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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第3節・新たなる影
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第3話

前回のあらすじ


一部で未だに話題となっているフォトンガードナーについての国防大臣からの発表、それを元に新聞を作ろうとする白部だったが久遠と縁が帰宅した事で一旦お流れになる。

掃除のために残された光は縁から時空転移ゲート開通の予兆を聞いた瞬間、時空転移ゲートが開いてクロノギアスが滝音市に襲来した。

クロノギアスの着地によって再び地震が起き、光は階段の手摺に掴まってそれに耐える。電話越しに車が地震に揺らされる音を耳にしつつも、光は縁へと問い掛ける。


「縁!!そっちからどうなってるか見えるか!?」

「もう市街地から結構離れてる……!道沿いの木で見えない!!」

「ちっ、そうか……!」


縁から街の様子を聞こうとしたが既に市街地から離れていると言われ、状況を確認出来ない事に舌打ちを打ちつつも冷静に階段を降りて行く。


「俺は水代の奴に声掛けてから行く!!後で合流な!!」

「判った、彼女にも僕達は大丈夫だって伝えて!!」


そう言って縁は携帯を切り、光も携帯をポッケに入れて部室へと戻る。部室では机を握り締めて揺れに耐えていた花音が居り、花音は光を見るや一目散に光の元へと駆け寄った。


「高坂!!外が……!!」

「解ってる!!音で俺も気付いた!!」


花音が指差した先には黒い影しか見えていないが、確かにクロノギアスが街に居り破壊活動を行っている。それを一瞥すると光は花音の肩に手を置いて、落ち着かせる様に言葉を掛ける。


「俺は他の様子も見てくる。お前は先に避難を!!」

「け、けど高坂は!?」

「俺の事は大丈夫だ。だから、お前は先に逃げるんだ!!」

「あっ!!」


光はそう逃げる様花音に促すと廊下へと駆け出し、階段を一気に飛び降りたりしてフォトンガードナーの基地へと繋がる第三倉庫へと向かう。

たどり着いた光はカードキーを使って倉庫の扉を開けてロッカーに偽装したエレベーターに乗り込みフォトンガードナーの基地へと向かい、エレベーターを降りた先では基地の職員が光を出迎えに来ていた。


「市街地の状況と縁達は!?」

「市街地では相も変わらずクロノギアスによる破壊活動が行われている、縁達は今立体駐車場に着いたと連絡が来た」


光は職員から外の情報と縁達の現在地を聞きながらフォトンランダーの格納庫へと向かう。

道中で職員と別れた光は格納庫へと飛び込み、パイロットスーツに着替え終えるとすぐさまフォトンランダーのコックピットへと乗り込んだ。


「平野さん!!あいつ等は来てますか!?」

「もう来ている、今は出撃準備中だ!!」


コックピット内で出撃の準備をしながら平野に二人の状況を聞くと、出撃準備中と聞いて小さく頷く。

そうしてコンソールのチェックを終えた光はハンドルを握り、フォトンランダー周りのメンテナンスマシーンを下げて何時でも発進出来るよう身構えると、丁度準備を終えた縁と久遠から通信が入った。


「光、聞いているな!!街では既にクロノギアスが暴れている!!」

「解ってるよ!!それをぶっ倒しゃあいいんだろ!!」


縁の状況確認に光がそう答えると、縁は小さく頷くが久遠は僅かに目線を逸らす。


「しかし……クロノドローンが出ていないというのは気掛かりだ……二人共、それは気を付けろ」

「解ってる、油断しないよ」


久遠からの注意に縁は小さく微笑んで頷く。しかし、光は違った反応を返した。


「………………」

「……おい、何を黙っている?」

「はっ!い、いや……まさか心配されるとは思わなくて……」


想像していなかった久遠からの心配に光はフリーズしてしまい、予想外だったと言いたげに頭を掻いているとそれが久遠を怒らせる。


「お前に死なれたら面倒なだけだ!!いいからとっとと気を引き締めろ!!」

「おわっ!?急に怒鳴るなって!!」

「────っぷははははっ!!」

「~~~~~ッ!!縁にも笑われたではないか!!」

「その怒りはちょっと理不尽!!」


光と久遠のやり取りを聞き縁が思わず笑い出して、羞恥に焼かれた久遠が光に当たる。光がそれに文句を言うと、再び平野からの通信が入った。


「三人共、聞いてくれ。出撃したらすぐにフォトングラストへと合体するんだ」

「いきなりの全力か、ずいぶん思いきりがいいな」

「「…………」」


平野から出撃してすぐの合体指示に光は拳を合わせて笑みを浮かべるが、縁と久遠はは何処か困惑した表情を浮かべている。

しかしそれに光が気が付く前に、平野からどうしてその様な指示が出たのか説明された。


「クロノドローンの出現していない現状が、奴を手早く倒せるチャンスなんだ。頼んだぞ、三人共」

「了解!!」

「「了解」」


平野の激励に光は力強く答え、縁と久遠ははまだ困惑しつつも頷いて答える。そうして格納庫のシャッターが開き、三機のマシンが発進した。


「超光合体!!」


基地から外に繋がるトンネルを抜け出た瞬間、縁が合体コールを叫び光と久遠が合体スイッチを押す。

その瞬間フォトンランダーの機首より生成されたパーティクルロードがジャンプ台となり、フォトンランダーの機体を空へと駆け上がらせる。

宙を舞うフォトンランダーはその姿をフォトングラストの下半身へと変形させると、合体状態に移行したフォトンファイターが合体してそのまま山に着地した。

そのまま加速をつけるためにフォトンファイターは山を駆け降り、速度のついた処で勢いよく空へと跳躍して、フォトングライダーの飛ぶ高度まで飛ぶと両腕を肩へと格納した合体状態にする。

フォトングライダーが背部スラスターと合体し、パーティクルキャノンは両腕に、機体中央部は胸部装甲に、尾翼は兜となってフォトンファイターと一つとなった。


「超光機人!!フォトングラスト!!!!」


フォトングラストのカメラアイが光を放ち、縁が高らかと名乗りをあげて合体が完了した事を告げる。

そのまま縁は合体により出力が大幅に上昇したスラスターを吹かし、クロノギアスの暴れる市街地に向かって飛び始めた。


「っ!!クロノギアス、映像出すぞ!!」


市街地へと向かう最中にセンサーがクロノギアスの姿を捉え、光は二人に情報を共有するためにモニターにその姿を映し出す。

街を破壊するクロノギアスの姿を見て三人の表情が険しくなる中、光は思わずといった様子でポロリと呟く。


「ずいぶんと貧相だな……」


それは、モニターに映った現れたクロノギアスの姿を見た際に浮かんだ光の感想だった。全体的なシルエットは先に戦った二体のクロノギアスと同様、二足歩行で歩く怪獣みたいな姿だが何処か違和感を感じる。

体全体は装甲に覆われてはいるも全体的に漆黒で、四肢や尻尾も先の二体に比べたら細いものであり、素体と言う言葉がよく似合う姿をそのクロノギアスはしていた。


「これなら、本当に手早く行けるかもな」

「油断はするな、また進化するかもしれないのだぞ」

「解ってるって、だから手早く終わらせるんだろ」


クロノギアスの姿に若干の余裕を浮かべた光を久遠が窘めると、光はそれに頷いて改めてクロノギアスへと目を向ける。

久遠の言う通り今までの様に進化する可能性が考えられる以上、油断して進化させられたら窮地に陥るのは自分達なのだから光は気を引き締め、そんなやり取りをしている間に市街地へとたどり着いたフォトングラストは、縁の手により蹴りの体勢を取ってクロノギアス目掛けて急降下していった。


「まずは……先手の一発!!」


縁の叫びと共に繰り出されるライダーキックを、接近に気付いたクロノギアスはその場から後ろへ飛ぶ事で回避する。

砂煙をあげながら着地したフォトングラストは、すぐに飛び退いたクロノギアスへとその顔を向けて拳を構えた。


「外見がシンプルな分、機敏って事か!」

「関節周りも可動を邪魔しない様になっている……今回は高速型かである」


上空からの急降下攻撃に対応したクロノギアスを目にして、光と久遠はクロノギアスをそう分析する。素体とも呼べる程に軽量化したボディに長い手足から来る広い可動域、尻尾による重心の移動と機動性に特化したのだと確信し、動きを見失わない様に光はクロノギアスを注視する。

クロノギアスもフォトングラストを注視してしばらく互いに睨み合っていると、突如としてクロノギアスが咆哮をあげて膝を曲げ、足をバネとして一気に加速して近付いて来た。


「はあっ!!」


けれど縁はそれに咄嗟に反応して、右腕を振るいクロノギアスの攻撃から身を守る。

速度を乗せた一撃を受け止められたクロノギアスは、反動を利用して後ろへ飛び退くと再び隙を窺う様に距離を取り、何時でも飛び込める様に膝を曲げてフォトングラストを睨み付けてきた。


「下手な武器が無い分、攻撃の被害は小さいが……」

「下手に見失うと一気に持ってかれるから気を付けろよ」


フォトングラストが一歩、また一歩と横に動けばクロノギアスも一歩、また一歩と横に動き正面を常に陣取り続ける。隙を見せれば再び襲い掛かって来ると気付いた三人は、緊張の糸を張り巡らせて冷や汗を流しながらクロノギアスを睨み付け攻め入る隙を探す。

そうしてクロノギアスの姿を観察してあることに気付いた縁が、すぐさま光へと指示を出した。


「光!!フォトンライフル!!」

「っ!!そういう事か!!」


突然の指示に混乱するも、すぐに指示を出して来た理由に気が付いた光はフォトンライフルを出現させる。

フォトンライフルはマウントされたままクロノギアスへとその銃口が向けられると、クロノギアスは銃口より逃れるために大きく飛び退く。そしてそれは、三人が待ちわびた大きな隙となった。


「そこだっ!!」


フォトンライフルの銃口より逃れるために行った横っ飛び、それで延び切った足では更なる推力を生み出す事は出来ず、飛び退きに合わせて急接近してきたフォトングラストに一気に距離を詰められる。

抵抗とばかりに繰り出された拳をフォトングラストは左腕で弾き、腹部に右ストレートを叩き込んでクロノギアスを吹き飛ばす。吹き飛ばされたクロノギアスは勢いよく道路上を飛び、背後にあったビルと激突して崩落によって起きた砂埃に包まれた。


「やったか!?」

「…………」


光は砂埃に包まれるクロノギアスを見て、機動力を重視するために装甲を削った進化前のクロノギアスならフォトングラストの拳の一撃は耐え切れまいと勝ちを確信するが、縁は眉間に皺を寄せて砂埃を睨み付ける。

すると砂埃が内側から吹き飛ばされた様に晴れ、中から多少の損傷はしているともそれほどダメージを負った様子の無いクロノギアスが現れた。


「っ!!やはり土壇場で尻尾を使って飛んでいたか……衝撃を大きく殺された……!!」


嫌な予想が当たってたと言わんばかりに縁が吐き捨てる。クロノギアスはフォトングラストの拳がぶつかる瞬間に自身の体を尻尾を使って後ろに浮かし、右ストレートの威力の殆どを逃がして後ろに飛んでいたのだ。

尻尾一本でも支えられる程に軽量化されたクロノギアスだからこそ出来た芸当に敵ながら光も舌を巻くも、すぐに気持ちを切り替えて武装レバーに手を掛ける。


「でもちったぁダメージは入ってんだ!!なら!!」


光が武装レバーのボタンを押して、腰部のフォトンライフルからビームがクロノギアス目掛けて放たれる。飛び退く準備の出来ていなかったクロノギアスはそれを両腕で防ぐと、再び足を曲げてバネにして横っ飛びをして射線から逃れていった。


「ちっ、逃げられた!!」

「でもダメージは確かに入っている、これなら──っ!?」


倒し切れなかった事に光が舌打ちを打つが、ダメージの蓄積はあったと見て縁は再びクロノギアスへと向かってフォトングラストを走らせる。

その瞬間、突如としてクロノギアスとフォトングラストを阻む様にバリアーが出現した。


「な、何だ!?」

「このバリアー……時空転移ゲートのか!?」


久遠が上空の時空転移ゲートを睨み付けてそう言い、二人の間に緊張が走る。

時空転移ゲートからのバリアーが張られる時は、揃ってクロノギアスが進化しており、またここから進化するものだと三人は身構える。

けれどバリアーに包まれたクロノギアスの姿はノイズに覆われる様な事はなく、紫の光となって時空転移ゲートへと吸い込まれて行く。

ク光となったクロノギアスを通した時空転移ゲートは、放っていたバリアーを解除すると徐々に小さくなっていき完全に閉じられた。


「……に、逃げられた……?」


しばらく状況が呑み込めなかった三人はその場で沈黙し、ようやくといった様子で光がぼそりとそう呟く。

それが引き金となったのか縁の口から大きく息が吐かれ、久遠も肩から力が抜ける。


「時空転移ゲートの反応消失……本当に逃げ帰ったな……」

「はぁ~っ……マジかよ……」

「逃がしたものは仕方無い。一旦帰投しよう」


久遠から時空転移ゲートが完全に閉じた事を告げられ光は思いっきり肩を落とす。縁はそれを逃がした以上どうしようも無いと割り切り、基地へと帰投するためにフォトングラストを空へと飛び立たせた。

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