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幸運付与師~追放された僕は、美少女たちに幸運をもたらし最強に育て上げる。  作者: 秋ヶ瀬胡桃
第三部。三人娘は、アイドルを目指すのだけど。

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36/52

36.めっちゃ可愛かったな

「へえ、なかなか変わった感じの服だね」


「でしょ?」


 アレクが見せられたのは、幼女の落書きのような絵だった。

 三人娘は、皆、絵がうまくないのだ。

 それでも、大体のデザインはわかる。

 胸のあたりに大きなリボン。

 短くてひらひらしたスカート。

 この世界では珍しいが、現代日本のアイドル衣装のようだ。

 三人娘の美的センスが日本と通じたのだろうか?


「念のために聞くけど、僕もこれを?」


「もちろん」


「そう……」


 アレクは諦めモード。


「さて、これから装束を四人分作るのであるこん」


「作れるの?」


 アレクは、三人娘が裁縫をしているところを見たことがない。


「我は、裁縫の教育を受けているのであるこん」


「私も少々」


「あたしは……、ごめん」


 申し訳なさそうなルナ。

 裁縫が苦手なのだ。


「僕も、少しなら手伝えるよ」


 アレクも衣装作りに参加。

 ルナは、見学することに。

 裁縫道具は、イヨの荷物の中にあった。

 裁ちばさみなどの持ち歩かない道具は、生地と一緒に買ってきてある。




 体感時間で丸一日ほど経過。

 四人の衣装が完成した。

 近くからよく見れば雑なところも多いが、遠目にはわからない。

 フェスの一日だけしか着ないのだから、構わないのだ。


「着心地を試してみましょう」


「悪いところがあったら手直しするのであるこん」


 四人は、着替えを始める。

 当然、アレクは別室だ。


「アレク、いいわよ」


 着替えを終えたルナたちが呼ぶ。

 アレクは、なかなか姿を現さない。


「どうしたの、アレク?」


 何度か呼ばれて、別室から渋々顔を出すアレク。


「もう恥ずかしがることないでしょ」


 三人娘は、むりやりアレクを引っ張る。

 そこに現れたのは、アイドル衣装と完全にマッチしたアレクだった。

 息をのむ三人。

 改めてアレクの女装に感心するのだった。


「ところで、あたしたちはどう?」


 精一杯可愛くポーズを取るルナ。

 可愛さを誇示したりしないルナにしては珍しい。


「うん、いいと思うよ」


「今度は、可愛いって言ってくれないんだ」


「えっ、ああ、うん、可愛いよ」


 照れくさそうなアレク。

 実際に三人は、いつもの数倍可愛い。

 本当だからこそ言いづらいのだ。


「あっ、赤い宝玉の光が消えるのであるこん」


 時間魔法が終わる。

 時間の流れが外と同じになる。


「外ではどれくらいの時間がたったのかな」


「窓の外が暗くなったのが一回だけですから、一日でしょう」


 外に出て確かめてみると、イヨの言うとおりだった。

 フェス本番までまだ一日と半分ある。


「練習しすぎるのもよくないから、今日と明日は休もう」



ᓚᘏᗢ



「じゃあ、もう今日は食事して寝ようか。

 あたし、お腹すいちゃった」


「疲れをためてはいけませんから」


「しっかり寝るのであるこん」


 アイドル衣装を脱ぐ三人娘。

 目の前にアレクがいるというのにだ。

 あまりにもアレクの女装が様になっていたので、うっかりしていたのだ。

 アレクは、一瞬、その違和感に気づかなかった。

 あまりにも自然に三人が服を脱ぎ始めたからだ。

 数秒たってから目を覆って顔を背ける。


「アレク、どうしたの?」


「頭でも痛いのであるかこん?」


「いや、そうじゃなくて……」


 数秒たってから三人の悲鳴が轟く。

 アレクは、部屋から追い出された。

 混浴の温泉では裸でも平気だったのに、なぜ着替えは駄目なのか。

 知識が豊富なアレクにも未知なことは多い。




 翌日の朝。

 フラワー・アイドル・フェスティバルの開催まであと一日。


「町の見物にでも行かない?」


「そういえば、町をよく見ていませんでしたね」


「買い物もしたいのであるこん」


 三人娘は、ルーレの町に出る。

 もちろん、アレクも一緒だ。

 町の中を見るのは、実際の時間では二日ぶりだ。

 時間魔法のおかげで、かなり久しぶりな気がする。

 花に満ちた美しい町並みを忘れかけていた。

 そのため、新鮮な気分で見物している。


「アレクは、女装に慣れるために、女装で出てくるべきだったよね」


 町の大通りを歩きながらルナが言う。

 ミサキとイヨは、ルナに賛成して頷く。


「さすがにそれは無理だよ」


 たじろぐアレク。

 大きく首を横に振る。


「だけど、僕が君たちと一緒だと、僕が男だって知られちゃうかも」


「本番ではお化粧とかもするから大丈夫よ」


「えーっ、化粧までするの?」


「アレクっちにお化粧するのが楽しみであるこん」


 にやにやと笑う三人。

 アレクは、溜息をつくしかなかった。




 四人は、町の中心部にある庭園を訪れた。

 様々な種類の花々が咲き誇っていて美しい。

 花の町ルーレの象徴のような場所だ。

 多くの人が園内を散策している。

 中には、フェスの参加者らしき女の子のグループの姿もある。


「あの人たちも、あたしたちのライバルになるのかなあ」


「可愛い人ばかりであるこん」


「こういうところにいると絵になる人たちですね」


 三人娘は、少し不安そうだ。

 アレクは、君たちも可愛いよと言いかけたが、口には出さなかった。

 照れくさいからだ。

 それに、変な褒め方は余計なプレッシャーになるかもしれない。


「君たちは、もう十分練習したんだから、何も気にすることはないよ」


「そうね」


「あそこで何かをやっているのであるこん」


 ミサキが指さした方向に人だかりができている。

 大道芸人が見世物をしているらしい。

 三人娘は、はしゃぎながら人だかりに向かって走る。

 アレクだけ取り残されてしまった。


「今の子たち、めっちゃ可愛かったな」


「明日のフェスに出るんだろうな」


 通りすがりの男たちが話すのが、アレクの耳に入ってくる。

 何となく誇らしい気分になるアレクだった。



ᓚᘏᗢ



 大道芸人の芸を楽しんだ四人は、さらに庭園を散歩する。

 薔薇ばらの花に囲まれた白い彫刻が立っているのに出会う。

 女神像のようだ。


「花の女神ルーレと書いてあります」


 イヨが、案内板の説明を読む。


「町の名前と同じなのね」


「この地方の土地神なのか」


 女神像の顔を見つめるアレク。

 典型的な美女の顔だが、何か不穏な感覚を覚える。

 その時だった。

 庭園内で人々の叫ぶ声が響く。

 声の方向に目をやると、一頭の大きな生物が暴れている。

 鼠を巨大にしたような魔獣だ。

 花畑を蹴散らしながら走り回っている。


「えー、またこのパターン?」


 呆れ顔のルナ。

 ユーザーワの町中でボナコンが暴走したことを思い起こす。


「またまた何故唐突に町の中の庭園に魔獣が……こん」


「私たちでどうにかしましょう」


 四人は、巨大鼠型魔獣に接近する。

 馬より大きな魔獣が、二本足で立ち上がって花壇を荒らしている。

 鼠らしい愛嬌のある顔だが、鋭く伸びた前歯が恐ろしげだ。


「あたしたちでやっつけるか」


「ちょっと可哀想な気もしますが」


「仕方ないのであるこん」


 三人娘は、魔獣に戦いを挑もうとする。


「お待ちなさい!」


 三人娘を制止する声。

 ギーゼラだ。

 今日も三人の取り巻きを従えている。


「私たちの獲物に手を出さないでいただけますこと」


「うえっ、やな奴が来た」


 顔をしかめるルナ。

 忘れかけていた怒りが蘇る。


「どうしてあんたたちの獲物なんだよ」


「おやりなさい」


 ギーゼラは、ルナの問いに答えず、取り巻きに指図する。

 取り巻きの三人は、両手に鉄の鉤爪を装着。

 魔獣を攻撃する。


「ちゅちゅー」


 襲いかかる人間に鼠魔獣が吠える。

 両前脚の爪を振るって反撃する。

 しかし、ギーゼラの取り巻きたちは、全く怯まない。

 圧倒的な力で、瞬く間に魔獣を倒してしまった。


「意外とできるな」


 ルナは、取り巻きたちの強さに驚く。


「恐い顔で、どうかしまして?

 ここで勝負しますか?」


 ギーゼラが、ルナを挑発する。

 その顔に性格の悪さが如実に表れている。

 顔芸の見事さに感心させられるほどだ。


「ああ、やってやろうじゃ……」


「駄目ですよ」


 イヨが、ルナを止める。


「恐れをなしたのですね。

 冒険者のくせに臆病ですこと」


 取り巻きとともにルナたちを嘲笑する。


「あたしたち三人がどれだけ勇敢か見せてやるよ!」


 ルナが叫ぶ。


「そこの弱そうな眼鏡と犬が加わったところで、何になるのかしら」


「犬ではなくて狐であるこん」


 狐獣人のプライドを傷つけられたミサキも怒る。

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