崩壊の日
今回の話は地震や津波に関する描写があるので、一応警告をここにしときます。
今日もいつものように平和なこの国での生活を送れると思っていた。
この平和は絶対で崩れることなんてありえない…いや、想像することなんてできるわけなかった。
だけど、崩れるのは思っていたよりも、簡単なことだったらしい…
今日も平和な1日が始まった。
今日は8時半からの優雅タイムもあるので、特段ワクワクしていた1日だ。
いつものの時間に起きて、いつものの美味しい朝食を食べて、いつものようにテレビの前に座って、前、親から貰ったプレゼントを装備しながら、ワクワクして待機していた。
…そんな時だった。
父親が一緒にゲームをやらないか誘ってきた。
”スマ”っと爽快であの有名な配管工”ブラ”ザーズも参戦している愉快なパーティゲーム。
略してスマブラをやりたいらしい。
俺は見たいテレビがあるから嫌だと言ったが、
父親が「まだ始まるまで45分以上あるし、いいだろ」と言ってきたので、渋々、やることを了承した。
ゲーム機をテレビに繋いで、ソフトを起動した。
スマブラはやるのが、初めてなので、見たいテレビがありながらも、ワクワク感はあった。
まず、キャラの数に驚いた。86体もいて、何から選べばいいか全くわからなかった。
知っているキャラもいなくはないが、極少数だ。
そこで父親はピンクの悪魔をお勧めしてきた。
どうやら、このキャラは初心者にも使いやすいキャラでこのゲームを始めるのにうってつけのようだ。
しかも、ストーリーモードでも最初に強制的に使わされてるキャラがこれのようで、本当に初心者向けなのだなと感じたので、助言通りこれを使うことにした。
父親はどうやら、闇の鉄拳というガタイのいい男のキャラを使うらしい。
いざ、3 2 1 Ready GO!
とその前に流石に操作方法を教えて貰ったが、操作方法がだいぶ直感的ですぐにやり方を覚えることができた。
今度こそ、いざやらいでか!
…と意気込んだもの、父親にボコされた
父親の点数が33、俺の点数は4だった…
惨敗だ…あの、気持ち悪いところがある父親だが、ゲームの腕は確からしい。
ゲームをして一息ついて、今度こそ、テレビの前で待機し直そうとしたその時……
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ーーテテーンテテーン緊急地震速報緊急地震速報テテーンテテーン緊急地震速報緊急地震速報ーー
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今までに聞いたことのない嫌な音が頭の中で響き渡る。
一体、何が起こったのか全くわからなく、頭が真っ白になってしまった。
そして、間もなく何かを考える一緒もない時間で言葉では言い表せないくらい揺れた。
そんな時、父親が俺の上に覆い被さった。
今の状況を理解することが出来なかったが、不思議と父親の姿がかっこよく見えた。
それは2分ほど続いた。
父親が覆い被さって外の様子は全くわからなかった。
揺れが収まった頃、父親が「大丈夫か?」と少しか細ながら、相当心配する音色で聞いてきた。
俺は思わず、今にも泣きそうな声で「うん」と答えた。
父親は少し安心した様子で「無事でよかった」と言った。
父親がどいた時、衝撃の光景がそこにはあった。
あんなに重かったテレビ、戸棚、冷蔵庫とかが倒れてて、
壁に飾ってあった写真やカレンダーは全て落ちて、明かりも落ちて、
ひどい状況だった。
まるで、何十年も放置された空き家のようだった。
この家に確かにあった生活感、安心感は砂のようにどこかへ飛んでいったようだ。
もし、この状況を言葉で言い表すのだったら、絶望か…?
父親は俺を抱きかかえて「父さんは無事だ、父さんが守ってやるから安心しろ」と言ってくれた。
だが、それはそれで恐ろしかった。
いつもあんなに馬鹿にしてた父親がこんなカッコいいなんて、逆にいつもの日常ではないんだなと認識させてきて、ジワジワと恐怖が心の中に広がる。
父親がすぐに玄関へ行き、バッグを取り出した。
そして、外へ出た。
街も崩壊していた。
あんなうるさいと思ってた騒音はなく、逆に恐ろしかった。
電柱は倒れ、外壁は崩れ、火事になっているところもあった。
そして、そんな時。どこからか、ゴゴッザザッという音がした。
後ろには巨大な水の壁があった。
ビルなんて可愛いくらいの高い水の壁だ。
それはとんでもないスピードでこっちへ迫ってきた。
父は焦った顔をしながら、「大丈夫だからな」と安心させるように言って、
猛ダッシュを始めた。
だけどもう、遅かった…
数秒後、俺達は水に飲み込まれた。
そして、父親を見失った。
魔法でなんとかしようと思ったが、このレベルになるともうどうすればいいかわからなかった。
走馬灯のように両親との思い出が流れた。
父親はどこに行ったのか、朝のランニングに行ってた母親は今、どうなっているのか、全く検討も付かなかった。
とにかく、魔法で自分を守ることに集中した。
そして、意識を失った…
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一体、どのくらい眠っていたのかはわからない。
気がついたら、どこか知らない街にいた。
ここのことは何もわからないが、この街も荒廃しきっていたことだけはわかった。
しばらくの間、唖然としていた。
未だに何が起こったのか、現実を受け入れることはできなかった。
これが現実なのか疑いたくもなかったが、第2の命を授かっている時点でそんなことを考えることが無駄なことはわかっていたので、考えることをやめた。
やることもなかったし、お腹も空いたので、街を散策することにした。
正直、嘆きたいし、泣きたいが、そんなことをしたところで意味などないし、誰かが助けてくれるわけでもないので、止めた。
街には人影1つなかった。
街の人も水の壁に飲み込まれたのか、そもそも人などいなかったのか、どこかへ行ってしまったのかはわからないが、街はゴーストタウンとなっていた。
しかし、そんな中で1つ物影が動いてる気がした。
いや、動いている。
でも、人ではない。
そいえば、前テレビで人里に熊が出たと聞いたことがある。
しかも、それは珍しいことではなく、割とよくあることらしい。
まぁ、人がいない人里なんて熊からすれば、いいグルメ天国だろう。
熊がいても、いいように魔法を使おうと構えた。
とその時、草むらから出てきた…
…出てきた…出てきた…出てきたのだが、拍子抜けだった。
出てきたのは、子犬だった。
「君も1人なのかい?」
そう言うと、子犬もか弱い声で「キャン」と答えた。
俺も1人では心細いし、子犬と一緒に行くことにした。
久しぶりに人と会ったのが、よっぽど嬉しかったのか、子犬は尻尾を振っていた。
そして、子犬はついてこいと言わんばかりにこっちを振り向きながら、どこかへ向かおうとしていた。
せっかくだし、ついてみってみた。
そうすると、図書館があった。
図書館の中に入るとなんとあの揺れがまるでなかったようで綺麗な状態だった。
公共施設だったためか、かなり強い揺れ対策が施されてたようだ。
しかし、少し水の後があり、あの水の壁を完全に防ぐことができなかったようだ。
子犬が案内してくれた先にはなんと大量の非常食があった。
これだけあれば、数年は生きていける量だ。何故か知らないが、ドッグフードもあった。
ここから俺の突然の1人生活が始まった。
子犬にはリーミリィという名前を与えた。由来は俺を導いてくれたということでreadと家族のfamilyを組み合わせてこの名前になった。
そして、時間だけはいっぱいあったので、図書館にある本を片っ端から読んだ。
本当は唯一の知り合いである母親と父親を探したい気もなくはないが、ここがどこかわからないし、まず俺がどこら辺に住んでいたかすら、わからなかったので、探すにも探せなかった。
たまにこう思うことがある父親は「父さんは無事だ、父さんが守ってやるから安心しろ」と言ってのに、そんなこともなく、今こうなってる。やっぱ、あの父親はかっこよくなんてなく、気持ち悪いと思う。
涙が自然と出てきた。
本を読んでいく中でやはり興味を持ったのは、機械関係のことだ。やはり、魔法と相反するものということで興味をそそられる。
そして、唯一自分が今持っている親の形見であるこのヒーローになれる変身アイテムのおもちゃを自力で直したいとも思ってた。
これは誕生日のときでサプライズで貰ったものだ。
あのひと時がもう戻ってこない、そう思うと余計悲しくなる。
リーミリィが心配そうにこちらを見てくる。
「大丈夫だよ」といい、優しく撫でてやった。
今いる唯一の家族を心配させてはいけないそう思ったのだ。
そして、数年の月日が流れた。
図書館の周りには本を見て、学んだ作物の作り方を参考に畑がたくさんある。
気づいたら、ミニ農園と言っても差し支えがないレベルなものにはなっていた。
リーミリィもすっかり育ち、大きくなっていた。
さらにリーミリィは魔法を使えるようになったのだ。
毎日、優しく撫でながら、魔力を少しずつ流し込んでいたら、なんとリーミリィも同じような魔法が使えるようになったのだ。そのためか、見た目も普通の犬とは少し違う見た目となっている。
魔法が使えるので、農園作りも捗っており、すぐに作業が終わる。
この数年の間でこの星の文化や歴史、物語様々なことを本で学んだ。
そして、肝心の機械についてはどハマりし、今では農業用の機械も作ってしまった。
と、もう1つ数年間作り続けていたものがある。それが今日完成する。
「こ…こ…こんにちはぁぁぁぁ!」
そうずっと作り続けていたものとは、自立人型サポートロボットだ。
そして、今起動に成功した。
長年の努力が報われたので、非常に感動している。
「俺の名前は蓮。よろしくね」
そういうと、ロボットも「蓮よろしく、僕の名前は…あれ、なんだろう」と返してきた。
そいえば、まだ名前をプログラムしていなかった。
「そうだなぁ、名前は…ゼリナル。由来は俺の名前は俺が元いた世界の言語で蓮
を翻訳するとそうなるから」
ゼリナルには図書館にある本の内容、俺の元いた世界の知識を全てインプットしてある。
そのため、何も躊躇いなく、全てを話すことができる。
「いい名前だぁ、名付けてくれてありがとうぅぅぅ」とゼリナルは返してきた。
リーミリィしかいなくて、1人よりはマシだがそれでも寂しさがある空間に花が増えた。
ある日のこと、突然、図書館のスタッフルームから音が聞こえてきた。
何かと思うとテレビがついていた。何故、図書館なのにテレビがあるのか理解に苦しんだが、見てみるとそれはNHKだ。
他のチャンネルはつけようと思っても電波を受信をすることができない。
テレビを見ると衝撃の事実を知った。
日本は知らない間に大日本企統国となっていた。
何故かこうなったかというと、
まずあの揺れは大太平洋超震災という名前が付けられた。
太平洋造山帯地域全域で東日本大震災が可愛く見えるレベルの揺れが起こったらしく、日本だけではなく、西アメリカ、カナダ辺りや、太平洋の島々の国は大きく揺れて、観測史上初の大きさの津波を各国を襲ったらしい。そうあの水の壁は津波というらしい。
特に日本での被害はひどかったらしく、太平洋側に面する都道府県はひどい有様らしい。
ゼリナルが勝手に人工衛星から得た位置情報によると、ここは広島らしい。
どうやら、津波は瀬戸内海からのものしかなかったので、日本海や太平洋からドバっとくる津波よりはマシだったのかもしれない。
が、ゼリナルのシミュレーション的にはそんなことは有り得ないらしい。
そして、あの津波により、東京、大阪、愛知などといった都市機能は完全に止まったらしい。
日本の上場企業はほぼ全て倒産した。
そんな時、倒産した全ての企業の株を買収したのが、株式会社 大国主命だ。
日本のあらゆる会社を買収した大国主命は瞬く間に日本のNo.1企業となった。
大国主命が急ピッチで日本のインフラを最低限は復活させ、一躍国の英雄となったわけだ。
また、その頃、国会は国会議員の過半数が行方不明となっていた。かろうじて生きていた国会議員もいたが、こんな中では国会は機能しない。内閣に関しては全員行方不明になっている。
よって、完全に三権分立による日本は滅んだも同然だった。自衛隊は生きており、各地で救助活動を行っているが、それ以外の国の機関は完全に機能していなかった。警察だろうが、消防だろうが。
地震が起こった当日はマニュアルに沿って動いていたが、それ以降はトップ層でも行方不明者が多く、上からの命令がない下の者も動けず終いだった。
そんな中、大国主命は国会議事堂、最高裁判所を占拠した。
本来なら、国家転覆罪で裁かれるべきなのだが、今はそれを裁くものがいない。なんなら、それを称賛する者が多くを占めている。
こうして、1945年の終戦後以来続いていた日本は終わりを迎えた。
そして、大日本企統国となり、1企業が政治の実権を握るという過去に類を見ない国が誕生した。
だが、大国主命は国になれるだけの復興を行っているかつ人望があり、旧政治体制は完全に崩壊していたため、国際的にもこれがまかり通ってしまった。
しかし、企統国となっても、変わらなかったことがある。それが天皇制だ。
日本国憲法に引き続き、新しい憲法の大日本企統国憲法でも第1条には天皇は国民の象徴である旨が書かれている。
鎌倉から江戸まで幕府が支配していた時代があるが、それも裏では天皇が支配し続けることで日本国は存続し続けていた。そのため、今回もそうすることで日本国は今日も続いているということだろう。
だが、それ以外の憲法は大きく変わっているところは少なく、特に平和主義や非核三原則が放棄されてことが大きな点だろう。日本国憲法では、平和主義であり、他国とは基本戦争することはできないし、核兵器や軍を持つことができた。しかし、この2つが放棄されたことで他国と戦争することができるようになってしまったのだ。
政治体制も大きく変わっており、大国主命の上層部がそのまま政治家となることになっている。
また、省庁は大国主命の各部門に割り振られており、「メーカー」「商社」「小売」「金融」「サービス」「ソフトウエア・通信」「マスコミ」の7つの業界ジャンルがそのままなっているようだ。
また、日本の埋立地はあの津波で大幅に削られてしまい、東京はあちこちが海になっているらしい。
東京23区はもう使い物でならないようで、ゴーストタウンとして放棄されている。
今の首都は埼玉県。どうやら、内陸県で比較的被害が少ないかつ首都圏である程度発展しているため、新しい首都として申し訳ないからだとか。
こうしたことをテレビを見て、今日始めて知った。もう元の日本はないんだなと物悲しくなった。
NHKが再び動き出したのも大国主命が整備を進めて、再び放送できるようにしたかららしい。
で、テレビでもう1つ耳を疑うことを聞いた。
なんと普通の人間にも魔法が発現したらしい。
大国主命はその魔法のことを新時代開拓者と名付けた。
そして、大国主命は新時代開拓が発現した人を軒並み、会社に引き入れた。
逆に発現しなかったものは無能人と呼ばれた。
無能力は差別の対象となり、赤ん坊が無能力なだけで赤ん坊が生まれたことをなかったことにする親もいるんだとか。
ゼリナルが「ひどいめ、人の心のとかないのかな」といった。
「みんな生きるので精一杯なんだ。そして、精一杯のときにはそんな人の心なんて簡単に失う」
俺だって、この数年、精一杯に生きるために両親のことを忘れかけたこともある。
大事なことは確かなのだが、精一杯に生きていると生きているかわからない人を気にかけるより、自分のことをどうしても優先してしまう。だからって、どうでもいいわけはない。
と、考えるうちに気持ちがわからなくなってつい泣いてしまった。
ゼリナルと駆けつけてきてくれたリーミリィが慰めてくれたが、このモヤモヤが解消するには見つけ出すしかないんだと感じていた。
そうだ、探す旅に出よう。
旅に出るのに必要なだけの物資は作り上げてきた今こそ、両親を見つけ出すために旅に出るべきだ。
そう決心した俺は旅のための計画をゼリナルと共に考え始めるのだった。
日常とは当然終わるもの…
正直、地震を理由に別れさせるか悩みました。やっぱり、この題材はセンシティブだし、トラウマな人もいるでしょうし、だけど、だからこそ、人の縁を断ち切るには十分するし、その恐怖に共感する人も多くいるはずです。だから、津波でバラバラにするという手法を選びました。実際にありえそうなことの方がより読者に大きな衝撃を与えられるでしょうしね。
そして、日本はなんと滅びてしまいました。
これから、どうなっていくのか、蓮が旅の果てに見るものとは…
乞うご期待を。




