風が囁いた:何を食べる?
滝を後にしてから、すでに数時間が経っていた。
川の上流周辺は湿地ほど水に浸かってはいなかったが、それでも穏やかな場所とは到底言えない。
地面はまだ湿っていて、太い根が何度も道を塞ぎ、植物も密集しているせいで、思った以上に進む速度が落ちていた。
滝の水溜まりで飲んだ澄んだ水のおかげで喉の渇きはなくなった。
だが、腹の空っぽな感覚はどんどん強くなっていた。
空腹はもう、本気で無視できないほどになっていた。
私が腹へ手を当てるたびに、エリッサがちらりとこちらを見る。
しばらくすると、とうとう当たり前のことを口にした。
「先へ進む前に、何か食べた方がいいわね」
私はすぐに頷いた。
小さな動物でも狩るのだろうと思った。
川で魚を捕るのかもしれない。
あるいは、この森にある数少ない「食べても殺されない果物」を見つけてくれるのかもしれない。
そんな期待は、エリッサが苔に覆われた腐った倒木の横へしゃがみ込んだ瞬間に消えた。
彼女は崩れかけた木の欠片を剥がし始めた。
樹皮の下から出てきたのは、指二本分ほどの大きさがある黒い甲虫、ゆっくり身体をくねらせる太く白っぽい幼虫、それに隙間へ隠れていた小さなサソリだった。
エリッサはまるで当たり前のことのように、その中からいくつかを選び分けていった。
長く確認するまでもなく捨てるものもある。
残すことにしたサソリは、尾を慎重に掴み、針の付いた先端部分を取り除いてから、大きな葉の上へ置いた。
見つけたものの一部は、湿原からずっと持っている即席の袋へ入れられた。
残りは葉の上へ分けて置かれ、私の目の前でまだ動いていた。
「分かった。それが餌なんだな。で、本物の食事はどこ?」
エリッサが顔を上げた。
「これが食事よ」
私は数秒待った。
どうせすぐに笑い出すと思っていた。
だが、何も起きなかった。
「本気で言ってる?」
「ものすごく本気」
彼女は葉の上を指した。
「幼虫は脂肪が多い。甲虫も食べられる。サソリも、毒のある部分を取れば食べられるわ」
私はもう一度その品揃えを見た。
どれが一番マシそうか考えてみる。
分からなかった。
「で、どうやって調理するんだ?」
エリッサは幼虫を一匹、指でつまんだ。
「しない」
意味を理解するまで少し時間がかかった。
「生で?」
「そう」
私は一歩後ろへ下がった。
「絶対嫌だ。小さな焚き火くらいできないのか? 少し焼くだけでいいから」
「今は昼間だし、ここに長く留まるつもりもない。煙で何かを呼び寄せる可能性もあるし、必要もないのに時間を使うことになる」
「今の俺には、その『必要もない』って言葉がかなり主観的に聞こえる」
エリッサは文句を無視した。
「この種類なら、そのまま食べられる」
そう言うと、幼虫を口へ入れた。
私はすぐに顔を逸らした。
だが、それでも噛む音までは消えてくれなかった。
胃がきゅっと縮んだ。
それが空腹のせいなのか、気持ち悪さのせいなのか、一瞬分からなかった。
「どんな味?」
エリッサは飲み込んでから答えた。
「ほとんど味はないわ」
私は彼女を見た。
「全然安心できない」
エリッサにとっては、むしろ長所らしい。
彼女はさっきより少し大きな幼虫をもう一匹つまみ、こちらへ近づいてきた。
「口を開けて」
私は即座に首を横に振った。
「嫌だ」
「アルヴェン、食べないと駄目」
「ほかのものを探す」
「次に何か見つかるのがいつか分からない。あなたは疲れてるし、怪我もしてる。もう歩く速度も落ちてる。このまま食べなかったら、もっと悪くなる」
「じゃあ待つ」
エリッサは一瞬腕を組んだ。
明らかに苛立ち始めている。
「口を開けて」
「嫌だって言っただろ」
私は顔を逸らし、口を固く閉じた。
だがエリッサの方が速かった。
片手で私の顎を掴み、逃げられる前に頭を固定した。
「待て、待て!」
文句を言おうとして口を開いた。
それだけで十分だった。
再び閉じるより先に、エリッサが幼虫を歯の間へ押し込んだ。
私は目を大きく見開き、すぐに吐き出そうとした。
だが彼女が手で口を塞いだ。
「噛んで」
私は必死に首を横へ振った。
幼虫が舌の上でまだ動いている。
それだけで何もかもがさらに最悪になった。
彼女の手をどけようとしたが、何年も訓練してきた相手と力比べできるほど、今の私は元気ではなかった。
「噛んで、アルヴェン」
私は目を閉じ、ついに噛んだ。
柔らかすぎる感触。
中身が口の中で潰れ、湿った木と脂のような妙な味が広がった。
私は今自分が何をしたのか考えないようにしながら、できるだけ早く飲み込んだ。
ようやくエリッサが手を離した。
私は鼻から深く息を吸い、胃が全部吐き戻さないよう必死に説得した。
「ほら」
彼女が言った。
「死ななかったでしょ」
私は持っていた破れたチュニックを取り出し、まだ比較的傷んでいない部分で口を拭いた。
「まだ確認する時間が足りないだけかもしれない」
エリッサは葉のところへ戻り、甲虫を一匹つまんだ。
それを見た瞬間、私はまた後ろへ下がった。
「嫌だ」
「幼虫一匹だけじゃ足りない」
「今日の気持ち悪いもの枠はもう使い切った」
「今、一匹食べただけでしょ」
「だからだよ。もう俺の分は終わった」
エリッサが甲虫をつまんだまま近づいてくる。
「アルヴェン」
「絶対やめろよ」
さらに一歩近づいてきた瞬間、私は背を向けて逃げようとした。
数メートル進んだところで右足が根を踏み、危うく転びそうになった。
両足はまだ切り傷のせいで敏感だった。
そのうえ裸足でこんな地面を走り、身体全体が歩き疲れて悲鳴を上げている。
私の逃走は、自分が思っていたほど格好のいいものではなかった。
後ろからエリッサが数歩追ってくる音がした。
だが、すぐに止まった。
「アルヴェン!」
私は根を避け、尖った石を踏まないようにしながら、できるだけ速く進み続けた。
「この脚であなたを追いかけることになったら、サソリも食べさせるからね!」
私は即座に止まった。
肩越しに後ろを見る。
エリッサはまだ倒木の近くにいて、右脚へ少し多く体重をかけながら、指の間に甲虫を持っていた。
「それは脅迫だ」
「効いてるでしょ」
私は葉の上のサソリを見る。
それから彼女の手にある甲虫を見た。
本当にあの脅しを実行される可能性を考えると、ゆっくり戻るしかなかった。
「分かった。交渉しよう」
エリッサが眉を上げた。
「交渉?」
「幼虫二匹。それで終わり」
「四匹」
「二匹」
「三匹と甲虫半分」
私は本気で言っているのか確かめるように彼女を見た。
「何かの値段を決めてるみたいに交渉するなよ」
「あなたが必要以上に難しくしてるからでしょ」
「幼虫三匹。甲虫なし」
「幼虫二匹と甲虫半分」
「意味分からないだろ。幼虫が減ってるじゃないか」
「じゃあ幼虫三匹と甲虫半分」
「交渉下手だな」
「そして、あなたは空腹」
私は数秒黙ってから、サソリを指した。
「あいつらは完全に契約外だからな」
「逃げないなら」
「決まりだ」
私は倒木の近くへもう一度座った。
そして、自分の食事を前にした人間とは思えないほど低いテンションで、幼虫三匹を受け取った。
二匹目を飲み込んだところで、考えすぎる方が余計につらいと悟った。
甲虫半分は、身体の硬い部分のせいでさらに不快だった。
それでも今回は、エリッサに口を押さえられることなく最後まで食べ切った。
食べながら、エリッサが別の幼虫を選んでいるのを見て尋ねた。
「じゃあ、ここにいるやつならどれでも食べられるのか?」
「違う」
「それ、俺に食べさせる前に言えただろ」
「あなたに渡したものが安全なのは分かってた」
彼女は倒木の近くへ捨てた生き物のいくつかを指した。
「寄生虫を持ってる幼虫もいる。食べた植物のせいで、身体に悪い物質を溜め込んでるものもいる。毒を作る甲虫もいるわ」
「それ全部、見ただけで分かるのか?」
「形で分かる種類もある。色、匂い、生息してる場所で見分けるものもある。安全な種類とほとんど同じに見えても、生で食べちゃいけないものもある」
私は周囲に散らばる木の欠片を見た。
「じゃあ俺一人だったら、この倒木を見つけても、たぶん外れを選ぶんだろうな」
「たぶんね」
「答える前に少しくらい考えるふりをしてくれてもいいだろ」
「考える必要ないもの」
私は目を回し、今度は自分から幼虫を一匹取った。
「村でも普段からこれ食べるのか?」
エリッサは笑いそうになった。
「食べないわ。果物も根も肉も魚もあるし、もっと美味しいものがいくらでもある。これは旅の途中で、狩りや調理に時間を使えない時の食べ物」
「じゃあ、お前も好きじゃないんだな?」
彼女は手に持った幼虫を見た。
「そんなこと言ってない」
「エリッサ」
「食べ物よ」
「その答えはなしだ」
彼女は肩をすくめ、そのまま幼虫を口へ入れた。
それで話は終わった。
少なくとも今は、村の子供たちがああいう食べ物の見分け方を覚える理由が分かった。
子供の頃から腐った倒木から幼虫を取って食べているからではない。
巡回や長い旅では、必要になることがあるからだ。
食べ終えると、エリッサはすぐには腐らず、持ち歩けそうなものだけを即席の袋へ入れた。
サソリも慎重に分けて持っていくことになった。
もっとも、それについては完全に彼女の問題だと、私ははっきり伝えておいた。
少しして、私たちはまた歩き始めた。
あの食事は、これまで食べた中で最高とは到底言えなかった。
それでも腹の空っぽな感覚はかなり減り、その後の歩みは少しだけ楽になった。
午後はさらに進み、木々の間から差し込む光も少しずつ弱くなっていった。
しばらくすると、エリッサは地面や太い根、川の近くにある岩の形を以前より注意深く見るようになった。
何を探しているのか、聞く必要はなかった。
空腹はひとまず解決した。
だが完全に暗くなる前に、今度は夜を過ごせる場所を見つけなければならなかった。




