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ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!  作者: 櫛田こころ


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第153話 物資が届く

『宅配便でーす』



 藍葉は待っていた業者が来たことに、少しだけ心が躍る気分になる。インターホンで確認し、ロックを開錠してから部屋の前まで荷物を運んでもらう。杖を忘れずに、部屋の中を移動してから玄関の前に着いたあたりでまたインターホンが。


 こっちからゆっくりドアを開けると、廊下には防寒着でもこもこの業者が立っていた。ぎりぎり笑顔を向けてくれているが、相当寒いのは予想するまでもない。



「サインだけお願いします」

「あ、はい。ペン、借りていいですか?」

「どうぞ」



 成樹の名前をそのまま使っているので、サインには『熊谷』と書くことにした。同居している彼女か身内かに思われているだろうから、それくらいはいいだろう。ただ、荷物が荷物なので玄関の隅に置いてもらうのは頼んだ。


 完全にドアが閉まってから、厳重に梱包したであろう『宅配弁当』に藍葉は大きく息を吐いた。



「あ~……自炊しようにも材料ないから。助かったぁ~……」



 非常食もほとんど常備していなかったため、そろそろひとつかふたつになりかけていた冷凍の弁当をどう食べようか困っていたからだ。箱の大きさと量から見て、三食×14日分くらいはきちんとあるだろう。メニューは成樹が帰ってきてもいいように色々選んだが、おそらく藍葉の胃袋にほとんど収まるはずだ。


 箱を移動させるのは足の悪い藍葉には無理なので、梱包を破って運べる数を持って冷凍庫に向かうのを繰り返した。床掃除は暇なタイミングでなんとか綺麗にはしたから、杖をついて転んだりはしない。


 軽い運動だと自分に言い聞かせ、最後の弁当を仕舞い込んだら……ちょうど空腹感があったので、昼食にすることにした。先に残しておいたチキン南蛮弁当でいいだろうとレンチンしていく。


 クロードとのやりとりは、四六時中はやめて三時間おきくらいに通話で連絡を取り合うやり方になった。向こうも向こうで業務連絡とやらが入るようになってきたらしく、藍葉とマンツーマン指導していくわけにはいかなくなったそう。


 なら、藍葉に出来ることは『異世界ファーム』へのポイ活運営についてのバグ調整を無理なくすること……らしく。


 インターンに出来ることと出来ないことよりも、肝心の運営スタッフらが『寝ている』ために、出来ることが限られているからだ。それでも、プレスリリースした『異世界ファーム』の育成についてはユーザーたちがどんどん自分たちに欲しいものを搔き集めている風景はPC越しに見えていた。



「……必死扱いて、生きていくための手段だもんね。あたしだって、今ここに居るからなんとか生きていけるし」



 成樹と美晴が帰ってくるまでの、『繋ぎ』でしかなくとも。運営スタッフの一員として、きちんと業務をこなさなくては。外の救援活動に貢献出来ているのかまでは、ニュースを見ようにも報道陣が動いているかもわからない。


 今更だが、そこを思い出してテレビをつけてみたところ。



「……うわぁ。これ、マジでリアル??」



 スマホとかで画像やショート動画を見たりはしたものの。


 海、山、空の荒れ方が尋常じゃないのに、死者があまりいないので『奇跡』とどの番組でも放送しているニュースばかり。政治関係はわからないから、そこは少し無視して食事をすることにした。


 別に、世間をすごく気にして仕事をしているわけではない。こっちの大切な人が命の危機に晒されていないか心配になったから、躍起になっているところはある。その心配が、物資がこちらにも届いたということで少しばかり安心できるようになっただけ。


 いただきます、をしてからニュースを止めて適当な動画を流そうとしたが。履歴を辿らないどれもこれもが『地球災害コンテンツ』とかで埋め尽くされていたので……トップ画面では探しにくかった。



「……これで、最低被害なのって。あたしたちしか知らないもんね?」



 それを緩和させた中に自分が加わっていると、食事をしながら実感しようにも相手がいないとわかりにくい。


 食べたあとに、またクロードとの通話タイムがあるので、そのときにまた聞くことにしようと決めた。子どもを少し抜けた大人、のくくりである藍葉には考え方がまだ幼いところがあって仕方ないのは当然。


 それを指導してくれる大人が、少しでもいるのは理解している。奈月との接触もあれ以降ないが、なにか次のステップでも構築しようとしているのだろうか。気になってしまうが、今は活力を養うのによく噛んで食事をすることにした。

次回はまた明日〜

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