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18

時は宋。


清河県、西門邸の中庭では――


朝から異様な作戦会議が開かれていた。


番頭。


帳場係。


倉庫番。


料理人。


下男。


馬丁。


荷役。


さらには普段は塩袋を担いでいるだけの男まで整列していた。


理由は単純である。


西門慶レイ(193cm)がとても真剣な顔をしていたからである。



「うむ!」


腕を組む。


深く頷く。


空を見上げる。


そして言った。


「梁山泊なのだぁ」


全員が止まる。


完全停止である。



番頭が恐る恐る聞いた。


「……あの梁山泊ですか」


レイが頷く。


「ばっちぃはずなのだぁ!」


沈黙。


料理人が視線を逸らす。


帳場係が帳簿を閉じる。


下男が靴を見る。


誰も否定しない。



「でも!」


レイが指を立てた。


誇らしげだった。


「何か金目のものがあるかもしれんのだぁ!」


全員が理解した。


本題だった。



「お前らぁ!」


声が庭に響く。


「梁山泊にあるものは好きに給料として取っていいから掃除してこいなのだぁ!」


その瞬間。


空気が変わった。


番頭の姿勢が変わる。


帳場係の目が光る。


倉庫番が頷く。


料理人が腕を組む。


完全にやる気が出た。



「掃除……ですか」


下男が聞いた。


レイが頷く。


「掃除なのだぁ」


三秒。


五秒。


そして続けた。



「汚いから次から次に変な山賊が蔓延るのだぁ!」


完全に納得していた。



帳場係が小声で言った。


「確かに……」


倉庫番が言った。


「整理されてませんし」


料理人が言った。


「衛生が悪そうです」


番頭が言った。


「物流の拠点としても不安定です」


全員一致だった。



レイはさらに言った。


「金目のものをとった後は!」


腕を振る。


「山賊が存在できないくらい破壊してから帰ってこいなのだぁ!」


完全に掃除ではなかった。


殲滅だった。



「わかったのだぁ!?」


全員が声を揃えた。


「承知しました!」


理由は単純だった。


給料として持ち帰っていいからである。



数日後。


梁山泊の湖畔。


霧がかかっていた。


静かだった。


鳥が鳴いていた。


そして――


西門家の使用人たちが到着した。



番頭が言った。


「ここか」


帳場係が言った。


「広いな」


倉庫番が言った。


「倉庫にできそうだ」


料理人が言った。


「魚が多い」


全員の評価が実務的だった。



最初に見つかったのは酒だった。


「持って帰る」


次に見つかったのは武器だった。


「溶かす」


次に見つかったのは金だった。


「分配する」


次に見つかったのは旗だった。


「燃やす」


完全に効率的だった。



下男が叫んだ。


「箱があります!」


開ける。


銀だった。


全員が頷いた。


「給料だ」



さらに奥。


建物があった。


壊す。


橋があった。


壊す。


倉庫があった。


壊す。


門があった。


壊す。


完全な清掃だった。



料理人が湖を見た。


「魚が多いな」


倉庫番が言った。


「塩漬けにできる」


帳場係が言った。


「輸送可能です」


番頭が頷いた。


「回収だ」



数日後。


清河県。


西門邸。


庭に荷が積まれていた。


銀。


酒。


木材。


鉄。


魚。


布。


旗。


椅子。


扉。


橋板。


梁。


柱。


ほぼ全部だった。



レイが見ていた。


腕を組んでいた。


満足そうだった。



「うむ!」


深く頷く。


「掃除は大事なのだぁ」


番頭が言った。


「完全に掃除しました」


帳場係が言った。


「再利用可能です」


倉庫番が言った。


「資源効率が良いです」


料理人が言った。


「魚も確保しました」



レイはさらに聞いた。


「山賊は?」


番頭が答えた。


「存在できません」


レイは頷いた。


完全に満足だった。



「うむ!」


空を見上げる。


誇らしげだった。



「環境整備なのだぁ」


誰も否定しなかった。


できなかった。


なぜなら――


梁山泊はもう


跡形もなく


とても清潔になっていたからである。

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