6-11 守る決意
18時頃、和真の部屋。
あれからユリィに対する嫌がらせに関して、小渕紗子は堂ノ上より停学処分を受けた。取り巻きの女子も、SNSによる誹謗中傷の件で厳重注意を受けた。
紗子は停学処分に逆上し、法的措置をチラつかせたとか。さらに、取り巻きの女子に罪をなすりつけたり、密告者探しをしていたようだが、全て儚い徒労に終わった。最終的には責任の押し付け合いで仲間割れにまで発展した。
結局、和真は何も出来なかった。ほとんど貝塚兼孝の独壇場だった。
無力な自分が悔しかった。ユリィだけはこの手で守りたい、と和真は改めて誓った。
そして今、国武院の交流会を翌日に控えている和真は、悩んでいた。
クローゼットに保管していた、刀。
失踪する前のお師匠が、隔離されていた和真に託した刀である。今思えば、お師匠の餞別だったのかもしれない。
これを、持っていくべきか。
堂ノ上と溝呂木の言葉を思い出す。
反魔法主義。
ASF。
あくまで校外学習。
模擬戦。
不穏な言葉の嵐に、説明できない不安が和真を襲う。
ただの金属の塊にすぎないのに、謎の威圧感を放っている。
守るものが出来た時、この刃を抜け。
お師匠の言葉。
金属の鞘が異常に冷たい。
時間をかけて深呼吸。その後、和真は刀を手に取ることを決意した。
*
某日。暁星学院理事長室。
堂ノ上と溝呂木は、ガラステーブルを挟んでソファに座って向き合っている。
「ほう、小渕善幸議員から声明、とな」
堂ノ上は特に驚くこともなく言った。
「はい、困ったものです、あまりにも無茶苦茶な要求で」
小渕家の要求は以下の通りである。以下の要求が通らない場合、法的措置も辞さないと書面に記載されていた。
①小渕紗子の停学処分取消し及び損害賠償の支払い
②ユリィ・フロストの退学処分
③ 東条和真の退学処分
先日の魔法実習での小渕紗子と和真とのトラブルを受け、このような稚拙な要求を小渕家は送りつけたのである。
堂ノ上は書面を一瞥し、ガラステーブルに放り投げた。
「……放っておけ」
「は!?」
予想外の答えに、溝呂木は思わず聞き返した。
「彼らは出資者でもなんでもない。適当にあしらっておくがいい。『要求は不当なものであり、到底受け入れることは不可能である』と」
「はっ、承知いたしました」




