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幸運付与師~追放された僕は、美少女たちに幸運をもたらし最強に育て上げる。  作者: 秋ヶ瀬胡桃
第二部。ピンクの猫は、温泉郷でゆっくりしたいのに。

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23/26

23.ナンパなら他の人にすれば

「くーっ、あんな淫乱女に助けられるなんて、このあたし一生の不覚」


「でも、悪い人でなくて幸いであったのであるこん」


「見事な手際で助けてくれました」


 アレクたちが泊まる部屋は、日本ではないのに日本的だ。

 四人の服装も浴衣ゆかたに似ている。

 その中で、ルナだけが酷い悔しがりようだ。

 ミサキとイヨは、ルナをなだめるように話している。

 アレクは、三人娘から離れた位置に座っている。

 どうやってルナを励ませばよいかわからないからだ。

 女の子のことは、女の子に任せた方がよい。


「ところで、あの女の人の名前は何というのであるこん?」


「そういえば、聞いていませんでした。

 改めてしっかりとお礼も言いたいと思いますし」


「この旅館に泊まっているのなら、また会うこともあるのであるこん」


「あたしにあの人に合わす顔なんてない」


 ルナは、溜息をついて項垂うなだれる。


「あの人は、ただの人ではないのであるこん」


「強い魔力を感じました。

 きっと、名のある魔法師か魔導師だと思います」


「そうなの。

 魔法に鈍感なあたしは気づかなかった」


 さらに落ちこむルナ。

 ミサキとイヨは、慌ててルナを元気づける方法を考える。


「あの、夕食はまだですし、散歩でもして気を紛らわせませんか?」


「それがよいのであるこん」


 ミサキとイヨは、ルナの手を引いて外に連れ出そうとする。


「ちょっと待って。

 行くならアレクも一緒に」


 ルナが、アレクを誘う。


「僕はいいよ。

 君たちだけで散歩してきなよ」


 アレクは、女だけの中に自分はいない方がよいと思い、断る。


「アレクを一人にしておけないの」


 弱々しい声のルナだが、目つきは恐い。

 結局、四人全員で温泉町を散策することになった。

 ゾナは、旅館の部屋で待機だ。

 町の中では目立つし、うっかりレーザーを使うと危険だからだ。




「よーし、何して遊ぼっかなあ」


 ルナは、すっかり元気を取り戻している。

 立ち直りが早いのがルナの長所だ。

 ここは、温泉町によくある遊技場が集まっている一角。

 輪投げやスマートボールに似た遊具などの様々な店が並ぶ。

 どの店も、やや古びているのが味わい深い。

 多くの客が楽しむ声であふれている。


「あれをやってみたいのであるこん」


 ルナが指さした看板には、「射的」と書かれている。

 おもちゃの弓で景品を射落とすゲームだ。


「面白そう」


「やりましょう」


 ルナとイヨも乗り気だ。

 もちろん、アレクに反対する理由はない。

 早速四人で射的場に入る。


「幸運付与はいらないからね、アレク」


 ルナたちは、実力だけで射的をやるつもりだ。

 アレクも、こんな遊びに幸運付与を使うつもりはない。


「やったあ」


 ルナは、三回目にして目当ての品におもちゃの矢を命中させた。

 可愛くデフォルメされたミノタウロスの人形だ。


「当たりました」


 イヨも、目当てではない景品を偶然ゲットする。

 しかし、最初に射的をやりたがったミサキは、なかなか成功しない。

 二十回以上はずしている。


「こんなはずでは……こん」



ᓚᘏᗢ



「ミサキちゃん、もうやめとけば?」


「お金の無駄ですよ」


「うーん、今度こそは……こん」


 ルナとイヨの忠告もミサキの耳には入らない。

 珍しく相当ムキになっている。

 それほどまでに欲しい景品があるのだろうか。

 数メートル先の棚にずらっと並んだ小さな景品の数々。

 適当に矢を射ても、どれかに当たりそうに思える。

 だが、どれにもミサキの矢はかすりもしない。

 何度も新しい矢を買い直す。


「他のお店でも同じような景品があるよ」


 射的をやらずに傍観していたアレクが話しかける。


「これでなければ駄目なのであるこん」


「なんでそんなにこだわるの?」


 ルナの問いに、溜息をつくミサキ。

 少し躊躇ためらってから話し始める。


「我が国の神事で弓矢を使う儀式があるのであるこん。

 その儀式で弓を射るのが、我の役目なのであるこん。

 しかし、不器用な我は、弓がなかなか上達しないのであるこん」


 アレクたちは苦笑する。


「ここの弓は本物とは違うから、練習にもならないよ」


「アレクさんの言うとおりですよ。

 遊びなのですから、楽しみながらやりましょう」


「肩の力を抜いて」


 背後からミサキの肩を揉むルナ。

 ミサキは、気持ちよさそうな表情になる。


「では、あと一度だけこん」


 弓を構え、矢を射るミサキ。

 矢は、最も値段の高そうな大きめの人形を射貫く。

 人形が、棚の後ろの壁に矢で打ち付けられる。


「やったのであるこん」


 喜ぶミサキ。

 だが、何かがおかしい。

 この射的場で使う矢の先端は、安全なように丸くなっている。

 弓の威力も弱い。


「困りますよ、本物なんて使われちゃ」


 店主の男が、店の外に向かって言う。

 ボウガンを持った男がいる。

 冒険者風の身なりだが、柄が悪そうだ。

 この男が、外から矢を射たのだ。

 なお、ミサキの矢は、今回もあらぬ方向へ飛んでいったのだった。


「矢なら何だっていいだろうが。

 金なら払うぜ」


 傍若無人な態度で店に入ってくる男。

 店主に金を投げつける。

 二人の仲間を引き連れている。

 全員二十歳前後の三人組の冒険者パーティーらしい。


「うおっ、可愛い子いるじゃん」


 強引にルナたち三人に絡んでくる。

 アレクの存在は完全無視。

 男たちは、なれなれしくルナたちに体をすり寄せる。


「彼氏とかいないんなら俺らとどっか行かね?」


 ボウガンの男がルナに言い寄る。

 二人の顔がくっつきそうなほど近い。


「あたしたちはあたしたちで楽しんでるんで」


 ルナは、迷惑そうに眉をしかめる。

 だが、男はお構いなしだ。


「いいじゃねえかよ。

 あ、俺、一級冒険者パーティー『射怪の魔弩』のリーダー、コウトクだ。

 で、こいつらは、ニックとビル」


 自慢げな態度で自己紹介する。

 一級冒険者パーティーの肩書きだけで女を落とせると思っているようだ。

 今まで実際に肩書きになびく女が多かったのだろう。

 だが、ルナたちは違った。


「ナンパなら他の人にすれば」


 つれなくコウトクを押しのける。

 諦めの悪いコウトクは、一層強引に、しつこくルナを口説き続ける。

 ルナは、拳を握りしめ、パンチを繰り出す準備をする。



ᓚᘏᗢ



「や……」


「しつこいのであるこん」


 コウトクの仲間のニックとビルは、イヨとミサキを口説いている。

 イヨは、怯えてミサキの背に隠れる。


「あの、嫌がってるので」


 アレクが、ニックとビルに注意する。


「何だ、てめえ」


「俺たちに喧嘩売ってんのか」


 ニックとビルが、鋭い目つきでアレクを睨む。


「いえ、別にそんなつもりは」


 作り笑いを浮かべ、相手をなだめようとするアレク。


「ていうか、てめえ、この子たちの何だよ」


「ええと、仲間ですけど」


「こんなのが仲間ぁ?」


 コウトクがせせら笑う。

 アレクの前に来て、小馬鹿にしたような表情でめ回す。


「じゃあ、この子たちを俺たちに貸してくれよ」


 アレクの胸を手のひらで突き飛ばす。

 コウトクは、さすがに一級冒険者だけあって、力が強い。

 アレクの体が、弓がまとめて立てかけてあるところへ激しく倒れこむ。

 たくさんの弓が、アレクの周りに散らばる。


「アレクに何すんのよ」


 ルナが、コウトクに殴りかかる。

 だが、拳が当たる寸前に腕を止める。

 コウトクが意外と強そうなことに気づいたのだ。

 こいつ、あたしと同じぐらい強い。

 一級冒険者の肩書きは伊達じゃないってわけね。

 仲間の二人も結構できる感じ。

 戦える人数では、あたしたちの方が不利だわ。


 店主は、アレクを助け起こし、散らばった弓を集める。


「喧嘩なら他でやってくださいよ」


「ごめんなさい。

 外に行きましょう」


 ルナは、コウトクたちを店の外に誘う。

 そのままピンクの猫と射怪の魔弩が一緒に行動することになる。

 女子三人を男三人が囲むようにして温泉街を歩く。

 アレクだけ少し離れたところにいる。


「言っとくけど、あたしたちも一級冒険者パーティーなの」


「へ、へえ」


 ルナたちが自分たちと同レベルだったことに動揺するコウトクたち。


「だったら、気が合いそうだな」


 コウトクは、すぐに図々しさを取り戻す。

 横からルナの首に肩を組むように腕を回す。

 ルナが顔に思いっきり不快感を表すが、気にしない。

 ニックはミサキに、ビルはイヨに、同じように絡んでいる。


「こっちに行こうぜ、みんな」


 コウトクが、むりやり進む方向を決める。

 ルナたちは、逆らわずに従う。

 少し行くと、街の雰囲気が変わる。


「げっ、ここって……」


 ルナの目に飛びこんできたのは、いかがわしい店の看板だった。

 成人男性向けの娯楽施設が集まる地区だ。

 温泉地には、何故かストリップ劇場や性的な博物館があったりする。


「あたしたち、こういうところはちょっと……」


 呆れて顔を引きつらせるルナ。


「ここは何であるこん?」


 育ちのよいミサキには看板の意味がわからず、きょとんとした表情。

 イヨは、顔を真っ赤にして黙ってうつむいている。


「ぎゃはははははは」


 女子三人の反応に男たちは大笑いだ。


「あそこに入ろうぜ」


 コウトクが指さしたのは、「秘宝館」と書かれた建物だった。

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