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氷銀の魔女  作者:
64/87

6-11 守る決意

 18時頃、和真の部屋。


 あれからユリィに対する嫌がらせに関して、小渕紗子は堂ノ上より停学処分を受けた。取り巻きの女子も、SNSによる誹謗中傷の件で厳重注意を受けた。


 紗子は停学処分に逆上し、法的措置をチラつかせたとか。さらに、取り巻きの女子に罪をなすりつけたり、密告者探しをしていたようだが、全て儚い徒労に終わった。最終的には責任の押し付け合いで仲間割れにまで発展した。


 結局、和真は何も出来なかった。ほとんど貝塚兼孝の独壇場だった。


 無力な自分が悔しかった。ユリィだけはこの手で守りたい、と和真は改めて誓った。


 そして今、国武院の交流会を翌日に控えている和真は、悩んでいた。


 クローゼットに保管していた、刀。


 失踪する前のお師匠が、隔離されていた和真に託した刀である。今思えば、お師匠の餞別だったのかもしれない。


 これを、持っていくべきか。


 堂ノ上と溝呂木の言葉を思い出す。


 反魔法主義。


 ASF。


 あくまで校外学習。


 模擬戦。


 不穏な言葉の嵐に、説明できない不安が和真を襲う。


 ただの金属の塊にすぎないのに、謎の威圧感を放っている。


 守るものが出来た時、この刃を抜け。


 お師匠の言葉。


 金属の鞘が異常に冷たい。


 時間をかけて深呼吸。その後、和真は刀を手に取ることを決意した。





 某日。暁星学院理事長室。


 堂ノ上と溝呂木は、ガラステーブルを挟んでソファに座って向き合っている。


「ほう、小渕善幸議員から声明、とな」


 堂ノ上は特に驚くこともなく言った。


「はい、困ったものです、あまりにも無茶苦茶な要求で」


 小渕家の要求は以下の通りである。以下の要求が通らない場合、法的措置も辞さないと書面に記載されていた。


①小渕紗子の停学処分取消し及び損害賠償の支払い


②ユリィ・フロストの退学処分


③ 東条和真の退学処分


 先日の魔法実習での小渕紗子と和真とのトラブルを受け、このような稚拙な要求を小渕家は送りつけたのである。


 堂ノ上は書面を一瞥し、ガラステーブルに放り投げた。


「……放っておけ」


「は!?」


 予想外の答えに、溝呂木は思わず聞き返した。


「彼らは出資者でもなんでもない。適当にあしらっておくがいい。『要求は不当なものであり、到底受け入れることは不可能である』と」


「はっ、承知いたしました」

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