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ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!  作者: 櫛田こころ


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第95話 事情を詳しく

 藍葉は夢のなかにしては非常にリアルな体験をしていた。


 尻もちをつく勢いでどこかに投げ出されたような気がしたからだ。成樹との通話が終わって、普通に寝ていたはずなのに……夢のなかで、真っ暗い空間にどしんと放り込まれた。それの意味が分からない。


 また、心療科の方で診てもらっている症状が悪化したのかと思っていると。頭の上からさらに黒くなっていくのがわかる。顔を上げれば、そこにいたのは少し年上ぽい感じの可愛らしい女性だった。モデルだとふわふわ系のタイプで、親しみが持てると勝手にイメージが湧くが。


 夢のなかにしては、リアルに観察できるなと思っているとこちらに手を差し伸べてくれた。



『立てる?』

「あ、はい」



 会話も可能かと感心していると、掴んでもらった手をひっぱってもらいながら立ち上がった。自分たち以外何もないが、上の方から『ゴウンゴウン』と小さな音が遠くても聞こえてきた。なにかのアトラクションにも思えるそれは、見えない藍葉にはなにだかわからない。



『うーん。……向こうでも『起きて』いられそうね?」

「はい?」

『あいつの妹だし、能力的にも申し分ない。並行世界側のチャンネル登録もされているようだし、ここの管理は私が代理すれば』

「あの……なにの話を?」

『ん? 簡単にいうと、地球存続を叶えていくプロジェクト。君の担当決めをしているとこ』

「よく、わからないんですけど」

『そりゃぁ。君の恋人がギリギリまで打ち明けなかったのが悪いせいね。あ、私のことは『お姉ちゃん』って呼んでほしいな~?』

「お、おねえちゃん?」

『こう見えて、君のお兄ちゃんのお嫁さん候補。向こうでは』

「はぁ!?」



 夢のなかだから現実的な話を持ち込まれて、驚かないわけがない。いきなりぶち込んできた『義姉発言』に藍葉は頭の中までこんがらがってしまいそうになる。とは言っても、ここは夢、夢……と自分に言い聞かせて現実側で起きようとしたが。ぐっすりと寝ているのかで意識が浮上することはなかった。


 姉と呼べと言った女性はそれをわかってか、肩を軽く叩いてきた。



『ここは夢と現実の境目のようなもの。それと、あなたとかが頑張っている『異世界ファーム』とも隣接している空間のようなものね。世界とは言いづらいけど、一種のファンタジーな場所よ』

「あの。あたし……ただ、寝ていただけで」

『その眠りがよくないの。向こうで起きたらわかるけど、心構えくらいさせてあげる。……あちらでは、今生命維持活動できている人間が事実上誰もいない。ああ、死んではいないの。冬眠しているような感じね』

「……まさか。下の階でうちの両親が静かにしてたのも」

『そう。あなたが恋人からの連絡を受けるまで、ゆっくりしずかに……日本列島から順に地球の生命維持が眠りについた。これには訳があるの』

「……教えてください」



 成樹があんなに焦って、一時的な通話を可能にしたのもほかの理由があったかもしれない。嘘をつかれるのは嫌だったが、前に問いただした内容とは別だというくらい今の藍葉でも理解が出来た。


 この女性の言葉と、この空間に投げ込まれた理由を理解しようとすると……女性は、上へ指を向けた。



『とある人物の予言を頼りに、地球の天変地異を穏やかにする計画が成された。それは様々な並行世界とも連動し、私ともうひとりの『神』が治めるこちら側にも影響が出た。既に、あなたたちのお陰で軽くでも再生はされたの。そこはお礼を言わせてちょうだい?』

「……シゲくんたちが持ってきた、『異世界ファーム』が?」

『特に、あなたの提案が多く採用されたお陰ね? クルスとリーナは今じゃあなたと成樹みたいな感じよ?』

「……あれって。二次元のキャラメイクしただけじゃ」

『違うわ。外見を少しいじった以外は、並行世界側のあなたたちの分身に近いわね?』

「え……」

『さて。軽い説明はこの辺にして。……あなたの現実側で起きなさい。藍葉。ただし、指示だけは待つように』



 最後の言葉と同時に、水の中へ沈みこむような感覚を感じた。


 そして、意識がひゅんと起き上がる感覚と同時に体を起こしたが。暖房をつけているにしては異様に寒いとぷるぷる震えてしまう。


 ただ寝ていただけにしては、あの夢の記憶はなんだったと思いながらスマホを起動したところ……あり得ない、という羅列みたいなニュースがあちこち飛び交っていた。


 地震こそはないが、猛烈な寒波到来で交通機関全般氷結。北海道なみの雪が九州を飛び越えて沖縄や離島にも。


 閉じ込められた避難者らの意識混濁などなど。どれもこれも、夢で聞いてきた内容に酷似していた。



「……じゃあ。指示って、誰から?」



 成樹はどうしているか確認を取ろうにも、合間に通話やメッセを送ってもなにも反応がない。窓を開けようにも凍り付いた窓では外の様子も現状把握が出来なかった。階下に降りるのもなんだか怖くなってきて、寒さが増しても布団と毛布にくるまるしかなかったが。


 ひとつのメール通知が来て、成樹かとスマホに飛びついたが宛名は知らない男性の名前だ。



【クロード=如月


 いきなりで申し訳ない。熊谷から緊急時にあなたの無事をたしかめるよう伝えられていたので、ご連絡させていただきました】



 聞いたことがない。成樹の知り合いだとしたら、もう頼るしかないと思った。


 出来るだけ、詳細をこちらも伝えるのに現状といっしょに質問も合わせてゆっくりと文章を打ったのだった。

次回はまた明日〜

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