風が囁いた:葬儀
夕刻は何の前触れもなく訪れた。ヴェリダンの死後、北の村はそれまでの時間帯よりも遥かに深い静寂に包まれていた。普段なら話し声や住民たちの行き交う足音でにぎわう懸け橋の上も、今は低く抑えられた足取りと、わずかに遠くから届く声が行き交うのみだった。
子供たちはすでに吊り橋の間を走り回るのをやめていた。職人たちは小屋の中で黙々と作業に励み、巡回から戻った狩人たちは、私が日頃耳にしていたような会話も交わさずに村を通り抜けていった。ヴェリダンは、エリッサにとってだけ大切な存在だったわけではないのだ。住民たちの反応から、彼が長年にわたり多くの人々に親しまれていたことが伺えた。
セリアと私は、再び牢の中にいた。
私がこの村に到着してから起こったあらゆる出来事にもかかわらず、私たちは公式には依然として拘留の身であった。特に私がシルヴァリスとまみえてからは状況が変わりつつあったものの、私たちが今後どう扱われるのかは誰一人として結論を出していなかった。
その時、生きている木の格子窓の前にヴァレリス師が姿を現した。
彼女は昼の間に纏っていた明るい色合いの衣を脱いでいた。現在の彼女は、黒い布地や乾燥した葉、編み込まれた植物の繊維、そして衣装のそこかしこに留められた小さな動物の骨で構成された儀式用の装束を身に着けていた。彼女の腕には、それぞれ異なる色の顔料が入ったいくつもの土器が抱えられていた。
「――ヴェリダンの遺体は、今夜森へと還されます」と彼女は言った。「――夜が明ける前に」
私は彼女が携えている容器を見つめた。
「どうして儀式は夜に行われなければならないのですか?」
ヴァレリスは器の一つを整えてから答えた。
「――我が民において、昼は生者のための時間なのです。狩りをし、働き、村を守るための時間。夜は、亡き者を森へと送り出すための時間なのです。私たちは暗闇を不吉なものとは考えません、アーヴェン。私たちにとって夜とは、旅立った者たちが根の元へと還る刻に過ぎないのです」
私はゆっくりと頷いた。
ヴァレリスはまっすぐに私へと視線を向けた。
「――そして、お前も列席するのです」
私は驚いて彼女を見つめた。セリアもまた眉をひそめた。
「……僕がですか? 本当に良いのですか?」
「――異邦人が我が民の葬送の儀に加わることは、本来であれば叶いません」とヴァレリスは説明した。「――ですがお前はヴェリダンの最期に立ち会い、シルヴァリスに認められ、そして私の許しを得た。お前の参列を無礼と見なす者はおりません」
彼女はわずかに言葉を区切った。
「――それに、お前たちの仲間と我が民との間に真の絆を結びたいと願うならば、誰かを失った際に私たちが従う伝統をも知るべきなのです」
セリアが少し身体を乗り出した。
「――私も同行できますか?」
ヴァレリスは首を横に振った。
「――今回は叶いません」
セリアは説明を待つように沈黙を守った。
「――儀式のこの工程においては、村の者と、精霊の許しを得た客人だけが列を為して進むことができるのです」と巫女は続けた。「――お前を信用していないわけではありません。これは単に、儀式に定められた掟なのです」
セリアは小さく溜息をつき、壁に背をもたれかけさせた。
「――わかりました。今度は警備兵をなぎ倒したり、何が起きているのか確かめるために別の聖樹へ侵入したりしないとお約束します」
ヴァレリスの唇に、控えめな笑みが浮かんだ。
私は顔を手で覆った。
「……君はいつまでそれをネタにし続けるつもりなんだ?」
「――たぶん、当分はね」
軽口とは裏腹に、セリアはそれ以上参列を主張しなかった。
ヴァレリスは私に同行するよう促した。警備兵の一人が牢の通路を開き、私は外へ出た。巫女の後に続こうとした時、セリアが私を呼ぶ声が聞こえた。
「――アーヴェン」
私は振り返った。
彼女は格子のすぐ近くまで寄ってきていた。
「――エリッサのことだけど……今日起きたことについて、彼女と話そうとしないで」
私はゆっくりと頷いた。
「――わかっている」
「――説明しようとしたり、助言したり、今すぐ何かに気づかせようとしたりもしないで」とセリアは続けた。「――彼女は叔父さんを失ったばかりなの。時間をあげて」
「――放っておくよ」
セリアは頷いた。
「――そのほうがいいわ」
木々の梢の向こうへと空が少しずつ消え去っていく中、私はヴァレリス師に従って懸け橋を進んだ。
数分後、私たちは村の中心にある巨木の一つの周囲に作られた広々とした木道へと辿り着いた。その場所には小さな木製の卓がいくつも並べられ、その上には黒、濃緑、灰色、そして紫色の顔料が入った土器が置かれていた。
砕かれた木炭、樹液、薬草、そして土の匂いが、その場に濃密に立ち込めていた。
すでに多くの黒エルフたちが二人一組となって集まっていた。腰を下ろしている者もいれば、相手の顔や腕、首元に塗料で文様を描き込んでいる者もいた。
彼ら全員にある共通点が存在することに気づくのに、そう時間はかからなかった。
誰も、己の顔に自ら文様を描いてはいなかった。
常に、別の誰かがそれを行っていた。
しばらくそれを見つめるうちに、私はそれが単に文様を描きやすくするための実用的な理由だけではないことを理解した。それもまた、儀式の一部なのだ。その夜において、喪の悲しみでさえも、たった一人で背負うべきではないのだと。
プラットフォームの隅にあるテーブルへと案内された。私を待っていたエルフは、見た目を人間の感覚で言えば、二十代前半といったところだろうか。それでも、その堂々とした佇まいと無駄のない動作は、その若い顔立ちからは想像もつかないほどの経験を積んでいることを伺わせた。
「ここへお座りください」彼女は低い椅子を指しながら言った。「私はサエリスと申します」
彼女が毛髪や植物の繊維で作られたいくつかの刷毛を整える中、私はその前に腰を下ろした。
「顔を動かさないでくださいね」黒い塗料に刷毛の先を浸しながら、彼女は求めた。「私たちの民の葬送の儀に参列するのは、これが初めてですか?」
「この世界での葬送の儀自体、これが初めてです」私は答えた。「正直に言えば、どう振る舞えばいいのかも分かっていません」
サエリスは私の肌の上に、最初の文様を描き始めた。
「特別なことをする必要はありませんよ。ただ見守り、静寂を尊び、一人一人がそれぞれのやり方で感情を露わにするのをそのままにしてあげてください。ご自身のものではない痛みを、理解したような気になって言葉にしようとしないでください。ただそこに居合わせる、それだけで十分なのですから」
刷毛の邪魔にならないよう、注意深く頷いた。
作業を進めながら、サエリスはヴェリダンについて語り始めた。
「あの人は私の家族ではありませんでしたが、もう何年も前から知っていました。巡回から戻るたび、ここへ立ち寄っては若い狩人たちが使う縄を点検していたものです。不格好な結び目の縄で森へ出る者などいてはならない、と仰っていました」
彼女は刷毛を持ち替えた。
「子供たちもあの人が大好きでしたよ。村に姿を現すたび、背中に群がっていたものです。ヴェリダンは文句ばかり言っていましたが、決して子供たちを振りほどこうとはしませんでした」
その話に耳を傾けるうちに、亡くなった男に対する私の見方は少し変化していった。それまでの私にとって、彼はエリッサの叔父であり、国境から重傷を負って戻ってきた戦士に過ぎなかった。しかし今、なぜ村全体がこれほどまでに悲しみに暮れているのかが、理解でき始めていた。
サエリスが作業を続ける間、私は他の住民たちの絵の具の文様を観察した。
「その文様は、人によってそれぞれ異なるのですか?」と私は尋ねた。
「違います」
彼女は近くにいる二人の住民を密かに指し示した。
「多くの者は、両目から下へと伸びる二本の黒い筋と、額に小さな緑の文様を描きます。これはその喪失が家族のものであると同時に、その悲しみが村全体で分かち合われるべきものであることを意味しています」
カエレンや巡回部隊の他の戦士たちへと視線を向けた。彼らの絵の具は首を伝い、腕の一部にまで達していた。
「では、あちらは?」
「あの方々は、共に戦った仲間たちです。黒い根の文様は、彼らが分かち合った道のりを表しています。胸には開いた円が描かれています。陣形の一部であった誰かが、二度と戻らなかったことを示しているのです」
さらに先では、プラットフォームの中央でエリッサとカエルレスが準備を進められていた。二人の絵の具はより濃く、顔の大部分を覆っていた。
「ご家族だからこそ、あの方たちの文様は異なっているのですね」
サエリスは頷いた。
「ええ。最も近い肉親は、家族の樹から引き抜かれた根を表す文様を身に纏います。だからこそ、その筋はより大きく、首へ disposable 下っていくのです」
そして彼女はヴァレリスへと視線を向けた。
巫女は別のエルフの前に座り、顔、手、そして腕に黒と緑の文様を描かれているところだった。
「ヴァレリス様は精霊界の文様を纏われます。儀式の間、彼女は村、森、そして逝きし者との繋がりを体現されるのです」
私はサエリスへと視線を戻す前に、しばらくの間その光景を見つめ続けた。
私の顔の文様を仕上げる時が来ると、彼女は器の前に手を止め、別の顔料を選び取った。
「あなたのような立場の方に与えられる伝統的な文様は、存在しないのです」と彼女は説明した。「ヴァレリス様が、これを個人的にお選びになりました」
サエリスは私の額の左側から頬を伝い、顎へと至る一本の濃緑色の筋を描いた。それから首元に、いくつかの小さな黒い枝分かれを付け加えた。
「これは、どういう意味なのですか?」
彼女は仕上がりを確認するために、刷毛を遠ざけた。
「――『根を下ろさんとする者』」
私は何度か瞬きをした。
「……随分と具体的な意味ですね」
サエリスは微笑んだ。
「その通りですから」
彼女は刷毛を片付け始めた。
「この文様は、あなたがすでに私たちの民の一員であると告げるものではありませんが、あなたを余者として扱うものでもありません。自分がどこに属するべきかを、今なお探し求めている者を象徴しているのです」
水が入った器に映る、己の歪んだ顔の輪郭を見つめ続けた。
「この世界にやって来て以来、自分が例外的な存在であることには、もう慣れてしまった気がします」
サエリスは小さく可笑しそうに笑った。
「これまで一度も起こり得なかった出来事を受け入れることを学んできたからこそ、いくつかの伝統はこれほど長く存在し続けているのかもしれませんね」
私が返答するよりも先に、木製の笛の低い音色が村全体へと広がり始めた。
サエリスは道具を片付ける手を止め、プラットフォームの残りの部分へと視線を向けた。
「ご遺体の準備が整ったようです」
彼女は立ち上がった。
「時間です。列が動き始めます」
準備のプラットフォームを後にすると、夜がすでに森の大部分を呑み込んでいることに気づいた。私の最初の衝動は回廊に沿って松明やランタンを探すことだったが、数歩進んだところで足を止めた。
近くには一切の火がなかった。
それでも、私には見えていた。
木製の回廊、樹木の幹、葉、そして黒エルフたちのペイントされた顔が、私の目の前に鮮明に浮かび上がっていた。もしかしたら月が森を照らしているのではないかと思い、視線を上へと向けたが、樹冠があまりにも密に生い茂っており、光はほとんど差し込んでいなかった。
再び周囲を見回した。
木の幹の微細な割れ目、木の上を這う虫、数メートル先で揺れる葉まで識別することができた。闇は依然として存在していたが、かつてのようにすべてを私の視界から隠しはしなかった。
思わず笑みがこぼれそうになった。
精霊界において、シルヴァリスはその祝福が機能していることをすでに示していたが、物理世界で夜間視覚を使用するのはこれが初めてだった。
私の傍らを歩いていたヴァレリス師は、私がすべてを注意深く観察していることに気づいた。
「よく見えているようですね、アーヴェン?」彼女は低い声で尋ねた。
「はい」と私は答えた。「とてもよく見えます」
私はさらに遠くの回廊へと視線を向けた。
「奇妙ですね。暗いのは分かっているのに、ほぼ普通に見えるんです」
ヴァレリスは頷いた。
「その授かり物は、最初からこの肉体に備わるよう準備されていたのです。ただ障壁が、お前がそれを行使するのを妨げていただけなのですよ」
彼女は歩みを続けた。
「視覚は自然に適応するでしょう。しかし他の能力には依然として訓練が必要です。特に均衡、聴覚、そして森の中での身のこなしにはね」
私は頷いた。
私がさらに何かを尋ねるよりも早く、低い太鼓の音が村全体を貫いた。
その振動が回廊や樹木の幹を伝わって広がっていった。わずかに続いていた話し声も、ほとんど同時にピタリと止んだ。
儀式が始まったのだ。
ヴェリダンの亡骸は、編み込まれた根で作られた担架の上に横たえられていた。彼は巡回で使用していたのと同じ鎧を身にまとっており、そこから埃や血潮は拭い去られていた。傷口は洗い清められ薬草で手当されていたが、完全に隠し通すことはできていなかった。顔を横切る斬創は、未だに生々しく確認できた。
彼の剣やその他の武器は、遺体の傍らには置かれていなかった。
準備の際にサエリスが説明していた通り、武器は生者のものだった。村を守るためにまだ必要とされるからだ。ヴェリダンの胸の上には、小さな枯れ枝が一本置かれているだけだった。
エリッサが担架の傍らに佇んでいた。
弔いのペイントが彼女の顔と首の一部を覆っていたが、その眼差しに宿る疲労を隠すことはできていなかった。片方の手は、ヴェリダンが死の直前に彼女に手渡した紫色のペンダントをしっかりと握りしめられていた。
カエルレスが彼女の傍らに立っていた。
他の住民たちの前で見せるように姿勢を正していたが、その表情は沈痛だった。今夜、彼は単なる村の指導者の一人としてそこにいるわけではなかった。ヴェリダンは彼の亡き妻の兄弟であり、長年にわたり家族の一員だったのだ。
ヴァレリス師が担架の正面へと歩み出た。
住民たちは沈黙を保った。
彼女が話し始めると、私はそれがエルフ語であることを認識した。もっとも、いくつかの単語は村で普段使われているものとは異なっていた。それでも、英雄という性質によって授けられた理解力のおかげで、その意味を把握することができた。
「森の子よ、お前はこの樹冠の下を歩み、これらの根を守り抜いた。今夜、私たちは認める。お前の足取りは、私たちがまだ追いつくことのできない道へと進むのだと」
ヴァレリスは杖をわずかに下ろした。
「お前が守ったものはここに残り続ける。お前を愛した者たちがその記憶を胸に抱くだろう。そして今、お前を生において迎え入れた同じ森が、その亡骸を受け入れる」
言葉を終えると、六人の巡回仲間の戦士たちが歩み寄ってきた。
彼らは一斉に、根で作られた担架を肩へと担ぎ上げた。
太鼓の音が再びゆっくりと鳴り響き始めた。直後、数本の木の笛がそのリズムに合流した。
葬送の列は、森の奥へと進み始めた。
行進は北の村の主要な回廊を進み、集落のより古い領域へと到達した。エルフたちによって作られた吊り橋は少しずつ姿を消し、樹冠を進む道として機能するに十分な幅と強さを備えた、自然の巨大な大枝へと取って代わっていった。
ヴァレリス師が先頭を進んでいた。彼女は時折、行進のリズムに合わせて杖の先を木肌に打ちつけ、乾いた音を響かせていた。すぐ後ろでは、六人の巡回仲間の戦士たちがヴェリダンの担架を担いでいた。エリッサとカエルレスがそれに続き、残りの住民たちは数歩後ろから静かに従っていた。
語らう者はほとんどいなかった。子供たちでさえ静かに佇み、両親の手を握りながら遺体の通過を見守っていた。
笛と太鼓の音色は、道中ずっと絶え間なく響き続けていた。
しばらくすると、エルフたちの間からいくつかの声が上がり始めた。その旋律は緩やかで、行進の足取りに寄り添っていた。
――枝を離れし葉は、先立ちし根と巡り合う。
道を離れし戦士は、ただ一人で歩むにあらず。
その足取りを支えし大地へと還らん。
森が息づく限り、お前の記憶が留まらんことを。
その詩節は、道すがら何度も繰り返された。
二度目の旋律において、ヴェリダンの巡回仲間たちは自らの言葉でその唱和に応じ、彼と共に歩んだ道をこれからも守り続けることを誓った。
さらに進むと、残りの住民たちも歌に加わり始めた。
数百もの声が、樹冠を渡る行進に重なり合っていった。
私は道のりの大半において、エリッサの姿を見つめていた。彼女は泣いていなかった。胸に紫色のペンダントを強く押し当てながら、叔父の亡骸から目を離さなかった。カエルレスは会話を交わすことも、彼女に触れることもなく、その隣を歩んでいた。
歩みはしばらく続き、徐々に森のより低い領域へと下っていった。やがて道は、大きく湾曲した非常に広い大枝の上で途切れた。その端からは、遥か数十メートル下の、半ば霧に覆われた地表が見下ろせた。
その先に、始祖の樹が聳え立っていた。
それは聖樹とは異なるものだった。あちらが精霊界との繋がりとして機能しているのに対し、この樹は黒エルフたちが死者を迎え入れるために用いられていた。
その幹は極めて太く、無数の刻印が刻まれた暗色の木肌を有していた。あるものは古く、樹皮の発育によって消えかけており、またあるものは新しく刻まれたものだった。
私が見解した限りでは、それぞれの刻印は樹へと委ねられた誰かを象徴していた。
住民の大半は、大枝の端から数メートルの場所で足を止めた。ヴァレリス、エリッサ、カエルレス、そして巡回仲間たちだけが、遺体と共に前進した。
私は他の住民たちの間に留まり、儀式を見届けることのできる位置に佇んでいた。
ヴァレリス師は担架の正面へと歩み寄り、杖を掲げた。
彼女は大偉業について語るのではなく、ヴェリダンの生涯における素朴な出来事を振り返り始めた。彼が長年にわたり村の国境を巡回し、若い戦士たちに教えを授け、森で迷った狩人たちを助け、危険が迫れば子供たちを守り抜いたのだと語った。
また、巡回中に傷ついた仲間を決して見捨てなかったことも口にした。
語り終えると、ヴァレリスは杖の先を大枝へと打ちつけた。
「――根はお前の名を知っている。大地はお前の足取りを覚えている。迎えに来るが良い」
数秒の間、何も起こらなかった。
その時、下方から音が聞こえた。
私たちの足元の木肌が、微かに震えた。
下の霧の中から、極めて巨大な一本の根が上昇し始めた。それはヴェリダンが待つ大枝の端へと達するまで、ゆっくりと動き続けた。
私は固唾をのんで見つめた。
その根は、始祖の樹から直接伸びてきていた。
大枝の高さへと達すると、根の先端が開き始めた。木材の繊維が離れ、苔と小さな葉に覆われた楕円形の空洞が姿を現した。
それはまるで、一つの肉体を受け入れるために特別に形成されたかのように見えた。
ヴェリダンの仲間たちは最後に一度だけ担架を持ち上げ、その開口部の中へと彼を横たえた。それから編み込まれた根を取り除き、彼を苔の上に直接休ませた。
ヴァレリスが片手を差し出した。
「――歩みし者は留まるものへと還る。息づきし者は新たなる命を養う。我が根を守りし者は、根によって守られん」
根が閉じ始めた。
ヴェリダンの肉体が私たちの視界から完全に消え去るまで、木材の繊維がゆっくりと合わさっていった。
その後、巨大な根は下降を始めた。
下方の霧と木々の間へと再び消えていくまで、私はその動きを目で追い続けた。
墓標も、石碑も、篝火すらも存在しなかった。
ヴェリダンはただ、始祖の樹によって受け入れられたのだ。
彼の肉体は今、長年守り続けてきた同じ森へと還っていった。
ご遺体の収容の間中、エリッサは微動だにせず佇んでいた。手はヴェリダンの紫色のペンダントの周囲に握りしめられたままだった。
巨大な根が下の霧と木々の間へと完全に姿を消した時、彼女の両脚がガクリと崩れた。
カエルレスは即座にそれを察知し、エリッサが崩れ落ちる前に間一髪で駆け寄った。彼は彼女の肩を抱きかかえ、引き寄せた。
数秒の間、彼女は踏みとどまろうと抗った。身体は硬直したままで、エリッサは身を引こうとする微かな動きさえ見せた。
だが、諦めた。
彼女は父の衣類を掴み、その胸へと顔をうずめた。
叫び声を上げることも、言葉を紡ごうとすることもなかった。ただ、涙を流し始めた。
全身が激しく震え、手はペンダントの周囲に握りしめられたままであった。カエルレスは目を閉じ、彼女を強く抱きしめた。
その瞬間、彼は村の権威者には見えなかった。何年もの間、家族の一員であった者を失った悲しみに自らも暮れながら、愛娘を支えようとする一人の父親に過ぎなかった。
私は離れた場所から、二人を見つめていた。
小屋の中でエリッサが私に向かって叫んだ言葉が頭をよぎった。
怒りは湧いてこなかった。
自分自身が試練の中で直面したあらゆる出来事を経た今、罪悪感というものがどれほど縋りつく場所を探し求めるかを知っていたからだ。エリッサは叔父を失ったばかりで、その事実に対する何らかの理由を必死に探そうとしていたのだ。
ヴァレリス師はしばらく待ってから、儀式を締めくくった。
彼女は最後にもう一度、大枝に杖の先を打ちつけた。
「――ヴェリダンは根に迎え入れられました。彼の記憶が、歩みを続ける者たちの間に留まらんことを」
笛が最後の短い旋律を奏でた。太鼓の音は少しずつ小さくなり、完全に止んだ。
それからヴァレリスは、儀式の最後まで付き添ってくれた集落の人々に感謝を述べ、喪の服飾はこの夜だけで終わるものではないと想起させた。これから先数日の間、彼の不在は食事の場でも、巡回の中でも、そして村の日々の日常の多くの瞬間において痛感されることになるだろう、と。
間もなく、住民たちは戻り始めた。
顔の塗料は、夜が明けるまで残されたままであった。サエリスによれば、それ以前に拭い去ることは別れの夜に対する無礼と見なされるのだという。
私は警備兵に付き添われ、牢へと戻る途についた。
中に入る前に、最後にもう一度だけ振り返った。
エリッサは未だヴェリダンのペンダントの周囲に手を握りしめていたものの、すでに一人で歩くことができていた。カエルレスはその傍らに添い、離れることなく従っていた。
警備兵に護衛されて牢に戻ると、セリアがまだ目を覚ましていた。彼女は二段ベッドの下段の端に腰掛けており、私が入ってくるなり視線を上げた。
彼女の眼差しは私の顔の乾いた塗料へと素早く走り、それから私の表情に留まった。今度は何の軽口もなかった。
「――どうだった?」彼女は低い声で尋ねた。「――うまく行ったの?」
私は木製の椅子に腰を下ろした。
「――『うまく行った』という言葉が正しいかはわからない。けれど、美しい儀式だったよ」
セリアは言葉を待っていた。
私は集落の人々がどのようにして森を通じてヴェリダンに付き添ったかを語り、特に始祖の樹が彼の遺体を受け入れた瞬間について説明した。また、塗料や音楽、そして叔父が根の間へと消え去った後にエリッサがついに崩れ落ちた様子についても触れた。
あまり詳しい部分までは踏み込まなかった。あの夜の出来事のいくつかは、家族と村の住民たちだけのものだったからだ。
セリアは最後まで口を挟まずに耳を傾けていた。
「――では、彼らは本当に死者を樹そのものへと委ねるのね」と彼女は数秒後に呟いた。
「――ああ」
「――素敵な見送りの方法ね」
私は頷いた。
私たちはしばらく沈黙を守った。それから、カエレンとの会話や国境で襲撃された巡回部隊のことを思い出した。
「――セリア、一つ聞いてもいいか?」
「――ええ、どうぞ」
「――ノービル(Gnoll)というのは、正確にはどういう存在なんだ?」
彼女は姿勢を正した。
「――人型のクリーチャーよ。二本足で歩くけれど、身体は前屈みで硬い毛に覆われているわ。たいていは灰色か褐色ね。面長な口元と強靭な顎、丸みを帯びた耳を持っているの」
私は想像を試みながら、少し眉をひそめた。
「――では、犬に似ているのか?」
「――少しね。野犬と人間を奇妙に混ぜ合わせたような感じかしら」
「――あまり参考にならないな」
セリアは短く可笑しそうに笑った。
「――一匹見れば、すぐに理解できるわ」
彼女は続けた。
「――単純な武器を使うわ。たいていは質の悪い鉄や木、骨で作られたものね。けれど武器を持っていなくても十分に危険なほど力強いわ」
「――群れで生活しているのか?」
「――ええ、でも小さな群れよ。ふつうは六匹か八匹。時にはもう少し多いこともあるけれど」
私は腕を組んだ。
「――カエレンは何百匹もいたと言っていた」
セリアの表情が引き締まった。
「――そこが問題なのよ」
彼女は両肘を膝の上に置いた。
「――ノービルは攻撃的で無秩序なの。食べ物や縄張り、群れの中での地位を巡って仲間同士で争うわ。あまりにも多くの個体が長期間一緒に留まると、たいていは殺し合いを始めるか、分散してしまうの」
「――では、何百匹も集まっていること自体が異常なのだな」
「――極めて異常ね」
「――では、あの伏兵の件は?」
セリアは答えるまでに少し時間を置いた。
「――なおさら異常よ」
私は彼女を見つめた。
「――カエレンは、奴らが退路を遮断し、各群れがほぼ同時に前進と後退を繰り返していたと言っていた」
セリアはゆっくりと頷いた。
「――ノービルがそんな行動をとることはないわ。本能で獲物を囲んだり、機会があれば多方向から襲いかかったりすることはあっても、組織立った陣形を保つことはないの。何百匹もの個体を統率するなんて、なおさらよ」
「――彼は指導者の姿も見なかったと言っていた」
「――それは合点が行くわ。ノービルは兵士が指揮官に従うような形で指導者に従ったりはしないもの」
私は数秒間沈黙した。
「――異質なノービルが存在する可能性はあるのだろうか? より知能の高い個体が」
「――他の個体よりも強かったり、賢かったりする個体が存在することはあり得るわ」とセリアは答えた。「――けれど、それだけであの国境で起きたことを簡単に説明することはできないわね」
彼女は私を見た。
「――それらのノービルに何らかの変化が生じたか、あるいは彼らがそのような行動をとっていた別の理由が存在するか、どちらかよ」
「――誰かが奴らを操っているのか?」
「――可能性としてはあるわね」
セリアは眉をひそめた。
「――けれど確証なしには断言できないわ。何百匹ものノービルが同調して動くなんて、正常な事態ではないということだけは確かよ」
会話はほどなくして終わった。夜も更け、セリアの顔にもようやく疲労の色が浮かび始めていた。
彼女は下段のベッドに横たわり、毛布を引き寄せた。
「――おやすみなさい、アーヴェン」
「――おやすみ」
彼女の呼吸が静かになるまでに、そう時間はかからなかった。
しかし、私は眠れずにいた。
ここ数日の間に起こったあらゆる出来事で、私の頭はまだ一杯だった。精霊界、シルヴァリス、ヴェリダン、エリッサ、そして今度はノービル。
しばらくすると、いくつかの音が意識にのぼり始めた。
最初に屋外の羽虫の音が聞こえた。
それ自体に異常はない。
次に、異なる木々の葉が揺れる動きを識別した。続いて、遠くの回廊の低いくしみ音、大枝の上を疾走する小さな何か、さらには言葉までは判別できないほど遠くで交わされる二つの話し声までが聞き取れた。
私は眉をひそめた。
儀式の前であれば、それらすべては遠くの単一の雑音として混ざり合っていたはずだった。
今や、私はそれぞれの音を個別に分離することができていた。
数秒間目を閉じ、ただ耳を澄ませた。
夜の森の中では、自分の想像よりも遥かに多くの出来事が蠢いていた。
異質な足音が、私の注意を引いた。
足音。
極めて足取りの軽い。
目を開けた。
その音は、私たちの牢の頭上のどこかから響いていた。私は物音を立てずに立ち上がり、根の格子窓へと歩み寄った。
上層の回廊へと視線を向ける。
私の目が暗闇を捉えるやいなや、夜間視覚が自然と機能した。意識を集中させる必要も、目が慣れるのを待つ必要もなかった。
ほんの数秒後、足音の主を捉えた。
人影が上層の回廊を素早く移動していた。
エリッサだった。
彼女は巡回用の鎧を身に着けていなかった。軽装の衣類を纏い、森を移動するために必要な最小限の装備だけを携えていた。
彼女が回廊から回廊へと跳躍する様子を見守った。
彼女が進む方向は、村の居住区の外へと向かっていた。
彼女を呼び止めようと口を開きかけたが、思い直した。
先ほどセリアが言っていた言葉が頭をよぎった。
エリッサはただ、一人になりたいだけなのかもしれない。
それでも、何かが胸に引っかかった。
国境でのノービルの襲撃の直後、夜間にたった一人で村を出ることは、どれほど森に精通した者であっても決して賢明な判断とは思えなかった。
セリアを起こそうかと考えた。
決断を下す前に、エリッサは私の視界の及ぶ最後の回廊へと到達した。
彼女はさらに遠くの大枝へと跳躍し、木々の間を進み続けた。
ほどなくして、彼女は私の視界から消え去った。
私は格子の前に立ち尽くしていた。
数分もすれば戻ってくるのかもしれない。
誰にも泣き顔を見られない場所が必要なだけなのかもしれない。
それでも、彼女が消えた地点から目を離すことができなかった。
どういうわけか、誰かを呼びに行くべきだという予感を、完全に払拭することができずにいた。




