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【狂気】生贄にされた少年、最強冒険者パーティーに育てられ、“最狂”のサイコパス冒険者になりました。  作者: 水定ゆう
2ー1:闇の円卓

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第41話 魔物の背中を追う

魔物を追い掛けます。

 開けた森の中。多少の高低差がある。

 ディスカベルから少しの場所。そこにあるボアン森。

 僕達はここにとある依頼を受けてやって来た。


「エメラル逃げたよ!」


 僕はエメラルに叫んだ。

 柔らかいブロンドヘアー(金髪)が揺れる。

 エメラルド色の瞳がキリリと僕を睨む。


「言われなくても分かってるわ」


 エメラルは急いで逃げた魔物を追い掛ける。

 鉄板の入った靴を履いたまま、地面を思いっきり蹴る。

 背中には四尺刀を背負っているのに、まるで意に返していない。


「やっぱりカッコいいよ、エメラル」

「本当、よく走る」


 黒髪、黒めの少女が口を開いた。

 ボソッと積豚いて肯定すると、手にした杖をコツンと地面に立てる。

 先端にはクリスタルが付いており、クロンは魔法を唱えた。


「縛れ。ブラックバインド!」


 魔法を唱えると、地面から黒い根っこが生えて来た。

 ウネウネしていて気持ちが悪い。

 まるで生物のようで、クロンの意のままに操る。


「あっ、こらクロン!」


 必死に追い掛けるエメラルは、クロンが魔法を使ったのに怒った。

 如何して怒るのかな? 僕には分からない。

 でもクロンの魔法は射程距離が届かず、魔物に逃げられてしまった。


「……逃げられた?」

「クロン、僕も追い掛けるね。それっ!」


 地面を思いっきり蹴り込む。

 森の中に開いた獣道で、手にした緑色の短剣。

 魔力を薄っすら込めると、剣身に風が纏い、スパスパと草木を切り分ける。


「凄い……速い」


 クロンの声が遠くに聞こえた。

 だけど僕の耳には短剣を通じて魔力が流れている。

 おかげで僅かな空気に触れた振動が、音を伝えてくれた。


「エメラル、魔物?」

「猪突猛進で逃げて行ったわよ」

「うわぁ、それは厄介だね」

「でも逃がさないわよ」


 当然逃がす気はないよ。だって、討伐と言うか捕獲しないと依頼が達成されない。

 僕とエメラルはまず、魔物を追い詰めることにした。

 クロンには最後決めて貰うことにし、小回りを利かせて走り出す。


僕とエメラルは二人で魔物を追い掛けた。

 ここまで一本道の獣道で、迷うことは無かった。

 だけど問題が起きた。二手に分かれてしまっている。


「待って、オボロ」

「分かれ道だね。どっちに行ったかな?」


 細い細い分かれ道が待っていた。

 果たしてどっちに行ったのだろうか?

 追い掛けるにしても……いや、この先の道は再び一本に繋がっている。


「エメラル、二手に分かれて、魔物を追い詰めよう」

「分かったわ。それじゃあ私が右に行くわ」

「それじゃあ僕が左だね」


 僕とエメラルは二手に分かれた。

 簡潔に作戦を立てておくと、左に進んだ。

 その際、エメラルにボヤかれる。


「いい、オボロ。逃がしたらダメよ」

「分かっているよ」


 僕が逃がす筈が無い。寧ろエメラルが気を付けて欲しい。

 軽口を叩き合いながら、魔物の姿を追い掛ける。

 すると先に出遭ったのはエメラルらしい。


「見つけたわよ。はっ!」


 エメラルは魔物を捕まえようとした。出来るだけ傷を付けたくない。

 しかしそんな甘い考えでは、魔物は抵抗して来るみたい。

 素早くすり抜けると、エメラルの悲鳴が上がる。


「エメラル?」


 かなり珍しいことだった。

 もしかして取り逃がしたのかな?

 心配をよそに待機すると、ドスンドスンと地面に騒音が響く。


「オボロ、そっち行ったわよ」

「任せてよ」


 エメラルの声が聞こえて来た。

 如何やら相当近い距離だったらしい。

 返答をすると、すぐさま異変が起きた。何かがもの凄い勢いで駆けてくる。


「残念。こっちには行かせないよ」


 エメラルに邪魔をされて逃げ惑う魔物。

 まだ進行方向に余裕があったから、僕が邪魔をする。

 小さな体を大きく見せて魔物を止めようとした。


「さぁ、大人しく……うわぁっ!?」


 急に魔物は突撃してきた。

 ビックリしちゃって身を翻した。

 攻撃は躱したけど、面倒なことになってしまった。


「ああっ!?」


 魔物は勢いよく草の中に飛び込んだ。

 ガサガサゴソゴソと音を立てていて駆け回っている。

 右や左、ウロウロしていて目で追い掛けると、影が揺れた。


「どうしよう。草木で体に傷が入ったら困るよ」


 魔物が草木の中に飛び込むのは全然普通だ。

 だけど今の僕達にとっては困ることもある。

 それこそ、魔物に傷が入ると報酬がね……


「仕方がないね。ごめんね、自然さん」


 僕は本当はやりたくなかった。

 でも草の中に飛び込まれると、見えなくて本当に困る。

 目で追ってはみた。一応追える。逃げられると更に困るので、僕は短剣を手にした。


「そこだっ!」


 僕は緑色の短剣を振り抜いた。

 ブォーン! と風の刃が発生する。

 魔力を相当持って行かれたけど、見事に草木を伐採しながら、魔物を追い詰める。


「そっち行ったよ、エメラル!」


 僕はエメラルに叫んだ。魔物の姿は少し離れている。

 この距離ならエメラルが攻撃を仕掛けられる。

 木の枝に登り、背中に背負っていた四尺刀を振り下ろした。


「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」


 飛び降りると同時に、鞘に納めた状態で魔物に攻撃を仕掛けた。

 グィーン! と鞘越しに刀が曲がったけど、魔物はそれを受けて逃げ出す。

 木の幹に鼻をぶつけると、少しだけ戸惑っていた。


「エメラル、行ける?」

「私が外す訳無いでしょ?」


 魔物を攻撃しなかった。脳震盪(のうしんとう)でも起こせればよかったけど、難しかったかもしれない。

 でもやりたいことは大まかには出来た。

 魔物の身動きがほんの少しだけ悪くなると、四尺刀を背中に収める。

 ジリジリ距離を詰め、魔物を逃がす訳にはいかないよ。


「ようやく追い詰めたわよ」


 エメラルは拳を構えた。

 魔物を目の前にして、四尺刀を手にしない。

 それもその筈、この魔物をバッサリやったらダメだ。


 四尺刀で切り付けたら、きっとバラバラになる。

 そうなれば本当に欲しい皮を剥ぎ取れない。

 傷だらけになると、価値が大きく下がる。


「オボロ、分かってるわよね?」

「もちろんだよ。ここまで追い詰めたんだから、逃がす訳にはいかないよ」


 僕は短剣を握っている。もちろん魔力を流していない。

 だからまともに切ることは出来ない。

 赤と青の短剣が陽の光でギラリと光る。


「ボフッボフッボフッ!」


 鼻を鳴らして嫌がる素振りを見せる。

 鋭い牙がプルプル震えている。

 角ばった足をドスンドスンと地面に叩き付けると、威圧的な態度で接した。


「その程度で逃げる訳に無いでしょ?」

「そうだね。僕達も、生活が懸かっているんだから」


 流石に逃げる訳にはいかない。正直Dランク以下の魔物だ。

 Cランク&Bランクの僕等が引く訳にはいかない。

 そうとなれば、やることは決まっている。まずは……


「ボフッ!」


 魔物は勢いよく飛び出した。

 構えを取っていた僕とエメラルの合間を絶妙に狙う。

 あまりの勢いに驚かされると、このままだとヤバいと察した。


「「うわぁっ!?」」


 間一髪の所で身を翻す。お互いが右へ左へ跳ぶと、なんとか攻撃を回避。

 得意の突進攻撃をモロに喰らえばただでは済まなかった。

 服の下の防具にひびが入りかねないが、何とか受け流した。


「あ、危なかったね、エメラル」

「そうね。それにしても厄介よ」

「流石は……ワイルドボア、だね」


 僕とエメラルが対峙している魔物。

 その正体はワイルドな野生個体のイノシシ。


 とは言えタダのイノシシはこの世界に居ない。

 魔力を宿していて、尋常じゃなく強い。

 しかもワイルドボアは皮が分厚く、少し焦げ茶色だ。


 身に纏った泥を防具のようにしている。

 そのおかげで、鼻先や牙を木の幹にぶつけてもピンピンしている。

 本当に厄介な魔物だよ。改めて思い知らされると、依頼を受けたのを後悔しそうになった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

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