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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第2節・戦う理由
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第1話

この話より第2節に入ります。

今後とも超光戦機フォトングラストをよろしくお願いします。


前回のあらすじ


クロノドローンを掃討した光と久遠が縁に合流し、二人は縁が回復するまでの間クロノギアスを足止めする。

そして縁が回復すると、三人の乗るメカが合体した巨大ロボ・フォトングラストによってクロノギアスは撃破された。

眼前をクロノギアスの炎が覆い尽くし、炎の海を躊躇いなく突き進んで拳を放つ。

繰り出される爪の一撃を腕で抑え込み、返しとばかりに腹部を蹴り飛ばす。

殺さんと振るわれて来る尻尾を胴で受け止めると尻尾を抱え込み、ジャイアントスイングで投げ放つ。

光の剣を手にすると天に舞い剣を高く掲げ、此方を見上げてくるクロノギアスに向かって一気に急降下していき掲げた剣を──


「ぬがっ!?」


伸ばしていた腕のせいでバランスを崩した光がベッドから転げ落ち、床に思いっきりぶつかって悶絶する。受け身を取ることもなくぶつかった腕の痛みを堪えながら、光は夢から目を覚ました。


「いってぇ~~~~っ……!」

「光~?何ドタバタしてんの、早く朝御飯食べなさい!!」

「ご、ごめん!今降りる!」


光が痛みに悶えていると落下の音が聞こえていたらしく、下の階から光の母──茜の呼び掛けが聞こえてくる。

それで完全に目を覚ました光はぶつけた所を手で抑えながら、食卓のある一階まで降りていった。


「おはよう」

「おはよう、学校はどうだって?」

「学校?……あ、ちょっと待ってて……やっぱり無いって」


茜からの問い掛けに光は首を傾げるも昨日の事を思い出して携帯を開く。そこには学校から本日は休校と連絡が届いており、今日は学校が無いことを茜に伝える。


「そう……まあ、あんな事があったからねぇ……」


そう言うと茜は部屋の壁際に置かれたテレビへと目を向ける。そこには昨日の惨状を物語るボロボロになった建物が映し出されていた。


『…………こちらの建物は謎の機械部隊の襲来の際にいの一番に攻撃を受けたらしく、避難もままならぬ状況でして多くの──』


破壊された建物を背にしてアナウンサーが被害を説明しようとするが、顔をしかめた光はリモコンを取ってテレビを消して朝食を食べるのに集中する。


「珍しいね、あんたがテレビを見ないで御飯を食べるなんて」

「……俺だって見たくない時位あるっての……」

「ま、そうよね。あんなの見せられて御飯が喉を通る訳ないもの」


茜は光がテレビを消したのを被災現場を見せられながらだとまともに食べられないのだと認識し、大して興味を持たずに皿洗いを続ける。けれど光は、茜の考えとは別の理由で頭を悩ませていた。


(やっぱり昨日の……夢じゃなかったんだな……)


クラスメイト二名によって連れて来られた秘密基地、そこで巨大メカに乗ってクロノドローン掃討にクロノギアス討伐。現実離れし過ぎた出来事ばかりが続き夢オチだと認識したかったが、学校からのメールとニュースを見てそれらが現実の出来事だと教えられ頭を悩ます。


(まずあの二人とどう顔合わせりゃいいんだよ……)


脳裏に浮かぶのは二人の顔、光と共にクロノドローンとクロノギアスを打倒した縁と久遠。

あの二人は既に知っていた様な様子であったため、光がどの様な扱いになってしまうのか考えていると、朝早くにインターホンが鳴り響く。


「はーい!!……こんな朝早くに誰かしら……部長さん?」

「あー……」


茜が白部の名前を挙げて光は思わず声を出す。携帯には学校からのメールの他に、白部と花音からのメッセージが数多く届いていた。もしかしら心配の余り朝一にあの二人が家を訪ねてくるかも知れないと考え、なくはないと考える。

そんな風に考えながら急いで朝食を掻き込んでいると、玄関に向かった茜が光に呼び掛けた。


「光ー、あんたにお客さん!」

「はーい」


光相手の客だと聞いて、光は食べ終わった食器を台所へ運ぶと玄関に向かって歩き出す。その最中に来客を白部と花音の二人かと思っていた足が、ある事に気が付いてピタリと止まる。


(……待て、あの二人がわざわざ待つか?)


白部と花音なら間違いなく昨日の避難関係の話で来たのだろう、その場合あの二人だったら茜に理由を言って家に上がって来る筈だ。それをせずに玄関で待つという行動を二人が取るとは思えない。

他にも去年の文化祭で茜は少なくとも白部と花音の二人とは、光の部活仲間として面識がある。それなのに当人達の名前を呼ばずに客とだけ呼んだのは、今家に来ているのがその二人とは違うからだと気付けた。


(今この状態で、俺に用があって尚且つ怪しまれなさそうな奴は……!)

「光ー?早く来なさーい!」


来客の推測をしていると茜からの催促が入る。逃げることが出来そうにないと観念した光は溜め息をつくと玄関に向かって再び歩き始める。

玄関の前に向かうと扉の前に茜が立っており、茜は光を見つけるとそそくさと家事に戻っていく。


「いらっしゃい……って、やっぱりお前達か……」


意を決して扉を開けた光は、その先に居た予想通りの二人の姿を見て溜め息をつく。そこには──


「やあ、おはよう」


爽やかな笑みを浮かべて光に対して手を振る縁と、


「……………………」


相も変わらず無愛想な表情で見てくる久遠の姿があった。


「何の用……って聞くのは、野暮だよな」

「察しがいいな、昨日のこと(・・・・・)だ」


溜め息混じりに光が二人が家に来た理由を察していると告げると、久遠が頷いてはっきりと告げる。二人は昨日のクロノドローンとクロノギアスの襲撃の際に、巨大メカに乗って戦った光を呼びに来たのだ。現に玄関から見えるコインパーキングには、二人が乗って来たであろう黒塗りに後部窓ガラスにスモークが張られた車が停まっている。


「んで、俺を連れてくって?」

「大丈夫、悪い様にはしないから」

「いやそれ、大体悪い様になるテンプレ……」


とにかく二人が自身を連れて行こうとしているのに気が付いた光は溜め息をつくと、一旦家へと戻ろうとして久遠に腕を掴まれる。


「おい……拒否権は無いぞ……?」

「わぁーってるよそれくらい!せめて歯は磨かせろ!朝飯食ったばっかなんだよ!」

「久遠……流石にそれ位は許そうよ」

「……」


歯を磨くと言っても久遠は手を離さず、縁から釘を刺されて不服そうに手を離す。光はそれに溜め息をつくと洗面所へと向かい、その道中で洗濯物を洗い終えた茜とすれ違った。


「あらあんた、お客さんは?」

「後でそいつ等と出るから、昼飯は多分要らない」

「あらそう?戻って来る時には連絡入れるのよ?」


茜はそう言うと洗濯物を入れた籠を手にして洗面所から離れていき、光は洗面所にて軽く歯を磨いて顔を洗うと携帯と財布を持って二人の元へと向かう。


「準備出来たぞ」

「よし、それじゃあ行こうか」


玄関で待っていた二人に準備を終えた事を告げると、縁が先導してコインパーキングで目に入った車の後部座席に入って行き光も久遠に押し込まれてその中に入れられ、最後に久遠が乗り込んで扉を閉めると近くに居た一人の男が支払いを済ませ車に乗り込み、コインパーキングから出ていった。






「秘匿の事を考えて、かなり乗せられることになるけどいいかな?」

「別に気にしねぇよ、車酔いは余りしねぇし」


コインパーキングを出て市街地を走る車の中で、縁が光にそう断りを入れる。現状は市街地を走っているが、フォトンランダーが発進したトンネルが山岳部にあったことを鑑みるに今走ってるい道はあくまでフェイクなのだと光は気付く。


「ならよかった。結構長く走るからその辺は気を付けてほしいからね」

「……縁、余りべらべらと喋るな。機密を漏らしかねない」

「久遠……そこまで気張らなくてもいいと思うけどねぇ……」


光に対して話を振ってくる縁に、久遠が鋭い目をして釘を刺すとそれに縁は苦笑いを浮かべる。


「呼び捨てなんだな、お前等」

「そりゃあ、それなりに付き合いはあるからね」

「縁、お前……」


二人が呼び捨てで呼び合うのが気になった光の問いに縁がそう答えると再び久遠が縁に鋭い目を向けて、視線を向けられた縁は失言だったと言いたげに口を手で抑えて光に対して頭を下げた。


「これ以上はちょっと禁則事項かな?彼女にも釘刺されちゃったし、しばらくは静かにしとこうか」

「お、おう……」


何故呼び捨てで呼び合う事が禁則事項になるのか解らなかった光は首を傾げるもひとまず縁に頷く。

その後は会話も無くただ道を走り続け、三人を乗せた車は少しずつ市街地から離れ山岳部に近付いていく。そうして最後にある一本道前に車が辿り着くと、運転手はその道の方へとハンドルを切って進み始める。


(……ん?)


その道を進む最中光は今通っている道に既視感を覚え辺りを見回そうとするが、窓際を二人に占領されていてフロントガラスからしか外の様子を窺えない。けれど、しばらく走り続けると木々の間からある建物が目に入り、光は思わず声をあげた。


「滝音コーポレーション……!」


光の呟きを聞いて縁が僅かに笑みを浮かべる。そのまま車は滝音コーポレーションの建つ湖まで辿り着くと、ビルの建つ孤島に続く橋を渡ってビル横の立体駐車場の中へと入っていく。

そのまま車用のエレベーターに入ると、運転手は胸元から縁が第三倉庫の鍵を開けた時に使ったのと同じカードを取り出すと窓を開けて身を乗り出すと、運転席横の操作盤に向かって身を乗り出す。

普通だったらそこでボタンを押して階層を指定するのだが、運転手は一階のボタンにカードを翳すとピピッと読み込む音が聞こえ、エレベーターの扉が閉まり下へと下がって行く。


「地下……?」


地下へと降りていくエレベーターに乗った車の中で、光は自分が下へと下がって行くのを体で感じてキョロキョロとする。

隣に座る二人が平然とする中一人そわそわとし目的地に着くのをしばらく待つと、エレベーターが止まり車の前の扉が開いて先へと進む。

運転手はそこにあった駐車場に車を停めると、エンジンを切って外へと出た。


「さて、ここからは歩きだよ」


縁はそう言うと車から出て行き、光もその後に続いて車から降りる。二人は先に出ていた久遠の居る入口へと向かうと、久遠は扉に縁の物と同様のカードを翳してロックを解き建物の中へと入って行く。


「っ!ここって、昨日の……!」


縁に続いて光も建物の中に入ると、そこは昨日二人によって連れて来られた施設と全く同じ作りをしており、光は思わずキョロキョロと壁や通路を見渡す。


「高坂、僕達についてきて」


そんな光に縁がそう言うと二人は光を先導する様に先を歩き、キョロキョロするのを止めた光が慌ててその後を追いかけて行く。


「なぁ……俺を何処に連れて来んだよ」

「もうすぐだから、気にしないで」


光の問いに縁はそう言って聞く耳を持たす、久遠に視線を向けるも一瞥すらしない。

光がそのまま居心地の悪い中を進んで行くと、一つの両開きの 扉の前で二人の足が止まる。


「えっと……『指令本部』……?」

「ここで、指令がお前の事をお呼びだ」


扉の上に付けられたプレートに記された文字を読み、それが部屋の名前だと気付くと久遠がそう言って部屋の中へと入って行く。

司令部という機密の塊の様な部屋の中に入れと言われた光は思わず縁の方を見るが、縁は相も変わらずな笑みを浮かべて言う。


「大丈夫、変な事はされないからね」

「だからそれ変な事をされる常套句……って、先行きやがった……!」


一人残された光は扉の前でどうするかを考える。

正直言ってここで部屋の中に入らなければろくな事にならないというのは直感で気付いている。けれど、もし入ったとしても無事に戻れる保証が無い。

扉の前で腕を組み逡巡していると通路の奥の曲がり角より靴が床を叩く音が聞こえて来て、その足音は此方へと近付いてきていた。


「っ!まず……っ!?」


足音ではっとなった光は慌てて身を隠せそうな場所を探すも見つからず、床に人影が映り曲がり角を曲がろうとする。

怪しまれること覚悟で曲がり角に背を向けると、そこより現れた人は光に向かって声を掛けて来た。


「なんじゃお主、こんな所で突っ立っておって」

「は、博士!?」


声を掛けて来たのは光をフォトンランダーに乗せた博士で、彼は光が司令部前に立っているのを訝しげに見るも、何事の無かったかの様に司令部に入って行く。


「あっ?えっ?」


光は司令部へと入って行った博士を呼び止めようとするもすぐに扉が閉まる。

再び一人残された光はしばらく固まるも、意を決して頬を叩いて活を入れた。


「ええい!南無三!」


そう掛け声をあげて扉に手を掛け、開けて司令部へと入って行く。そんな光を──


『ようこそ!!高坂光君!!』


司令部に居たであろう大人達が手を叩いて出迎えた。

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