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幸運付与師~追放された僕は、美少女たちに幸運をもたらし最強に育て上げる。  作者: 秋ヶ瀬胡桃
第一部。アレクが自分のパーティーを作るまで。

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13.そなたたちの仲間になるこん

「ギルドの魔物退治の件は、この家から誰もいなくなればいいはず。

 あたしたちと一緒なら、魔物と間違われて襲われることもないわ。

 両方の問題が解決でしょ。

 おまけに、あたしたちのパーティーも強くなるし」


「そうかもしれないけど」


 アレクは、ミサキの顔を見る。

 戸惑っているミサキ。


「ねえ、ミサキちゃんはどう思う?」


われは……」


 ルナの問いに、恥ずかしそうにうつむいてしまう。


「こんなこと、いきなり言われても答えられないよ。

 この子にだって、いろいろ事情ってものがあるだろうし」


 アレクは、ルナの強引さを軽くたしなめる。

 ミサキは、少し考えてから顔を上げる。


「そなたたちの仲間になるこん」


「よかった。

 そう言ってくれると思ったよ」


 ルナは、ミサキに抱きついて喜ぶ。


「アレクもいいでしょ?」


「まあ、いいけど……」


 アレクは、完全に賛成できずにいる。


「これで、あたしたちのパーティーは、新しく三人組になったわ」


 ルナは、アレクの様子に気づかず話を進める。


「ルナさん、アレクさん、よろしくお願いしますこん」


「畏まらなくてもいいよ、ミサキちゃん。

 あたしのことも、ルナとかルナちゃんとかルナっちとか呼んで」


「あっ、でも、それは……」


 アレクが、慌てて口を挟む。


「話にもあっただろ。

 この人は、狐獣人の国のお姫様なんだよ。

 普通の友達みたいに付き合うわけにはいかないんじゃないかと」


「あっ」


 今度は、ルナの方が畏まる。


「よいのであるこん。

 我も、対等な仲間が欲しかったのであるこん」


 結局、アレクとルナは、ミサキの身分は気にせずに接することにした。

 そのまま三人でフェンスターの冒険者ギルドへ戻ることになった。




 ギルドでは、審査の結果、魔物退治の報酬は認められた。

 だが、ミサキが食べた農家にあった食料と壊した鎧戸を弁償しなければならなかった。

 そのため、残った報酬はわずかだった。


「我のせいで申し訳ないこん」


 項垂うなだれるミサキ。

 頭の耳も垂れている。


「我のゴブリン金貨を受け取って欲しいこん」


 アレクたちに手持ちのゴブリン金貨を渡そうとする。


「別にいいよ。

 僕たち、魔物と戦ったわけじゃないし」


「それでは我の気が済まないのであるこん」


 王族としてのプライドが許さないミサキ。

 アレクたちも、ミサキからお金を取るのは気が引ける。


「そんなことより、ミサキちゃんの服なんだけど……」


 ルナが、話題を変えて、ミサキの服をしげしげと見つめる。

 ミサキの巫女服風の衣装は、かなり汚れていた。

 呪いの獅子のせいだ。


「洗濯した方が良さそうね」


「山火事の時、着替えを落としてしまいましたこん」


「だったら、あなたのお金でクリーニングしてもらえばいいわ。

 ついでに着替えも買おうよ」


 ルナは、ミサキの手を引いて町中へ連れ出す。

 洗濯屋と服屋を探すのだ。



ᓚᘏᗢ



 ルナ、ミサキ、アレクの三人は、ギルドから町に出る。

 ミサキの着替えを買うために服屋を探す。

 フェンスター市内には何件か服屋があった。

 ルナが、最も良さそうな店を選ぶ。


「このお店がよさそうね。

 冒険者向けの服も売ってる」


 ルナが、ミサキを伴って入店する。

 アレクは、外で待つ。


「しかし、ルナっちたちが得るはずのお金で我が服を買うのは、申し訳ないのであるこん」


「もう仲間なんだから気にすることないよ。

 ミサキちゃんが汚れた服を着ていたら、あたしたちも汚れていることになっちゃう気がするの」


「ルナっち……こん」


 ミサキは、ルナの気持ちに心を打たれるのだった。




 ルナの見立てた衣装を着たミサキが店から出てきた。


「可愛くてかっこいいでしょ」


 ルナが、イメージチェンジしたミサキをアレクに披露する。

 女冒険者らしい肌の露出が多く活動的な服だ。

 短いスカートの下から大きな尻尾が出ている。

 尻尾を通す穴がある獣人用の服がなかったのだ。

 もじもじしながらスカートのへりを押さえるミサキ。

 頭のケモ耳が垂れている。


「このような恰好はしたことがないのであるこん」


 今までは丈の長いはかまだったので恥ずかしいのだ。


「慣れればこの方が動きやすいよ。

 それに、こういう服装が女冒険者の証みたいなものだからね。

 みんなが冒険者として見てくれるよ」


 ルナは、ミサキのそばで自分の服装を強調するポーズを取る。

 冒険者仲間であることを印象づけるためだ。


「だけど、この尻尾……」


 ミサキの尻尾をしげしげと見つめるルナ。


「ふさふさしてて気持ちよさそう」


 尻尾に顔を埋めて、もふもふする。


「んーん、もふもふぅ」


「そ、そこは、弱いのである……こん」


 顔を赤らめてもだえるミサキ。

 ケモ耳が、ピクピクと動く。


「うい奴よのう。

 よいではないか、よいではないか」


 日本の時代劇みたいなことを言うルナ。

 どこで知ったんだか。


「あれーこん」


 スカートがめくれそうになるミサキ。

 迷惑そうな感じはしない。

 新しい友とのふざけたふれあいを楽しんでいるようにも見える。


 一方、アレクは、目のやり場に困っている。

 ミサキのスカートに尻尾用の穴はない。

 なら、パンツの尻尾の部分はどうなってるんだよ?

 見えそうだけど見てはいけないのだ。

 考えてはいけないのだ。


「おっと、ふざけてる場合じゃなかったわね。

 ミサキちゃんは、五種類の宝石を探しているのよね」


 三人は、冒険者ギルドのラウンジで、今後のことを話し合うことにした。

 洗濯屋に汚れた服を預けてから、ギルドへ向かう。

 ラウンジのテーブルを囲む三人。

 ギルドからサービスで提供されたお茶を飲みながら会話。


「で、五色の玉とは、どういうものなの」


 アレクが尋ねる。


「古文書によると、青、赤、黄、白、黒の宝石であるこん。

 特別な力を秘めているらしいこん」


「えっ、赤い宝石だったら」


 ルナが、鞄から赤い宝石を取り出す。


「ミノタウロスを倒した時に手に入れたの。

 あたしのピンチを救ってくれたこともある凄い宝石よ」


「こ、これは!……こん」



ᓚᘏᗢ



 ミサキが、申し訳なさそうに頭を下げる。


「残念ながら違うのであるこん。

 我には、何となく感覚でわかるのであるこん」


「そっかあ。

 でも、冒険者を続けてゆけば、そのうち見つかると思うよ」


「僕たち三人で協力すれば、一人で探すより早いはずだ」


「そう簡単にはゆかぬのであるこん」


 ケモ耳が垂れるミサキ。


「アレクがいるんだから大丈夫よ。

 言い忘れてたけど、アレクは、幸運付与師なんだから。

 人を幸運にする能力があるの」


「確かにそうなんだけど、僕の幸運付与は、発動条件があるからなあ。

 悪意や敵意が絡んでないといけないとか」


 自信なさげに頭をかくアレク。


「五色の玉がミサキちゃんの国から失われたことは、何らかの悪意や敵意が原因なんじゃないの?

 だったら、幸運付与は発動すると思うんだけど」


「それもそうかもな。

 それじゃ、とりあえずやってみるか」


 アレクは、ミサキに手のひらを向ける。

 幸運付与をかけるポーズだ。


「今、何かをしたのであるかこん?」


 ミサキに術を施された実感は全くない。

 きょとんとしている。


「何も感じないでしょ。

 でも、そのうち効果がでるわよ。

 そのためには、とにかく何かをしないとね」


 ルナが、力強く椅子から立ち上がる。

 ギルドの受付に仕事の情報を探しに向かう。




 意外にも、簡単に仕事が見つかった。

 アレクとミサキのところへ小走りに戻ってくる。


「ここから少し離れた村の近くのハッシダーテ洞窟で魔物が大量発生したんだって」


 ルナは、声を潜めて話し続ける。


「さっき情報が入ったばかりなんだって。

 魔物が村人を困らせているのに国の兵士が足りなくて、冒険者の手を借りたいと」


「早速仕事が入ったのであるこん。

 これが、アレクっちの幸運付与の力であるかこん」


「そうかなあ。

 それに、アレクっちって……、はは、まあ、いいか」


 アレクは、変なニックネームに苦笑いする。


「あたしたち以外の冒険者も現場に向かってるはず。

 遅れると手柄が少なくなるわ」


 準備もそこそこに出発。

 半日ほどかけて目的地に到着。

 山沿いの小さな村だ。

 すでに夕方になっていた。

 山腹の洞窟に向かうと、入り口付近に多くの人がいた。


「やっぱり先客がいたか」


 残念そうなルナ。


「みんな情報に敏感なんだねえ」


 アレクは、感心して人々の様子を眺める。

 四人から八人ぐらいの冒険者パーティーが十組近くいる。

 いずれも、かなり実力のあるパーティーのようだ。

 鎧を着た兵士たちが洞窟の入り口を囲んでいて、出入りができない。

 警備をしつつ、パーティーの実力を見定めているようだ。


「早く入れろ」


 兵士たちに詰め寄る血気盛んな荒くれ者もいる。

 冒険者にとっては、大儲けと名声を上げるチャンスなのだ。

 気がせくのも無理はない。


「お前たちなら大丈夫そうだな」


 兵士は、荒くれ者のパーティーを通す。

 結局、先に来ていたパーティーは、全て洞窟に入ることを認められた。

 次は、アレクたちの番だ。

 兵士は、アレクたちを一目見て告げる。


「お前たちは駄目だ」



ᓚᘏᗢ



「えーっ、なんでー?」


 ルナが、兵士に食ってかかる。


「お前たちじゃ魔物と戦うのは無理だ」


「あたしたちが強そうに見えないから言ってるのね。

 あたしたち、今まで結構魔物退治をしてきてるのよ」


「それを証明するものは?」


「え?」


 たじろぐルナ。

 答えることができないのだ。


 この世界では、パーティーの実力を客観的に証明する手段が少ないのだ。

 憤怒の掌のような特級冒険者パーティーだけが、国やギルドから記章を与えられる。

 一般の冒険者パーティーは、見た目に強そうかだけで判断される。

 当然、はったりも多いが、実力以上の敵に挑んで失敗しても自己責任だ。

 ここの兵士のように引き留めてくれるのは、むしろ優しい。


「ねえ、入れてくれたっていいじゃない。

 あたしたちが死んだって、あたしたちの勝手なんだから」


「レベルの低い冒険者なんて、かえって迷惑なんだ」


 兵士は、なかなか通してくれない。

 ルナと押し問答が続く。


「何やってんだよ!」


 背後から怒鳴り声。

 アレクたちより後から来たパーティーが待たされている。

 しびれを切らし、先に通ろうとする。

 横柄で大柄な男が、わざとらしくアレクにぶつかる。

 転倒するアレク。


「ちょっと、アレクに何すんのよ」


 ルナが、大柄な男に怒る。


「お前も張っ倒されてえのか、小娘」


 ルナと大柄な男が睨み合う。


「あっ、いい考えがあるわ、兵隊さん。

 こいつらと戦って、あたしたちの力を見せてあげるわ」


 兵士は、どうぞご勝手にといった様子だ。

 冒険者の喧嘩などよくあることだからだ。

 相手のパーティーも戦う気満々だ。

 こうして、冒険者パーティーどうしの対戦が始まった。

 相手は、男だけの四人組。

 皆、体格が大きく人相が悪い、山賊のような集団だ。

 というか、冒険者パーティーを称しているだけの山賊かもしれない。


「こんないい娘、殺したくはねえけど、殺しちまうかもなあ」


 アレクにぶつかった男が、大剣を振りかざしてルナを襲う。

 かなり重量のある大剣だが、軽々と扱う。

 ルナは、軽快な動きで敵の攻撃をかわす。


 他の男たちは、アレクとミサキを狙う。

 ミサキが、戦闘力の乏しいアレクをかばうように立つ。

 アレクは、まだミサキの本格的な戦いを見たことがない。

 戦えるのか、やや心配だ。


「おい、こいつ、女の獣人じゃねえのか」


「買いたい奴に売れば儲かるぜ」


 敵の言葉を聞いたミサキが、先制攻撃に出る。

 一人の男の頭上にジャンプ。

 空中で両手を素早く振り回し、着地。

 すると、男の服がボロボロになる。

 体中に鉤爪で引っ掻いたような無数の傷ができ、血が噴き出す。

 ミサキの手は人間の手と変わらないのに不思議だ。


「いてて」


 男は、激痛に耐えられず膝をつく。

 自分の身に起きたことが理解できず困惑している。


 魔力に敏感なアレクには理解できた。

 ミサキの魔法で一時的に狐の爪を具現化したのだ。


「うわ、ミサキちゃん、凄い」


 ルナは、ミサキに駆け寄って褒める。

 ミサキの身体能力はわかっていたが、技を見るのは初めてだ。


 ルナと戦っていた男は、すでに地面にうずくまっていた。

 残った二人の男は、恐れをなして逃げ出す。


「待ちなさい!

 仲間を見捨てる気?」


 ルナが、大声で叱りつける。

 戻ってきた男たちは、負傷した仲間を連れて去っていった。

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