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幸運付与師~追放された僕は、美少女たちに幸運をもたらし最強に育て上げる。  作者: 秋ヶ瀬胡桃
第三部。三人娘は、アイドルを目指すのだけど。

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33/52

33.何か面白いことないかなあ

「何か面白いことないかなあ」


 穏やかな日差しに照らされ街道を歩くルナの顔は眠そうだ。

 温泉町ユーザーワを出て数日。

 四人は、ミサキの宝玉を探しながら、気が向いた方向へと旅を続ける。

 途中、何度か低級の魔物に遭遇したが、苦戦することもなかった。

 退屈に感じるぐらいの道中だ。


「せっかく強くなったのに、もっと腕を振るいたいのであるこん」


「平和なのは結構なことですよ」


「それはそうなんだけど、やっぱりあたしって冒険者なのよねえ。

 しばらく暴れてないと体がうずいちゃって」


 ルナは、退屈を紛らわすため、スキップのような歩き方をする。

 次に、ワルツでも踊るように優雅にステップを踏む。

 お上品な動作もできるとは意外だ。


「あそこに道標みちしるべがある」


 アレクが指さす。

 平原の中の十字路にいくつかの行き先が書かれた道標が立っていた。


「どの町を目指す?」


「花の町ルーレというのが気になるわね」


「美しい町だと聞いたことがあるな」


「さすがアレク、よく知ってるわね」


「では、そこへ向かうのであるこん」


「そうしましょう」




 翌日。

 アレクたち一行は、ルーレに到着した。

 パステルカラーに彩られた可愛い建物が並ぶ町だ。

 町のあちこちに色とりどりの花が咲いている。

 まるで絵本の中のようだ。


「こんな綺麗な町があったとはね」


「可愛い町ですね」


 女子三人は、おとぎの国のような町の美しさに大感激だ。

 目を輝かせて町のあちこちを眺めている。

 アレクを残して早足で先に進む。


「あそこで何か作っているのであるこん」


「お祭りでしょうか」


 町の広場では、イベント会場らしきものが設営中だった。


「お祭りなんて、ちょうどいい時に来たみたい。

 やっぱり、あたしたちって運がいい」


「ポスターがあります」


「フラワー・アイドル・フェスティバルと書いてあるのであるこん」


 説明によると、女子限定の歌と踊りを競う催しらしい。

 優勝者には、豪華な賞品が出るとのこと。

 三日後の開催だ。

 まだ参加者を募集している。


「へえ、あたしも参加できるのか」


「グループでないとならないと書いてありますよ」


「じゃあ、みんなで出ようよ」


「面白そうであるこん」


「ですが……」


 躊躇ためらうイヨ。

 目立つところに出るのは恥ずかしいのだ。


「どうせ遊びなんだからさ」


「恥ずかしがることないのであるこん」


「はあ、それなら……」


 ルナとミサキに説得され、参加してもいいかなという気になる。

 そこへ、ようやくアレクが追いつく。


「みんな、どうかしたの?」


「あたしたち、あれに出ることにしたの」


 ルナが、フェスティバルのポスターをアレクに見せる。


「それじゃ、参加の申しこみに行ってくるから。

 アレクはその辺で待ってて」



ᓚᘏᗢ



 ルナたち三人娘は、フェスティバルの参加受付がある町役場を探す。


「まだ祭りが始まってないのに、人が多いわね」


「よほど注目されている催しなのでしょう」


「あの目立つ建物が町役場のようであるこん」


 三人は、人混みの中を抜け、町役場へ。

 役場の入り口を入ろうとすると、同時に別の四人組も入ろうとする。

 互いに道を塞ぐ形になってしまう。

 譲り合えば何事もなかったのだが。


「ちょっと、邪魔なんですけど」


 四人組のリーダー格が、ルナたちを見下すような目つきで言う。

 見るからに性格の悪そうな女だ。

 いかにも貴族でございというドレスや縦ロールの髪型。

 絵に描いたような悪役令嬢。

 ルナは、以前ぶちのめした娯屡権組ゴルゴンぐみのヨランダを思い起こす。

 取り巻きに囲まれているところまでヨランダに似ている。


「はあ?」


 睨み返すルナ。

 普段なら、多少嫌なやつなど相手にしない。

 しかし、この時は違った。

 つい苛立ちが態度に出てしまったのだ。


「邪魔とおっしゃってるのがわからないの」


 悪役令嬢の取り巻きの一人が言う。

 取り巻きたちも、令嬢ほどではないが立派な服と髪型だ。

 令嬢が上級貴族で、取り巻きは下級貴族なのだろう。


「わからないんだけど」


 ルナが言い返す。


「ルナっち、こん」


 ミサキが、横からルナの腕を引っ張る。

 険悪な雰囲気を心配しているのだ。


「ご自分が邪魔なことにも気づかないなんて、どういう育ち方をなさったのかしら」


 ルナたちに蔑みの視線を向ける令嬢。


「貴族に道を譲ることも知らないなんて」


「なんて粗野な野人なのかしら」


 取り巻きBと取り巻きCが言葉を続ける。


「そっちこそ、貴族がこんなところで護衛もつけずに何やってんのよ」


 また言い返すルナ。


「私たちが護衛ですわ」


 三人の取り巻きが、口をそろえて答える。


「やっぱりそう来たか……」


 取り巻きたちは、ただの下級貴族の娘でない。

 武術に長けているのは、ルナにはわかっていた。


「ところで、あなたたちこそ何をなさっているのかしら。

 まさかとは思いますが、フェスティバルに参加なさるとか?」


「そのつもりよ」


 ルナは、胸を張って答える。


「きゃははははは」


 令嬢と仲間は大笑い。


「あなたのような……イモが……アイドル……ですって……」


 令嬢は、笑いをこらえながらしゃべる。


「もしかして、隣にいるのも一緒に?」


「イモは、いくら並べてもイモですわ」


「身の程を知りなさいな」


 取り巻きたちが、ミサキとイヨを指さして嘲笑する。

 むっとするミサキとイヨ。

 仲間を馬鹿にされたことで、ルナの怒りも増す。


「あんたたちの身の程はどうなのよ?

 どこの没落貴族?」


「あらまあ、私のことをご存じないなんて、田舎者はこれだから」


 やれやれといった表情の令嬢。


「この私、天下に名だたるチマローザ伯爵家の長女、ギーゼラ・エルマンガルド・チマローザといえば、社交界の花として知らぬ人などいない美貌の持ち主ですのに、無教養で野卑な人間は困りますわ」



ᓚᘏᗢ



「チマローザ伯爵家?」


 ルナが、ミサキとイヨに目を向ける。

 ミサキは、黙って首を横に振る。

 少し考えるイヨ。


「名前なら聞いたことはあるような気がしますが」


 ほとんど何も知らないのだ。


「薄汚い野蛮人など相手にしても無駄なので、放っておきましょう」


 ギーゼラたちは、ルナたちを押しのけ先に役場に入る。


「頭にくるなあ、あいつら」


「失礼な人たちであるこん」


「貴族の態度とは思えません」


 三人娘は、苛立ちを隠せない。

 町役場の中をのぞくと、役人がギーゼラたちを出迎えていた。

 役人は、中年の男で、非常に腰が低い。

 下にも置かない扱いでフェスの参加手続きを行う。

 ギーゼラが偉い身分なのは確かなようだ。


「あら、まだいらしたの」


 手続きを終えたギーゼラたちとルナたちが、役場の中ですれ違う。

 ルナは、無視して通り過ぎようとする。

 ギーゼラの取り巻きの一人が、足を伸ばしてイヨの足に引っかける。

 転倒するイヨ。

 意地悪く嘲笑うギーゼラたち。


「何すんのよ」


 ルナが、ギーゼラにつかみかかる。

 なお、ゾナは、イヨを助けることができない。

 あまりゾナを人に見られたくないので、ルナの鞄にしまっているのだ。


「あなたこそ、お嬢様からこの汚い手を離しなさい」


 取り巻きAが、ルナの手をねじり上げる。

 取り巻きBとCも、ルナの左右からルナの肩を押さえる。

 ルナは、ギーゼラから手を離し飛び退しさる。

 取り巻きたちの動きの速さに驚いたのだ。

 結局、ギーゼラたちは、そのまま役場を出て行った。


「あの腰巾着たち、結構強い」


 ルナがつぶやく。


「我たちが戦えば勝てるのであるこん」


「ああ、もちろんよ。

 ここじゃ喧嘩するわけにいかなかったけど、今度会ったら張っ倒してやるんだから」


 ルナとミサキは、戦う気満々だ。


「あの、待ってください。

 フェスティバルに出るのですから、喧嘩はいけませんよ」


 イヨが、二人をなだめる。


「イヨっちの言う通りであるこん」


「だったら、あたしたちが、あいつらよりいい成績になればいい」


 三人は、フェスに闘志を燃やす決意を固めるのだった。

 その後、フェスの参加手続きをする。

 役人の態度は、ギーゼラの時と違って、あっさりとしたものだった。


「よし、これで参加できるようになったわ。

 あたしたちが優勝して、あいつらの鼻を明かしてやるぞ」


「優勝なのであるこん」


「ゆ、優勝……したいと思います」


 意気軒昂たるルナとミサキに対して、イヨは、自信なさげだ。

 人前で歌や踊りができるか不安なのだ。




 役場を出たギーゼラたちは、宿泊するホテルへ向かっていた。


「私たちの優勝は間違いないとはいえ、気がかりですわ」


「先ほどのあの者たちのことですか?

 冒険者のようですが、かなり冒険者レベルが高いと見ました」


「心配の種は潰しておかないと」


 ギーゼラは、ルナたちが強敵になると感じていた。

 喧嘩でも、アイドルとしてでも。


「畏まりました」


 取り巻きの三人は、何やらひそひそと話し合う。

 何を企んでいるのだろうか。

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