エピソード723 天命思想の帝国でも極めて珍しいと思われます
『少し休憩とします』
『『はい』』
帝都アーヘンにあります宮城の叙任の間にて、叙任式の予行演習の指導を担当なされている典礼省の儀礼官から、少し休憩にすると言われました。
『興味があれば叙任の間を見て回っても構いません』
『有難う御座います』
儀礼官の御言葉に甘えまして、叙任の間を見て回る事にしましたが、広大な部屋の東側の壁には巨大なヨハン大帝の肖像画が掛けられていまして、その下には建国の功臣の皆様方の等身大の肖像画が複数掛けられています。
『ふむ?』
『どうかされました?、令嬢花女史』
レバークーゼン家の子爵閣下の庶子にして次男でもあります、黒髪と褐色の肌色をされている高潔な貴公子のアンリ卿が絵画鑑賞をしています私に声を掛けられましたので。
『はい、アンリ卿。控室の壁に掛けられていました絵画もそうでしたが、初代皇帝陛下であらせられますヨハン大帝が建国の功臣であらせられます皆様方と共に打倒なされた死の王国に仕えていた死霊術士は描かれていますが、専制君主として君臨していました死の王自身は、叙任の間の壁に掛けられています絵画にも描かれてはいません』
アンリ卿の他にも、希望さんとルネ卿とアルトゥール卿の三人も、私による見解を聞き壁に掛けられていますヨハン大帝の巨大な肖像画と、建国の功臣であらせられます皆様方の等身大の肖像画を眺められまして。
『確かに死の王を描いた絵を見た記憶は無いな、帝国の法律で禁止されているのか?』
デュッセルドルフ家の上級の騎士様の子息でもありますルネ卿によります疑問を耳にされました、典礼省の儀礼官が。
『法律により明文化されている訳ではありませんが、初代皇帝陛下であらせられますヨハン大帝が建国の功臣であらせられます皆様方と共に根元魔法が盛んな封建制度を政治体制に採用しています天命思想の帝国を興されて以降数百年に渡り死の王の姿は絵画に描かれていないので、今となっては誰も死の王の顔を知らないので描きようがないというのが大きな理由となっています』
成る程、数百年前の歴史上の人物の顔は肖像画や彫刻で知るか、帝国では禁呪として厳しく禁止をされています死霊術を用いて当時から存在し続けています不死者や化物、あるいは私達が暮らす物質界とは異なる次元に存在します魔界の住民に聞くしかありませんが。
『召喚魔法を用いて寿命の無い魔界の住民から話を聞けば、死の王を直接見た上位魔神等も居るかも知れませんが、そこまでする必要性もありません』
歴史上の人物の顔を知る為に、態態魔界の住民を召喚魔法で呼び出し使役をする天から根元魔法の素質を授かりし選良でもあります魔法使いと女魔法使いは、根元魔法が盛んな封建制度を政治体制に採用しています天命思想の帝国でも、極めて珍しいと思われます。




