エピソード762 アルトゥール卿を御認めになられました
『肝が太い若者ですな』
叙任式後の祝宴が開かれています宮城の大広間にて、アンリ卿の御父君であらせられますレバークーゼン家の子爵閣下が、酒杯を片手に仰せになられますと。
『胆力は認めるしかありませんな』
ケルン家の伯爵閣下であらせられます御父様が御答えになられました。
『教皇庁のあります槍之国のアヴィニョン産の教皇の葡萄酒は実に美味ですな、伯爵閣下♪』
『ローヌ川沿いのアヴィニョンの葡萄畑で栽培されて醸造された教皇の葡萄酒は、ロートリンゲン公国産の葡萄酒とは異なる風味がありますな、子爵殿』
名は出されませんでしたが、帝都憲兵隊の副総監という要職に就かれていられますケルン家の伯爵閣下であらせられます御父様と、財務警察の警視正の地位にあられますレバークーゼン家の子爵閣下の御二方が、妾妃の連れ子と揶揄なされていられましたアルトゥール卿を御認めになられました。
『ケルン家の帝国女騎士殿は、まだ葡萄酒を嗜まれてはいませんでしたな?』
子爵閣下が緑青色の瞳の視線を私に向けながら仰られますと、御父様が金髪を御揺らしになられながら御頷きになられまして。
『アヴィニョンの教皇の葡萄酒は、このような祝宴でしか飲めませんから、花には少し可哀相な事をしてしまいました、子爵殿』
教皇庁のあります槍之国のアヴィニョンで醸造されています教皇の葡萄酒は、止事無い身分であらせられます貴族諸侯の皆様方でさえ、普段は飲む事が出来ない希少価値の高い御酒のようです。




