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接触

皆さん、長らくお待たせしました。

今年最後の投稿になります。

そして後書きにて、お知らせがあります。

 「ほら、見えて来ましたよ!!」


 「あれが……怪真会の……」


 獣道を通り森林を抜けると、明らかに人の手が加えられたであろう、木が完全に伐採され、草が短く整えられた原っぱに出た。


 先に森林を抜けた花村が、アシスに抱えられながら進行方向の一点を見つめていた。そこには奥ゆかしくも何処か古臭くも感じさせる、圧倒的な威圧感を放つ和風建設のお屋敷が構えていた。


 「早く行きましょう!!」


 数時間掛けて、やっと目的地に着いた事に浮き足立つ花村。影野を急かし、お屋敷に向かって先行しようとする。


 「待て!!」


 それを突然止める影野。


 「どうかしましたか?」


 目的地を目の前にして止まる様に指示した影野に疑問を抱きながら、花村は動きを止めて影野の方を振り返る。すると、影野は地面に片膝を付いて足下の草を調べていた。


 「いったい何を……」


 「妙だと思わないか?」


 「え?」


 「怪真会の連中は壊滅的なダメージを受けて、組員は数十人しか残っていないんだよな?」


 「うん、そう聞いてるけど……それが?」


 「だとしたら、ここの草が生い茂って無いのはどういう事だ?」


 「!!?」


 怪真会がいつ頃に壊滅したか、ハッキリとは分からない。だが、少なくとも数年は経過している。にも関わらず、この場所の草は短く刈り取られている。まるで毎日誰かが手入れをしているかの様に。


 「た、確かに不自然かもしれないけど……生き残った組員が手入れをしているのかも……」


 「(確かにその可能性は充分考えられる。だけど、会長が亡くなったのに呑気に手入れなんかしているか? 万が一、敵対組織が生き残った残党を捜していたら、こんな分かりやすい形跡を残すだろうか)」


 あれこれ考えるが、決定的な考えは纏まらない。細かい事だと思うかもしれないが、俺達がやろうとしている事は常に死と隣り合わせの行動だ。いつ非労運に見つかるか分からない。用心に越した事はない。


 「念の為、周囲を警戒しよう」


 「心配し過ぎだと思うけど……分かりました、僕に任せて下さい!! “サーチ”!!」


 「サーチ?」


 その瞬間、アシスの首がキリンの様に空高く伸び始め、数十メートルの高さまで到達すると、今度は目から青い光を放ちながら360度回転し始めた。


 これには影野も驚きを隠せなかった。思わず顔を見上げ、後ろに数歩下がってよく観察する。


 「もしこの近くに生体反応があれば、すぐに分かると思いますよ」


 「初めてアシスを見た時から凄いと思っていたが、改めて見ても凄い化学力だな。花村、お前は天才だ」


 「えへへ、そう言葉にして言われると、何だか照れるな」


 正直、脳ミソが照れても可愛くはない筈なのだが、しばらく一緒にいた為か、不覚にも脳ミソだけの彼が可愛く思えてしまった。


 「それで、どうだった?」


 「…………」


 「花村?」


 突然無言になる花村。先程の照れた雰囲気とは打って変わって、重々しい雰囲気を漂わせていた。


 「影野さん、不味いですよ……」


 「何があった?」


 「僕達、既に囲まれています」


 「何だと!!?」


 その言葉に影野が辺りを見回そうとした次の瞬間、森林の影から人影が飛び出し、影野目掛けて襲い掛かって来た。


 「っ!!?」


 咄嗟に避ける影野。花村の言葉が無ければ、無様に食らっていた事だろう。そして二人は飛び出して来た敵の正体に目を疑った。それは……。


 「「怪異人!!?」」


 それは両手がカマキリの様な鋭い鎌、顔はクモの様な複眼、そして体は蛇の様な形をした怪異人だった。


 この攻撃を皮切りに、続々と森林の影から人影が飛び出して来た。


 「おいおい、嘘だろ……」


 しかし、それはどれも人では無かった。無数の手が身体中から生えた怪異人、剣が擬人化したかの様な全身が刃物の怪異人、人を丸々飲み込めそうなほど巨大な口を持った怪異人など、飛び出して来た人影全てが怪異人だった。


 「どうしてこんな所に怪異人がいるんだよ」


 「わ、分かりません」


 周りを囲まれ、逃げ道が無くなってしまった。ジリジリと近づいて来る怪異人達。影野と花村は互いに背中を合わせ、いつ襲われても良い様に拳を構えた。


 「待て、お前ら!! 殺すのは後だ、まずは情報を聞き出す!!」


 「「!!?」」


 絶体絶命のその時、何処からか声が響き渡った。声のした方向に顔を向けると、そこには十五メートルは越えるであろう巨大な怪異人が迫って来ていた。


 「な、何てデカさだ……!!」


 「「「若頭!! お疲れ様です!!」」」


 「若頭だと!? まさか、あいつが噂の谷原義昭なのか!?」


 「そ、そんな!!? 彼は人間の筈……」


 聞いていた情報と違い、二人が困惑していると、巨大な怪異人の肩から何者かが地上に飛び降りて来た。


 「お前ら、何処の組のもんだ?」


 それは怪異人では無く、紛れもない人間だった。だが、その男は普通の人間とは違っていた。男物の羽織を上から羽織っている為分かりにくいが、片腕を欠損していた。


 「……お前が谷原義昭か……」


 「質問に答えろ。お前ら、何処の組のもんだ? ここを天下の怪真会と知って乗り込んで来たんだろ?」


 高圧的な態度。それは俺達が非力な人間だと思っているから。まぁ、片方は人間というには程遠いがな。そう思いながら俺は花村の方を横目で見た。花村はどうして良いか分からず困惑していた。


 今、花村を頼る事は出来ない。ここは俺が頑張るしかないな。


 「何か勘違いしている様だが、俺達は何処の組にも属していない」


 「嘘を付くな。組でもない者がこんな辺鄙(へんぴ)な場所を訪れる訳が無いだろう」


 「嘘じゃない。俺達はお前らを勧誘しに来たんだ」


 「勧誘だと?」


 「そうだ、俺達は秘密結社グレー。怪異人の怪異人による怪異人の為の世の中を作る活動している」


 「秘密結社グレー?」


 「若頭、先日WTSをジャックした連中ですよ」


 「あぁ、あの放送か……」


 どうやらこいつらも、あの放送を見ていたらしい。それならこちらの素性はある程度知られている事になる。下手な嘘は通用しないと考えた方が良いだろう。


 「あれは同士を集める為に流した物だ。今、俺達は供に活動する仲間を捜しているんだ。ある程度目星を付けたら、直接勧誘しに行く」


 「それが俺達だったと……そう言いたいのか?」


 「あぁ……」


 「……確かにそれなら筋は通っている。だが、可笑しいな。確かグレーは怪異人のみで形成された組織。そっちの脳ミソだけの奴は良いとして……お前は人間じゃないか?」


 「…………」


 こう言えば、そう切り返して来るであろう事は予想していた。俺は無言で人間から怪異人形態に変化して見せる。


 「「「「「「!!!」」」」」」


 これにはさすがのこいつらも驚きを隠せないでいた。


 「若頭、どうしますか?」


 「…………分かった、付いて来い。話位なら聞いてやる」


 「感謝する」


 何とか戦闘は避ける事が出来た。懐に一度入ってしまえば後はこっちの物と言いたい所だが……花村の話とはだいぶ違う。これは勧誘と同時に本人達から聞き出す必要がありそうだな


 そうして俺達は谷原達に案内される形で、怪真会のお屋敷に足を踏み入れるのであった。

遂に怪真会と接触した影野達。

果たして彼らを無事に勧誘する事は出来るのか!?

次回もお楽しみに!!

評価・コメント・ブックマークお待ちしています。


お知らせです。

来年の年明けに一話完結の短編小説を投稿します。

これまでのファンタジー路線と異なり、現代での暗く切ない話に仕上がっています。お楽しみに!!

それでは皆さん、よいお年を!!


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