第170話 回答が来た
読書任務でポイ活をしている最中だった。
奈月からの返答メールらしき通知音が、端末から聞こえてきたのだ。藍葉はすぐに通知バナーをタップして、メールBOXを開いてみたのだが。
【正解d(˙꒳˙* )
報酬は追って報告するため、しばし任務を任せる】
と、これまた短文で終わっていた。もう少し詳細を知りたいのに、奈月のアドレスは自動送信機能でもついているのか、別枠で質問用のメールを送ってもまったく返信される気配がないのだ。
「……正解しても。シゲくんたちは帰って来れないもん」
二時間ほどまえにメッセージは送ってみたが、成樹から奈月にアクションをかけてもやはり応答はなかったらしい。それと、劣悪な状況でしかない水害が始まったことにより、帰宅許可は却下されてしまったとか。
藍葉が引きずるようにしてこのマンションに来たときの状況ならともかく、大雨災害などのように浸水が起きているために……身体が満足に起きていない成樹や美晴が外に出ればもつれる可能性だってある。せっかくの命を無駄にしないためにも、ここは施設を避難場所に仕立てるしかなかった。
なので、せっかく恋人との再会の約束をしようにも、自分たちの判断では決めれないことになったのだ。施設の管理責任者であり、常務取締役の人間にも同じ回答があったために断念するしかなかった。
そんな中で、希望のひとつと思っていた奈月のメール返信は心待ちにしてたのに、空振り三振をくらった気分になってしまっただけに終わったのだ。
「……これくらいの被害で済んでいても。奈月さん自身はその場所でなにしているんだろう??」
『さあな?』
クロードにも報告はしたのだが、メールの中身をスクショしたものを送れば……ビデオ通話越しに見えたが、持っていた缶を軽く握り潰していた。予想はしていたが、それなりムカついたのかもしれない。
藍葉はムカとは違うが、不安は強くなってきていた。自分を犠牲にしているようでしかない。世間を敵に回していたことは終わったとしても、次は自然との戦い……環境破壊を止めるべく、ファンタジックな技術で止めようとしているのは、困難以外の何ものでもない。
目に見えないものと見えるものがあるように。自然の力で生き方を左右されるのは、災害後の復興を余儀なくされるのと同じだ。
その途中とも言える、この水害や氷結以上の災害を止めるとなると……下手すれば、地球の崩壊を止めることと同じでしかないのでは。手助けしように、環境問題とかについてド素人の藍葉にはなにも出来ない。
『異世界ファーム』などを並行世界としてリンクしているのであれば、地球側もかなりの劣悪な状況だ。ひとつどころか世界各国が絶望の瞬間を迎え、荒れ地となった場所で『もう一度やり直す』。
それを可能にするのに、自己犠牲に等しい方法で他人に助力を求めていた。短期間で得た情報ででしか藍葉も奈月のことはわかっていない。
「待機以外なにも出来ないのかな? あたし、もっと出来ることあると思うんだけど」
『あ~……まあ、な? けど、この短文からすると『邪魔せんで』言いたいんやろ』
「邪魔?」
『奈月のパートナー確保は、ほぼ確定や。それ以外に、リンクしまくっているほかの『自分』との連携取りたいかもしれん。憶測やけど』
「んー。あたしより付き合いのあるクーちゃんがそういうなら……信じる」
『おん。あんがとさん』
足搔く行動になりかけていても、全く手助けしないわけではない。
託されている業務、『異世界ファームの運営』を維持するのなら……管理者権限として、各位連絡版に任務をいくつか追加するのを模索するのもいいだろう。
成樹とも連絡は取れているし、あとで通話時間をもらえたら相談に乗ってもらいたいくらいの気力は持ち直してきた。
次回はまた明日〜




