父とノ休日
ある日のこと。
父親が話しかけてきた。
「一緒に外に行かないか?」
父親がワクワクした眼差しを向けながら、言ってきた。
正直、めんどかったが、断ったら断ったらでめんどくさいことは目に見えてわかりきってることだから、仕方なく
「うん」と言って、提案を了承した。
了承したとき、父親はまるで子犬のように走り回り、嬉しそうだった。
ちょっと、気色悪い。
車に揺られて、15分くらいたった時、そこは草原だった。
さっきまで、周りにはビルや建物といった人工物が羅列されていたが、今やその影はどこにもなくなっている。
父親は車を止めた。
「よし、着いたぞ!」
父親がずっとこの時を待っていたかのように言った。
父親は車から降りて車の後ろの方から何かを取り出した。
取り出してきたものはグローブとボールだった。
父親ははりきった声で「キャッチボールやるぞ」と言った。
どうやら、父親の目的は俺と遊ぶことらしい。
ちょっと怠いが、赤ん坊になってからというもの何かと十分な運動ができていなかったからちょうどいい機会かもしれない。
外に出て、グローブを身に着け、準備はできた。
いざ、やると思ってたよりも、キツかった。
やはり、1番の理由はこの身体だろう。体格が小さく、筋肉も十分発達していないし、これではまともな運動は難しい。
まぁ、やろうと思えば、魔法でごまかすこともできるが、それではあまりに不自然だし、魔法が使えることがバレてしまうだろう。
しかし、父親はそんなことはわかっていたかのように、こっちに来た。
できない俺を叱りにきたのだと思った。
それは俺が浅はかだった。
父親は優しくキャッチボールのやり方をレクチャーしてくれた。
「投げる方向に向かってまっすぐ足を踏み出しながら、利き腕と反対の肩を相手に向けて投げると思いっきり投げられるんだよ」とか、
「相手の胸をめがけて腕を大きく振ってみるといい」とか。
実際にそのとおりにやったら、少しはマシになった。
これには素直に関心した。
他にも、父親と色んなことをやった。
池に行って父親と一緒に釣りをした。
父親に釣った数で負けそうな時には魔法を使って魚が逃げるように仕向けてみた。
あとちょっとに勝てそうだったのにと悔しそうに思う父親の顔は面白かった。
一緒に凧揚げもやった。
最初は全く飛ばせなかったが、父親に倣ってやったら、案外あっさりできた。
この日は風があまり吹いておらず、凧があがりづらかったので、魔法で少し細工をしといた。
そこにあった駄菓子屋でアイスを買ってもらった。
アイスを初めて食べたのだが、これまた美味しかった。
ツヤツヤしながら、青白く輝くその少し丸みを帯びた直方体は汗をかいた身体の俺には光ってみえた。
食べるとヒンヤリしたかんじと甘みが伝わってきて、美味しかった。
残った棒を見ると、「当たり」と書いてあった。
父親が「おっー、これは凄いぞ、運がいいな」と興奮しながら言った。
どうやら、父親曰くこのアイスの当たり棒が出ることは稀で中々お目にかかれるものではないらしい。
「これで1本食べれるな」と父親が言った。
「えっ、そうなの!?」
まさかの想定外、こんな美味しいものがもう1つ食べれるなんて嬉しいことか。
早速すぐに引き換えてきた。
そして、また完食しようとしたとき頭がキーンとなった。
父親が「アイスの食べすぎだな」と言いながら、笑ってきた。
あれだけ貶してきた父親に笑われるのだから、それはもう気分が悪い。
だから、「別に痛くないから」と耐えながら、反論して、食べきってしまった。
その後、日も暮れ始めてもおかしくはない頃になったので、帰ることになった。
少しダサい絵面を晒してはしまったが、悪くはない1日だとは思った。
家に帰ると、父親は颯爽にソファにだいぶして寝た。
母親がもうご飯だから起こそうとしても全く起きる気配がない。
少しでも父親を見直そうかと思ってた俺が浅はかだった。
やっぱ、この父親は気持ち悪い。
父親に対するネガティブな感情は変わらないもの、前の世界には絶対なかったことをたくさん体験できて、この世界で暮らすのも悪くはないなと改めて感じたのでした。
テレビから
「環太平洋造山帯周辺地域で以上な地殻変動が起こっています。
専門家がいうにはいつ巨大地震が起こってもおかしくないとのことです。緊急時に備え、万全の警戒をしてください」
と聞こえた。
ふーんと聞き流していたが、これが全ての始まりだとは誰一人として知らなかった。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。
父とのかけがないのない思い出っていいですね~
さて、最後のほう少し不穏な雰囲気が出ていますが、一体今後どうなっちゃうのでしょうか。
ここから真の異世界日本が始まります。
今後、展開に是非ご期待ください。




