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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第3節・新たなる影
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第2話

前回のあらすじ


クロノーア皇帝にフォトングラストの破壊を命じられたジェネル、シュタイン、リーリスの三人。

次の侵攻作戦はリーリス主導で行われることとなった。


クロノイドの襲撃と政府からの防衛組織発足の発表が為されてから五日目、滝音市は少しずつ先の戦闘の被害を復興して行き、かつての生活が戻りつつあった。

それは常磐高校も同じ事で、三日間の臨時休校を終えた常磐高校は再び授業を再開し、少しずつ元の様子へと戻りつつある。

けれど僅かに耳を傾ければ何処もかしこも異世界からの侵略者とそれから自分達を守る組織についての話題で持ちきりとなっており、それは当然常磐高校にて新聞を発行するジャナ部──正確に言えば奇天烈な記事を書く事に定評のある白部も同じ事だった。


「諸君!!次の新聞のネタは分かっているよな!?もちろん……これだぁ!!」


生き生きとした表情で白部が黒板を力強く叩き、黒板にマグネットで張り付けられた紙を揺らして大きな音が部室中に鳴り響く。


「高度な文明を持つ異世界からの侵略者に、それから世界を守る正義の組織……!!こんな美味しいネタ、取り上げない訳が無いだろう!!」


そう力説して白部は再び黒板を叩き、部室中に大きな音が響き渡る。余りの音の大きさに顔をしかめ耳を塞いだ光は、爛々とした目で語る白部をジト目で見つめ、ヒラヒラと揺れ動く紙について手をあげて問い掛けた。


「部長、その新聞どうしたんですか。明らかに学校が取ってる物とは違うのもありますよね?」


黒板には五日前の号外──北丘元国防大臣による会見から発表されたクロノイドとフォトンガードナーについて書かれた新聞記事が張り出されていた。しかもそれらは光の指摘した通り常磐高校で取っている分の新聞だけでなく、他所の新聞社の新聞も張り出されており、光は白部にそれらの出所を聞く。


「コンビニで買って来た!!処で水代部員、資料として集めたこの新聞の代金は部費で落ちるかね!?」

「そこはちょっと先生方に聞いて下さいよ……これ、どう処理されるのか判らないんですから……」


白部はそれに対して胸を張って答えると、花音に自腹で買った新聞が部費で落ちるかを問い掛けると、花音は眉間を指で解しながらそう答える。

花音の言う通り今は部活動の一環として部費で落ちるか、それとも一部活動で扱うには大き過ぎる問題だと却下を食らうかの二択が四人の頭に浮かぶが、同時に部費で自腹分が補填出来なくとも、白部の性格なら必要経費だと割り切りそうな所も想像出来た。


「そうか……まあそれはどうでもいいんだ。問題は、これらの何を記事の主題にするかだが……もちろんこれ一択だ」


白部は花音の言葉を聞くと小さく頷いて改めて黒板へと向き直り、板上に張り付けられている新聞を流し見すると、ある一枚の新聞を手に取って黒板より剥がす。


「『地球の希望!?スーパーロボットフォトングラスト』……やはりまずは主役からだ」


白部が手に取ったのはフォトングラストの姿がデカデカと乗った記事だった。白部の言う通り、話題としては地球側に立つロボットの方が注目を多く集めるだろう。


「俺が前に作った新聞を抹消したのは、こいつの存在を早い段階で知られたくなかった手の者の手引きに違いない……だが!!こうも存在を誇示した今なら!!何も邪魔されずに作れるはずだ!!」


記事を片手に力説する白部の話を聞いて溜め息をつく光と花音。花音は一応最後まで話を聞こうと意識を白部へと向けているのに対し、光は近くに座っていた縁と久遠に見を寄せて二人だけに聞こえる声で話し掛けた。


「……なあ、部長の新聞を盗んだのって……」

「察しの通り、僕達だよ……まだ情報を表に出せなかったから、こっそりね……」

「意外とセキュリティはしっかりとしていたが……まだ甘いな」


光がふと思った事を二人へと聞くと、案の定白部の新聞を抹消していたのはこの二人だった。おそらく白部の携帯から光と花音にメッセージを送ったのも、新聞の抹消中に鉢合わせしない様にするためだったのだろう。


「ジャナ部に入ったのも、彼の行動を監視する面が強かったけどさ……」

「予想以上に早く情報が公開されたがな」

「おおう……」


そのまま二人がジャナ部に所属した本当の理由を聞かされて光は思わず頬をひきつらせる。確かに二人は白部の書こうとする記事にちょくちょく口を挟んでおり白部はそれを参加意欲として感動していたが、まさかの情報規制だと知ったらどんな顔をするだろうか。


「聞いているのかそこの三人!!」

「うえっ!?」


話を聞かずに内緒話をしていたのがバレたらしく、三人に向かって白部の檄が飛ぶ。花音は溜め息をついて首を振っている処から、バレない様にしなさいとでも言いたげだ。


「すいません、聞いてませんでした」

「高坂が話しかけてきたから聞いていただけです」

「ちょ!?滝音!?俺に罪を被せるのか!?」

「事実だろう?」

「うぐっ……!?確かに話しかけたのは俺からだったけどさ……」


縁はすぐに白部に対して頭を下げるが、久遠は光が話し掛けてきたから聞いていなかったと言って光を指差す。

ぎょっとした光は久遠に文句を言うが、事実であることを睨み付けられながら言われて押し黙るしか出来ない。

そんな光達の様子を見ていて白部は若干不機嫌になるも、コホンと咳払いをして三人が聞いていなかった話をもう一度し始める。


「俺は次こそフォトングラストに関する記事を書き上げ、大々的に学校に張り出して見せる。そのために次の襲来があった時には避難の途中にも写真を撮るぞ!!」

「はぁ……さっきも言いましたけど、不謹慎ですよそれは……」


避難を後回しにして写真を撮る宣言をする白部に花音が溜め息をついて突っ込みを入れる。花音の正論に対して聞く耳を持たず決意を新たにしている白部に、おずおずと光が手をあげた。


「そもそも、また滝音市(ここ)に来ますかね?二回連続で来たのは流石に偶然でしょ?」


そもそもフォトンガードナー自体がクロノイドからの侵攻に対する防衛部隊だ。地球侵略を目的としているクロノイドが同じ場所に続けて出現するなど、よっぽどの事情がなければあり得ないと光は考えている。

花音も光と同意見らしく光の方を向いて頷いているのに対し、白部はまるで確信があるかの様に笑みを浮かべて笑いだした。


「フッフッフッ……高坂部員、君はロボットアニメを見ている割には分かって無いようだな……?」

「はぁ?何を分かって無いって言いたいんですか?」


突然のロボットアニメに対する飛び火に光は思わず困惑の声をあげると、白部は目を見開いてこれ以外には無いと言った感じに言葉を続ける。


「征服、侵略を目的とする連中の前にそれ等の野望を防がんと現れるスーパーロボットが出て来たなら、奴等は自らの邪魔物を排除しようとするのがお約束だろう!!」

「いや……確かにお約束ですけど、それが何で滝音市(ここ)に来る根拠になってるのかを聞いているんすけど……」


バンッ!!っと音がなりそうな勢いで語る白部に対して冷静に突っ込みを入れる光。確かにロボットアニメだと野望を邪魔するロボットを排除しようとするが、それと同じ街に現れることはイコールではない。

けれど白部はまるで再びここに来るのが分かっているかの様な口振りで説明し始めた。


「まずは何処に居るのか分からないロボットを誘き寄せるために、かつて戦った場所を集中して狙ってくる可能性があるだろう?別に他の場所でもいいのだろうが、確実に出て来る場所が分かっているのだからな」

「ああ、そういう……」


要は白部は同じ場所に立て続けに侵攻すれば、自ずと向こうからやって来ると考えている様だ。出て来なくても侵攻作戦は進んで行くと考えれば、支配するまではそこを餌に釣れる訳だと考えたらしい。

そんな不謹慎な話を続けていたせいかどんどんと花音の機嫌が低下して行き、今にも爆発しそうなオーラを醸し出し始めるのを感じた光は思わず身震いをし、縁は花音の様子が目に入り苦笑して久遠は相も変わらず無反応を貫く。

白部は一人気付かずに話し続け、今まさに爆発せんとなった瞬間部室に携帯のアラームの音が鳴り響き、全員の空気がピタッと止まる。


「時間になりました、失礼させてもらいます」


音の原因を探していると久遠が携帯を手にして立ち上がり一礼をし、部室の棚に置いてあった荷物を手にして部室を出て行く。久遠が帰って空気が崩れ白部が後頭部を掻き始めると、縁も立ち上がって一礼をした。


「それでは、僕も失礼させてもらいますね」


そう言って縁も荷物を手にして部室を出て行く。そうして部室に元々の三人だけが残り、花音が溜め息をついていると後頭部を掻いていた白部が口を開いた。


「あー……こうなったら今日の部活は終わりか……俺も今日は戻る。家で色々と調べさせてもらおう」

「あ、はい。お疲れ様でした」

「お疲れ様っす」

「二人もお疲れ様。あ、ちゃんと部室の掃除はしておくようにな?」


そう言うや白部も部長席横に置いていた荷物を手にして部室を出て行き、部室には光と花音の二人が残される。

少しして花音があることに気が付いたのか、大声をあげて白部が出て行った入口の方を見て叫んだ。


「あ!!部長!!私達に掃除を押し付けましたね!!」


さらりと掃除を押し付けて帰って行った白部に花音が怒り、入口へと向かって廊下へと飛び出して行く。光もその後に続いて廊下へと出たがそこには既に白部の姿は無く、地団駄を踏む花音しか居ない。


「あー……それじゃあ俺先に掃いとくから……」


地団駄を踏む花音を見てそう一声かけて、光はそそくさと部室へと戻って行く。花音はしばらく廊下で肩をわなわなと震わせていると、冷静になったのか溜め息をついて肩を落としながら部室へと戻って行った。


「水代、大丈夫か?」

「大丈夫……何処まで掃いた?」

「左半分、右は任すわ」


部室に戻った花音は掃除用具が入ったロッカーから箒を取り出し、光がまだ掃いていない部室の右半分を掃き始め、光もモップをロッカーから取り出すと箒で掃いた場所を拭き始める。

そうして光が自分で掃いた部分を拭き終えた処で丁度花音が右半分を拭き終え、そこにもモップ掛けを行おうとした処で花音が話しかけてきた。


「高坂はさ、掃除終えたらどうするの?」

「あ?どうするって?」

「いや、何か用事あるのかな~って」


花音がそう光にこの後の予定を聞いてきて、光は少し考え込んでポンッと掌を叩く。


「ああ、取材の手伝い?それ位なら大丈夫だぞ?」


そう言って花音の用事に手伝えると頷く。花音は白部が奇天烈な記事を書いている裏側で、学校側から白部の記事がボツになった際にリカバリー出来る様にまともな記事を書いている。

その時はテンションが上がって白部が熱中し始め、手持ち無沙汰になった光をアシスタントに作業するのがお決まりの流れになっていた。


「よかった、ネタは一つ上がってるのよね」

「そうかい。んで、そのネタって何よ」

「ふふん!聞いて驚きなさい……」


光から取材の協力を取り付けた花音は得意気に手を叩き、光にどの様なネタを書こうか説明しようとする。しかしその瞬間、光の携帯から着信音が鳴り響いた。


「っと、済まん…………もしもし」

「もしもし、光?僕だよ」


光の携帯に電話を掛けてきたのは縁だった。電話越しに車のエンジン音が聞こえる所からすると、滝音コーポレーションへと向かっている途中だろうか。


「縁?一体何の用だ?」

「ごめん、今君の周りに人は居る?」


縁は電話越しに光の周りに誰か居ないかを問い掛けてくる。光は背後で電話の様子を眺めている花音を一瞥すると、彼女から距離を取って小声で伝え始める。


「後ろに水代が居るが……一応距離を取ったが大丈夫か?」

「ちょっと不安かも……」

「判った、ちょっと外に出る」


光はそう言って保留ボタンを押して一旦携帯から耳を話し、花音へと振り返る。その動作で花音は光が何をしたいのか解ったらしく入口を開けて外に出るよう促した。


「済まん……」

「いいわよ、何時までも保留にしてたら有沢君に悪いでしょ?」


頭を下げる光に最初に誰から掛かって来たのかを聞いていた花音は、光の持つモップを手にすると自分で掃いた場所にモップ掛けを始める。

その姿に光はもう一度頭を下げると部室を出て、人の寄り付かない屋上前の踊場へとやって来て保留を解除した。


「ここなら大丈夫だ……それで、何があった?」

「……時空転移ゲートが開く予兆が見られた。またクロノイドの侵攻があるかもしれない」

「っ!?本当か──っ!?」


時空転移ゲートの開く予兆があると言われ光が驚愕の表情に 包まれた瞬間、常磐高校を地震が襲う。

揺れに耐える光は、話の内容からあることを想像すると、縁が光に対して何が起きたのかを伝えて来た。


「光……悪いけどすぐに来てくれ、クロノギアスが出た!!」


縁がそう真面目な声音で告げた瞬間、市街地方面より何かが地面に着地する音が響き渡った。

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