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政治家でございます(完結編)

政治家のお話はここまでです。

 数日後、襲撃は唐突に終わりを告げた。

 襲撃が無くなったと言うような曖昧なものではない。

 ドン(・・)から詫びの使者が来たのだ。

 伝言は一言。


『潰した』


 それ以来、彼の担当区内は平和になった。

 襲撃の実行犯は元より、他の政治家も表立ってどころか裏でも妨害も何もしなくなった。

 異端ではあっても忠誠と行動力のある者と、勝手な真似をして失敗する者たち。

 使い道があるのはどちらか。

 価値があるのはどちらか。

 ドン(・・)はそう判断したのだと政治家(いすみ)は考えた。


(俺はまだ戦える…)


 誠意はコネだ。

 コネは力だ。


(俺は秩序を壊さず秩序を作り直して見せる)


 『文明の発展は素直さと人口に比例する』と言ったのは誰の言葉だったか?


 事実、人口増加に対する人類の発展速度は目に見えて低下し続けている。

 一見、数多の発見や発明があるように見えても、その大半が過去の天才の遺物や副産物に過ぎない…救世主が万人に認められたのが死後であるように。

 いずれ進化した人工知能が文明の発展を担ったとしても、人類の衰退は変わらないのだ。


 例えばエジソンの発明が革命的なのはゼロからだったからである。

 下地の知識があれば遥かに容易い。

 政治家やその友人は小学校で習うより先にエジソンの理論を組めた。

 これをエジソン並の天才が偶然集まったとは誰も言うまい。

 そういうことなのである。


 一人で問題を見つけられても、一人で何でも解決できると思うほど彼は傲慢では無かった。

 だから解決するための仲間を…コネを欲しているのだ。

 しかし、


(あの変人は無理だな…)


 婦長さんを思い浮かべる彼の目は、内心とは裏腹に嬉しそうだった…。


***


「どうされましたか?」


 思い出に浸っている時間が長かったのか、心配した秘書が政治家に尋ねた。


「…いや、昔を思い出していただけだ」


 あの時の若造が少しはマシな面構えになったものだ。

 彼が少しくらい爺臭く思い出に浸るのも仕方ない。

 そしてあの時の看護婦は、今ではこの病院で医師よりも有名な看護婦長だ。


 窓の外の日差しは眩しい。

 彼の進む道は日の当たる道ばかりでは無いが、今は不動の木陰で惰眠を貪ることにした…。


 めでたし、めでたし?

次は明日の08:00頃投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
婦長になる前から変わらないことに納得しかない
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