魔法とカガクとオれ
俺の名前は佐藤蓮。父親に、何があっても負けないで立ち上がってほしいという意味合いで付けたと建前上は聞いているが、ただ単純に流行っている名前だから付けた節の方が高いようだ。
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俺は見ていた。
「赤ん坊の名前、何がいいかな?」
母親が父親に問いかけた。
「うん〜、そうだなぁ。やっぱり、変な名前付けて後から恨まれてもいやだし、適当に流行ってる名前でも付けるか」
「だったら、これはどう?」
母親はよくわからん板を指さしながら、言った。
「意味も立派だし、これでいこう!」
「「我が子の名前は佐藤蓮」」
こう決まった。
正直、何を言っていたか分からなかったが、父親があまり険しい顔もせず、一瞬の隙に決めてたし、どう考えても適当に決めていたことが分かる。よって、俺の名前はこの国においては平凡×平凡のTHE 平凡の名前となった。
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そして、そんな俺も気づけば、3歳になった。3年もあれば、流石にこの国の言葉も文化も大抵のことが理解できた。
そして、分かったことが色々ある。
まず、この星……いや、地球というべきなのか……俺の国らしき場所が見当たらなかった。
国名は全く思い出せないが、元々住んでいた国の地理は大体覚えている……はず……。
だが、ユーラシア、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリア、どの地図を見渡しても、自分の知識に当てはまる国が存在しない。
ここから考えられるのが4つ。
1つ目は、南極の氷の下にある可能性。どうやら、南極は全地域で唯一、人がいない場所のようで、今のような気候になったせいで、我が国が埋まったのかもしれない。
2つ目が、地殻変動で姿形が変わってしまった可能性。どうやら、大陸というものは動くらしく、昔は、ユーラシア、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリア、南極が1つで、パンゲア大陸と呼ばれていたようだ。もしそうなら、我が国の地形が分からないのは当然だが、俺が元いた世界では1つの巨大大陸しかないなんてことはなかったはずなので、この線は薄いと考えられる。
3つ目が、太平洋に沈んでいる可能性。どうやら、はるか昔、太平洋のド真ん中にはジーランディア大陸とムー大陸があったとされる。前者は本当にあるらしいが、後者は未だに不明なことも多いらしい。全貌が分からないし、そこが元々住んでいた国なんてこともありえるだろう。
4つ目。これが1番ぶっ飛んでいるが、なぜかしっくりきてしまう。それが異世界転生の可能性。異世界転生したなら、この世界のことを知るはずがない。こんなぶっ飛んだことが起きていいのか疑問だが、俺が2回目の命を受けたことが何よりも証拠だ。不可能だと思っていたことが可能になっており、こんなぶっ飛んだことも実は可能ではないかと疑わざるを得ないのだ。
他に分かったこととしては、人しかこの世界の中心にはいないことだ。少なくとも、俺が以前知っていた世界では、人以外にも様々な種族が存在し、共生していたはず……。その代わり、この世界では、白人だの黒人だの黄人だの、地域ごとの人で種族が分かれているらしい。そして、今は共生しようとしているらしい。
で、少なくともこの国では、魔法はないものとされている。誰も魔法なんて使わない。使わないんじゃなくて、使えないのかもしれない。
その代わりに、この世界というものでは、科学? 化学? というものが発展しているみたいで、それらの様々な機械で、魔法のような凄いことをやっている。
魔法のような同じものを作る再現性は低いが、同じものを使って役立てる汎用性は、魔法を遥かに超えている。
魔法はやはり、魔力が必要かつ、使い方を覚えてもセンスがいるが、機械にはそれが必要ない。使い方さえ覚えてしまえば、誰でも同じことができる。
使い方の応用次第では人によって差が出るが、それを除くと誰でも同じことができる。魔法にはない明確な強みがある。
強いて機械にデメリットを挙げるなら、再現性だ。ここでいう再現性とは、同じ機械を作れるかどうかということだ。それが出来なければ、機械を強化することができない。魔法は魔力の込めようなどで簡単に強化できるが、機械には様々な知識がいる。知識なしでやれば壊してしまい、逆に弱体化しかねない。
魔法の反対、科学という概念を知れただけでも、この世界に生まれてよかったと感じた。
……感じたが、元の世界には帰りたい。
今の親には、十分恵まれていると感じる。母はちゃんと愛情を注いで世話をしてくれるし、父も気持ち悪いが、不器用ながら愛情を注いでくれる。
それには感謝している。そのため、ちょこちょこ魔法で手伝いをしている。
えっ、魔法が使えるの!?って思うかもしれないが、使ってみたら、使えたのだ。
俺も、最初は体質が変わってしまったし、使えないと思っていた。
が、歩けるような時期になったら、使えたのだ。
魔法には「火」「水」「地」「鉄」「闇」の5つの流儀がある。5つの流儀には、それぞれ派生があったりもする。例えば、火之流儀なら火之光流儀だとか水之流儀なら水之氷流儀とか。
で、俺は闇以外の流儀ならあらかた何でも使える。派生も全部使えると言えたら、カッコいいんだけど、派生なんて気づいたら増えてるから、知らないものもきっとあるだろうから、わからない。
魔法も機械のように人によって使い方が違い、基本からドンドン形を変えていくのだ。形を極め変え果てた先のものが派生と呼ばれるものになる。
「あれ?火が付かない」
料理している母がうまく火をつけることができないみたいだ。
蓮は小声で
「カリゼヌトラメル」と唱えた。
これは地之風流儀、風を止めるために使った
どうやら、開け放たれた窓から入る風が邪魔をしているらしい。
ボワッ
全く付きそうになかったコンロに上の空気が揺らぎ、火が付いた。
母は全く違和感なんて感じることなく、やっと料理できることに安堵し、料理を始めた。
「…n、n、ナーシェル………」
思わず振り向いた。
が、何もいなかった。
知らないはずなのに懐かしいような声に妙な不気味さを覚える…
何故だか、胸をきつく縛るようなそんな気がする…何故なのか、俺には全くわからない。
ただ、何か忘れてはいけない大切だけど、思い出してはいけない何かを感じる…




