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【狂気】生贄にされた少年、最強冒険者パーティーに育てられ、“最狂”のサイコパス冒険者になりました。  作者: 水定ゆう
2ー1:闇の円卓

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第43話 ワイルドボアを捕まえろ

ちゃんと倒しました。

「どうしよう、エメラル」

「私に聞かれても仕方ないでしょ?」


 ワイルドボアに苦戦中の僕とエメラル。

 動きが素早く、それに加えて、図体もデカい。

 豪快な突進攻撃を避けるのは精一杯で、僕は短剣をクルクル手回す。


「ボフッ!」


 ワイルドボアはクルンと振り返った。

 牙を地面に突き立て、スコップのように土を掘る。


 バサッ!


 舞い上がった土が僕とエメラルを襲う。

 顔に降り掛かると、視界が一瞬だけ隠された。


「ゲホッゲホッ! なによ急に」

「エメラル、避けるよ」

「そう……ねっ!」


 僕とエメラルは思いっきり後ろに飛んだ。

 ワイルドボアが土を掛け、僕達の視界を塞いだ。

 その瞬間牙を突き出して吹っ飛ばそうとする仕草が、微かに目の端で見えた。


「よっと」


 何とか直撃は喰らわないで済んだ。

 こっちが傷付く攻撃が出来ないからって、流石にやり過ぎだと思う。

 これ以上戦うとワイルドボアが気をよくしそうだから、僕の方から仕掛ける。


「エメラル、ちょっとだけ仕掛けてみるね」

「なにする気よ、オボロ」

「ちょっとだけね。それっ!」


 僕は地面を蹴った。魔法陣を描くと、ワイルドボアの頭上を取る。

 クルンと全宙してみせると、調子に乗った攻撃を披露する。

 手にした緑色の短剣で、ワイルドボアの牙を粉々にしてやろうと思った。


「(ガキ―ン!)流石に無理だよね」


 牙には直撃した。けれど切れない状態だとダメージにならない。

 グッと僕の方に衝撃と反動が加わると、腕が痺れそうになる。

 でも、師匠達にそんな軟な修行は付けられていないから、丁寧な受け身で衝撃を逃がした。


「それなら……こうだよ!」


 空中からの急降下斬撃が効かなかった。

 牙が変な形でへし折れなくてよかったけど、効かないのはショック。

 最大限の手加減をした状態では、ワイルドボアには傷一つ付けられない。

 それなら、少しやり方を変えてみる。


「(カキンカキンカキン!)……ああ」


 ワイルドボアは地面を蹴った。力を溜めると、鼻を下げ、牙を落とす。

 地面スレスレになると、得意の突進攻撃に拍車を掛けた。


 威圧感が凄まじい。当たればタダでは済まない。

 でも僕は真っ向から立ち向かってみせ、ギリギリの所で回避する。

 赤と緑の短剣を切れない状態にしたまま、ワイルドボアの横っ腹を切り付けた。


「ちょっと難しいな」


 ワイルドボアに短剣を何度も何度も叩き付けた。

 けれど切れない状態にしているせいか、ワイルドボアには歯が立たない。

 そのせいか、面倒な条件を出されたなって思うよ。


「でも、だからこそ面白いよね」


 僕はテンションを上げた。ここで折れたら、今までの冒険に失礼だ。

 これも楽しむことが大切で、師匠達の修行の方が難易度高い。

 あれに比べたらなんでも無くて、クルクルと短剣を回す余裕を見せた。


「苦戦しているわね、オボロ」

「うん。やっぱり、エメラルも手伝ってくれるかな?」

「いいわよ。最初からそのつもりだったから」


 苦戦しているのは制約が多いからだ。

 けれどそれすら楽しむことにした僕は、エメラルにお願いした。

 すんなり首を縦に振ってくれると、心強い味方だと思う。


「それで、どうする気よ?」

「とりあえず、動きを止めたいかな」


 エメラルに問われてしまった。如何するもこうするも無い。

 まずは動きを止めない限り、ワイルドボアを仕留めることは出来ない。

 ワイルドボアを止める? 難しい話だよ。


「簡単に言ってくれるわね。でも、それしかないわね」


 エメラルも分かっていた。ワイルドボアは野生個体の前に野生的で豪快だ。

 突進攻撃がまさしくそれで、特徴が顕著に出ている。


 討伐するにしても、最悪捕獲するにしても、動きを止めないことには対処できない。

 最終的には動きを止めて、一発ドン! それがワイルドボアにも、一番危害を加えない、苦しませない倒し方だと思った僕とエメラルは、何とかして動きを止めようと、脚を狙うことにした。


「合わせるわよ」

「分かってるよ。それじゃあ、せーのっ、でっ!」


 僕とエメラルが仕掛けようとすると、野生の勘なのか、ワイルドボアも動き出す。

 後ろ脚で地面を引っ掻き回し、牙を下にして突進を繰り出す。

 判断は僕達よりも随分早くて、見習う必要があったけど……


「ボファッ!?」

「「えっ」」


 一体何が起きたんだろう。

 目の前で起きたことをありのまま話すと、ワイルドボアが転んだ。

 何かに足を取られると、身動きが取れなくなったらしい。

 そのせいか、勢いを付けて突進を繰り出そうとするが、その前に鼻を地面にぶつけた。


「なにが起きたのよ」

「分からないけど……これって、魔法?」


 ワイルドボアの脚を見てみる。黒い根っこが地面から生え、巻き付いていた。

 キツく締めあげていて、簡単に鬱血してしまう。

 この根っこ一つで、ワイルドボアは自慢の突進攻撃を封じられたらしい。


「やっと追い付いた」


 声が聞こえて来た。だらけ切ったやる気のない声だ。

 女性のもので、僕とエメラルは振り返る。

 魔法使いの帽子を被った少女が、チョコンと立っていた。


「「クロン!?」」

「置いて行かれたから慌てて追い掛けたけど、間に合ったみたい?」


 無表情で立っていたのはクロンだった。

 魔法を唱えたようで、今度こそブラックバインドが効いた。


 ワイルドボアの脚を地面に張り付けにしている根っこ。

 黒く禍々しいのが特徴的で、クロンの魔力を伴っている。


 練度が高い魔法のおかげか、なかなか振り解くことは出来ない。

 ワイルドボアは自由を奪われると、必死に引き千切ろうと足搔いていた。


「間に合ったじゃなくて、遅いわよ!」

「ごめん」

「ごめんじゃなくて……まぁいいわ。おかげでワイルドボアの動きは止まったみたいね」


 厳しい言葉を浴びせつつも、クロンの活躍は大きい。

 パーティーの中で活躍をしてくれており、何故怒られているのか、何故謝る必要があるのか、正直分かっていない顔をしている。無表情すぎるからか、僕にも読み切れない。

 けれどエメラルの言葉には素直に聞くと、褒められて少し嬉しそうだ。


「それで、どうするの?」

「どうするって?」

「誰がトドメを刺す? 私がやってもいいけど」


 ワイルドボアにトドメを刺す必要があった。

 どのみち、ブラックバインドを解く必要がある。

 それなら絞め落す必要があるので、エメラルは自分が汚れ仕事をするかと問う。


「僕がやるよ。どのみち絞めないとダメだからね」


 エメラルに任せるのは釈然としない。ましてやクロンではダメだ。

 ここは僕が代わりに絞めることに決め、短剣に魔力を流した。

 切れる状態にすると、ワイルドボアの首筋に当てた。


「悪いね。絞めるよ」


 ブスリ!


 僕はワイルドボアの息の根を止めた。

 当然暴れたけれど、それも程なくして収まる。

 状態を保ったまま殺すことに成功して、額の汗をサッと拭った。


「終わったよ、エメラル、クロン」

「オボロ、本当躊躇が無いわね」

「うん。怖く無いの?」

「怖い? ……うーん、無いよ」


 僕は一切躊躇うことが無かった。

 ちゃんと一言、ワイルドボアに確認を取った。

 まぁ、取った所で殺すのは変わらないだけどね。


「そう、オボロも大概ね」

「うん。本当そう」


 もしかして、僕はそんなに変なのだろうか?

 冒険者なら当たり前のことだと思っていたが、心構えが違うのかもしれない。

 ワイルドボアの血が噴き出て利き手が汚れているのに、精々その程度でしかない。


「あはは、ボクはサイコパスだからね。それじゃあ……どうやって持ち帰ろうっか?」

「「あっ!!」


 もはや開き直ることにした。僕はサイコパスな一面があることを隠さない。

 笑ってやり過ごすと、より一層狂気な一面が垣間見えた。


 エメラルとクロンは笑っていない。寧ろ呆れている様子だ。

 だけど呆れている暇は無い。これだけの巨体のワイルドボアを、如何やって街まで持って帰るのか。誰も考えていなかった……なんてことは信じたくないけれど、本当如何しようか考える羽目になった。

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