表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【狂気】生贄にされた少年、最強冒険者パーティーに育てられ、“最狂”のサイコパス冒険者になりました。  作者: 水定ゆう
2ー3:悲しみさえも踏み潰して

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/78

第71話 ロアコボルト

同業者が死んだとしても、やることは変わらない。

「ヴァウワウジャァァァァァァァァァァァァァァァッ!」


 けたたましく吠えた一際目立つコボルト。

 武装を施し、大剣を手にしている。

 明らかに通常の個体とは一線を画し、目の傷が異様に光っていた。


「コイツが、ロア……」

「コボルトだねっ!」


 ロアコボルト。ついに御対面だ。

 僕とエメラルが善戦を張り、クロンは杖を構えている。

 いつでも仕掛けられるけれど、まずは様子見……の隙は無い。


「ヴァウワジャ!」


 手にしている大剣を乱暴に振り回した。バーン! と洞窟の壁に傷が入る。

 ボロボロと砕けてしまい簡単に崩れると、洞窟全体が揺れる。

 天井から小さな石ころが落ちて来るも、ロアコボルトは全く気にも留めない。


「いきなり攻撃仕掛けて来るなんて!」

「それが魔物だよ。でも、仲間は率いていないね」


 先制攻撃はロアコボルトに取られてしまった。おまけに豪快過ぎる一撃に、つい身を引いてしまう。

 距離を取った瞬間、チラチラと周囲を見回した。やはり他のコボルトの姿はない。

 まさかボスがたった一匹で襲って来るとは予想外であり、仲間を率いる正確ではないのだろうか?


「随分と余裕みたいね」

「いや、少し待って。あの大剣を見てよ」


 これこそが強者の風格。仲間など不要と切り捨てる余裕の表れ。

 エメラルからすれば考えられないかもしれないけれど、僕の目は別の所を見ていた。

 それこそ注目するべきは大剣で、何故か赤黒く染まっている。


「体液……まさか、仲間を殺して強くなったってこと?」

「場合によっては、自分の凶暴性に精神を飲み込まれているのかもしれないね」


 エメラルも僕に促されて視線を飛ばすと、その体液の正体が血液だと判断した。

 若干色味が違っていること、コボルトが肉食性であることが由来だった。

 けれどそれは、逆説的に仲間殺しであると痛感する。凶暴性に飲み込まれ、怒りのままに力を振るう。きっとネイルもこの野性味溢れる肥大化した狂気に敗北したんだ。


「こんな風に」

「オボロと同じじゃない」

「僕は違うよ?」


 ロアコボルトがまたしてもノータイムで大剣を振るった。

 躱すのが精々だったけれど、その動きから誰かと似ていると思ったみたい。

 それが僕だとは心外だけど、ムッと唇を尖らせた瞬間、ジト目で睨まれた。


「誰が言ってるのよ」

「誰って僕だけど、そんなことより」

「戦うの? それとも逃げるの?」


 まさかとは思ったけど、本当に僕だった。

 本当に心外だなって思うけど、悠長な時間はここまで。

 クロンが呼び掛けると、既に魔法の詠唱なんてものは、幾つか終わっていた。


「逃げる……冗談じゃないわ。そんなことをしても、逃げ切れないでしょ」


 戦うのかor逃げるのか。答えは決まっていた。

 逃げた所で追い付かれるのは常であり、小回りを利かせられる程広くはない。

 戦うしか選択肢が無いとなれば、クロンはすぐさま魔法を繰り出した。


「そうだね。それじゃあ……」

「縛れ。ブラックバインド!」


 まずは定石通り、ブラックバインドで拘束する。

 黒い輪っか上の魔法がロアコボルトの身動きを封じる。

 初見では戸惑って体が力んでしまうと、そこに付け入る隙が生まれる。


「クロン、最高のタイミングよ。はっ!」

「僕も……首を掻き切る」


 地面を蹴って軽く跳んでみた。

 エメラルはいつもの蹴りを、逆に僕は短剣を二本持つ。

 それぞれ狙いは違ったけれど、その方が危険を分散出来る。


 ドンッ! ガキィーン!


 エメラルの蹴りが頭に入った。僕の短剣は首を狙っていた。

 しかし鈍い音が響いただけで留まってしまう。

 まともには効いていないのか、ダメージになった雰囲気が全く無い。


「「はっ!?」」


 流石にこれには困惑するしかなかった。

 完全に予想外であり、バカにされたような気持ちだよ。

 あまりにも高い防御力、っていうよりも筋肉の塊に効果が薄い。


「嘘でしょ。どれだけ固いのよ」

「それだけじゃないよ」


 エメラルは腹を立てるけれど、その気持ちは十二分に伝わるよ。

 同じく共感した僕は、もっと嫌なことに目を向けてしまった。

 それこそロアコボルトの二の腕が唸っている。微かに筋肉の脈動を読めると、強引にでも魔法による拘束を解こうとしていた。完全に筋肉だけであり、パワー勝負だった。


「ヴァウワジャッ!」


 腹の奥底から唸り声を上げる。全身に力を入れると、流石に引き千切らせる訳には行かない。

 僕とエメラルは全力で止めようと思った。

 互いに目配せだけのアイコンタクトでやり取りをすると、素早く距離を詰めたいが……


「ちょっと、クロンの魔法を強引に引き千切るなんて」

「聞いていない」


 間に合わなかった。

 クロンの魔法を力づくで解いてしまうと、クロンは心外だった。

 ジト目の奥に宿る炎がメラメラと燃えると、次の魔法を発動しようとする。


「ヴァウワジャッ! ヴァウワジャッ!」


 ロアコボルトは大剣を振り回し続ける。

 けたたましく奮い立つと、空気に衝撃が走り熱を帯びた。

 全身が焼けるような感覚が走るけれど、それは些細な問題だ。


「な、なんなのよ!」

「暴走しているのかな?」


 我を忘れているとしか言いようがない。

 真っ赤な瞳が現状を物語っており、洞窟が崩落してもいいらしい。

 巻き込まれるのは癪なので、この暴走状態を利用することで攻めに出る。


「でも、これなら行けるよね。クロン!」

「撃ち抜け、礫。ブラックボール!」


 クロンがこの状況では最適だった。

 既に魔法を唱えており、大量の黒煙が球体となって宙に浮かぶ。

 ファイアボールならぬブラックボールを放つと、ロアコボルトに直撃した。


 ボーン!


 破裂するような音ではなく、硬い球体の塊を顔面に受けた。

 これは想像以上に効いたと信じたいけれど、残念ながらブラックボールが消えた瞬間に、煙で覆われる。

 黒煙に包まれて視界を奪うけれど、クロンはまだまだ放った。


「連射」


 ボン、ボン、ボン、ボン、ボー――――ン!


 ブラックボールの連打がロアコボルトを襲った。

 完璧な程狙いを定めると、顔面に当たっては消え当たっては消え、黒煙に包まれる。

 体がよろけながらも何とか耐えているロアコボルトを可哀そうに思うけれど、何故か倒れない。まさかとは思うけれど、無傷ってことは無い筈だ。


「ヴァウワジャッジャッ!」


 黒煙が消えた時、咆哮がクロンの魔法の跡を消した。

 しかし顔面には大きな凹みや傷が入っており、腹を立てている。

 それでも決定打にはなっていない。顔面まで筋肉で肥大化し、薄い魔力が防御の役割を果たしているのだろうか? この状態では勝らない。クロンは眉間に皺を寄せる。


「あはは、全部耐えるなんて」

「本当最悪の相性よね」

「ムカつく」


 ロアコボルトはクロンを嘲笑っていた。

 流石に無傷では無いけれど、相性は最悪だ。

 ほとんどダメージにならず、クロンは切れていた。


「クロンがキレてる……舐めて掛かったらネイルの二の舞ね」

「そうだね。それじゃあ……やろうか」

「最初っからねっ!」


 舐めている時間は無い。ネイルの二の舞にはならない。

 ロアコボルトに恐らくやられて息絶えた先人を思いつつ、僕とエメラルはクロンの魔法が通用するように攻め立てる。最初から本気で挑まなければ暴走状態、狂気に囚われたロアコボルトは倒せないと空気感が胸を掴んだ。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。押すだけで簡単ですよ。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ