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【狂気】生贄にされた少年、最強冒険者パーティーに育てられ、“最狂”のサイコパス冒険者になりました。  作者: 水定ゆう
2ー1:闇の円卓

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第42話 ワイルドボアの依頼

どうしてこんなことになったのか……

 それは冒険者ギルドに足を運んだ時のこと。

 受付嬢のネシアに、エメラルが声を掛けられた。


 エメラルは顔が効く。ディスカベルの冒険者で、エメラルを知らない人はいない。

 それだけの有名人であり、まさしくご意見番だ。

 冒険者からも冒険者ギルドの職員からも、信頼が厚く、指名依頼を受けることが多々あった。


「えっ、ワイルドボア?」

「はい、お願いできませんか、エメラルさん?」


 ネシアに頼まれたのは魔物の討伐依頼。

 その対象はワイルドボアと言う、イノシシの魔物だ。



 特大サイズのイノシシで、特徴的なのは黒っぽい体毛に鋭い牙。

 長く発達しており、人間の体など、防具をまとめて貫いてしまう。


 とても危険……って訳ではなかった。何せDランクの魔物だ。

 対策をして置けば、ワイルドボア程度なら、簡単ではないが討伐も出来る。


 とは言え、幾つか気になってしまった。

 エメラルは当然のようにネシアに訊ねる。


「いいけど、どうしてワイルドボアなのよ」

「はい。実は冒険者さん用の防具の素材が不足しているんです」


 ワイルドボアの素材には様々な活用法がある。

 その中でも鋭くて分厚い牙は武器の素材に使われる。

 加えて、体毛に覆われている皮は丈夫な防具に仕立てられる。


「不足って、そんなことがあるの?」

「あるんじゃないかな? 人造革皮よりも、天然物の方に価値があるから」


 人造革皮は人工的に作られた革製品だ。

 それなりに高い耐久値を誇っており、冒険者用の防具にも使われる。


 けれどネシアの言うような、“不足”する事態が起こるとは到底考え難い。

 人工的に作り出される以上、材料さえあれば幾らでも作れる。

 とは言えそれが足りていない? 損な経済ニュースは入っていない。


 恐らくは自然由来の天然物が、価値的にも高いからだろう。

 品質も良く、素材としての耐久値もピンキリだ。

 冒険者的には、変な臭いが付く恐れもない。寧ろ強い魔物の臭いで誤魔化せた方が、色々冒険にも好都合だからこそ、天然物の素材、中でもワイルドボアに惹かれたんだ。


「天然物ね。まぁ大変よ?」

「ちなみに当てはあるの?」

「はい。ワイルドボアの目撃場は出ています。かなりサイズの大きな個体です」


 ワイルドボアを見つけるのが大変だ。

 その心配をしたものの、すぐに消え去った。

 流石は王都の冒険者ギルド。情報の伝達が速い。


「ゲッ。それだけ危険ってことじゃない」

「これは、任せられないかもね」


 大型の個体になればなる程、それだけ長く生きている。

 寿命が長い個体は、それだけ生態系で生き続けてきた個体だ。

 強さはある程度保証されていて、幾ら魔物としての格が低くても侮れない。

 高ランクの冒険者でも、油断をすれば命は無い。


「ですのでお願いします、エメラルさん。皆さん。報酬はご用意しています」


 約束された報酬はかなり多かった。

 これだけでも低ランク冒険者なら充分な収入になる。

 Dランクの魔物でこれは美味しい。変な条件が付かなければいいけれどと思いつつ、視線をエメラルへ向けた。


「それでどうするの、エメラル?」

「私に委ねるの?」

「エメラルが依頼されているからね。僕は付き合うよ?」

「私は……うん」


 僕とクロンはエメラルに任せた。

 委ねられたエメラルは少し困り顔だ。

 けれどほんの数秒考えると、すぐに答えを決めた。


「はぁ。そうね。誰かがやらないといけないなら、丁度時間もある」

「それでは!」


 ネシアの表情がパッと明るくなった。

 確かに時間はある。今は立て込んでいる優先順位の高い依頼はない。

 

「分かった。その依頼受けてあげる」

「ありがとうございます。エメラルさん達なら安心して任せられます」


 ネシアは両手のひらを合わせている。

 エメラルならば任せられる。絶対的な安心感。

 それを受けてか、ネシアは少しだけ依頼内容を補足する。


「あの、実は補足がありまして」

「な、なによ?」

「できるだけ素材は状態のいい物でお願いします」

「……分かったわ。できるだけやってみる」


 出来るだけ素材の状態を保全している方がいい。

 その方が、防具に使う際にも、多く使用出来る。

 ワイルドボアはお金になるので、状態も重要だ。


「あはは、人気者だね、エメラル」

「それだけ信頼されている証拠よ。準備が出来たらすぐに出発、いいわね」

「「うん」」


 僕達はこうして依頼を受けた。

 一応準備は常に出来ているつもりで、早速森に向かった。

 ワイルドボアが見つかるか如何か。その問題はあったけど、もっと厳しい条件に僕達は悩まされることになると、この時は想いもしなかった。


「それで、今こういう状況なんだけどさ」


 ここまではあくまでも回想だ。思い出みたいなものだ。

 だけど僕とエメラルは、実際にワイルドボアを追い詰めている。

 かなりいいサイズの個体で、対峙してみると迫力を貰った。


「エメラル、どう仕掛ける?」

「仕掛けるもなにも……」


 短剣を構え、仕掛けるタイミングを窺った。

 出来るだけ傷を付けないようにして討伐したい。

 とは言えそのためにはタイミングが何よりも重要で、決して目を背けられない。

 その瞬間、命は簡単に吹き飛ぶからだ。


「ないでしょ!」


 エメラルの言う通りだった。

 ワイルドボアは、僕達の段取りなんて聞いてくれる気配がない。


 それ所か地面を蹴り、全身に砂と泥を纏う。

 暴れる馬車のように、突進攻撃を繰り出してきた。

 幸い躱すことは出来たけれど、当たれば吹っ飛んでいた。


「ボフッボフッボフッ!」


 ワイルドボアは標的を外してしまった。

 困惑しているみたいで、鼻をクンクン鳴らしている。

 これもワイルドボアの生態の一つで、目が余りよくない。


 その分、目の代わりに鼻が発達している。

 薄っすらと漂う僕とエメラルの臭いを魔力と共に感知する。

 そのせいか、再びクルンと振り返ると、後ろ脚を鳴らす。


「マズいわよ。このままじゃ牙が折れるわ」

「そう簡単に折れるとは思えないけど……厳しいよね」


 僕は短剣をポンポン投げた。指先でクルクル回してみる。

 ワイルドボアの牙は武器にも重宝する。

 折れると価値が半減するから、出来るだけ突進して欲しくない。

 けれど……


「ボフッボフッボフッ!」

「「やっぱり来た!」」


 結局、ワイルドボアの自慢の攻撃は体格を活かした突進。

 時速百キロオーバーの突進は、空気を潰す。

 迫力満載の攻撃を難なく回避する僕らは、ワイルドボア討伐にてこずった。

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