」

「はぁ……せめてそういうのは最初に確認しておくものじゃなかったのかねぇ……?」

「文句を言うでない、儂とて初めての接続じゃったのじゃからな」

「こっちは貴重なフォトングラストへの挑戦権を破棄してあんたの作戦に協力してんだ、それ位の事はやってもらわないとね」


そう溜め息をつくリーリスの脳裏にシュタインと協力する切っ掛けとなった出来事が思い返される。それは一週間前、ジェネル主導の地球侵攻作戦が失敗に終わった後新規のクロノギアスの設計図を手にシュタインの元まで来た時だった。


「むぅ……」

「シュタイン、居るかい?」

「その声はリーリスか?儂は居るぞ」

「なら入るよ」


机に座りタブレットに目を通し唸り声をあげるシュタインの元に、部屋の主の存在を確認したリーリスが入室の可否を聞く前に入って来る。


「これ次のあたしの侵攻作戦に使うクロノギアスの設計図さ。次の作戦までに頼むよ」


そう言って設計図を机の上に置くと部屋を出て行こうとするが、それにシュタインが待ったをかけた。


「ちょっと待ってくれんか」

「あん?」

「その作戦……フォトングラストの相手ではなく儂の頼みを聞いてくれんかの」

「はぁ?」


シュタインの言葉にリーリスは呆れた様な声を出す。出世を目指す彼女にとってフォトングラストは格好の獲物だ、そのためにクロノギアスの設計を行っているというのに、それを放棄しろと言うのが解らない。


「そう嫌そうな顔をするでない、この頼みの重要性はフォトングラスト討伐にも劣らんものじゃぞ」

「そう言うんだったら根拠はあるんだろうね?なかったら皇帝陛下の命令に口を出したものとして報告させてもらうよ」


そう言ってリーリスはシュタインを脅す。フォトングラストの討伐はクロノーア皇帝から直々に出された命令な以上、それに割り込むとなると相応に重要な作戦でなければクロノーア皇帝の不評を買うだろう。

リーリスの事を気に食わず作戦に口を出す者達は大体この脅しで怯えて退いていたが、シュタインはそんな素振りも見せずに口を開く。


「時空転移ゲートのキャパシティ関係のものじゃよ。そちらも皇帝陛下より承った命令じゃ」


シュタインから告げられた言葉に、リーリスは顔から苛立ちの表情を消し去る。時空転移ゲートの一度に転送できるキャパシティ問題は、フォトングラスト討伐を目的とするジェネルやリーリスにも頭の痛い問題だった。そのせいでクロノギアスを一度性能が低下した状態で転送せざるを得ず、最初から全力で暴れさせる事が出来なかった。

それが解決出来るとなるとリーリスとしても悪い話ではなく、クロノーア皇帝から出された命令である事もあってフォトングラスト討伐程ではないが評価されると見て、リーリスは嗜虐的な笑みを浮かべる。


「……了解、あんたの口車に乗ってやろうじゃないか」

「取引成立、じゃの」


そう言うと、今度こそリーリスはシュタインの部屋を出て行った。

そこまでシュタインと手を結んだ事を思い出すと、その後に起きた出来事も思い出してリーリスは思わず溜め息をつく。


「けどいざ出撃と時空転移ゲートを開けば、逆流して海水が此方に入って来ると来た。あの時は大変だったよ」

「じゃから時空転移ゲートを人の寄り付かない別の場所へと移したのであろう。……それよりも、今夜は行けるかの?」

「誰にもの言ってんだい、あの事故のせいで時間が有り余ってるんだよ」

「そうじゃったの……それでは今夜の調査は頼むぞい」

「あいよ」


リーリスはシュタインから今夜の出撃を聞くとそれに頷き、別れて自分の部屋へと向かう。シュタインも最後の調整を行うために自分の部屋に向かって歩き出した。

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