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私が貴族なんて、何かの間違いじゃないだろうか。もし、公爵令嬢であるならば、余程のことがない限り、孤児院に預けられることはないはずだ。
そこで、シャルロットは頭を上げた。
ならば、「余程のこと」があったに違いない。それがなければ、シャルロットは平民に逆戻りだ。そして、いまするべきはただ1つ。
「サマセット公爵家に起こったことを調べなければ。」
確か、サマセット公爵家は皆亡くなっていると記されていた。それが、シャルロットが生きていたとなれば、「亡くなってもおかしくないくらいの事件或いは事故」が生じたことは容易に推測できる。
シャルロットは、記憶を辿った。確か、彼らの命日として記されていたのは、10年前の、ちょうどこの時期の日付であった。それならば、何が起こったかは新聞を読めば分かる。
そうして、シャルロットは10年前に火事が起きたこと、そしてその犯人は祖父であることへたどり着いた。
しかし、シャルロットの知りたいことはそんなことではない。
何故、骨も見つかっていないのに、彼ら…シャルロットを含むサマセット公爵家の皆は、「死亡」と見做されたのだろうか?
それは、彼らが死亡した方が都合が良い人物が居て、そしてその人物は、「生死の判断」ですら捻じ曲げてしまうほどの権力の持ち主である。
となると。
残るは王族のみである。
当時の皇帝は、龍の眷属になっていたし、皇子三人のうち二人は毒に侵されて亡くなっていた。そして、レイスは未だ10歳である。
そんな中、絶大な権力を誇るのは。
サマセット公爵家当主であり、皇帝の弟である、ジョゼフ・サマセット…シャルロットの父親しか残らない。
シャルロットに貴族だった頃の記憶はないが、普通の家庭において、父親が子どもを危険に晒したりするだろうか?妻を危険に晒したりするだろうか?
貧困な家庭ではなく、上流階級の家庭では、逆にこう考えた方が自然である。
「それは、危険ではなかった」
そして。
「死亡認定を受けた方が、安全であった。」
さらにもう1つ。
「他国ではなく、自国で平民として生きる方が安全であった。」
3つ目は言うまでもなく、シャルロットのことである。
このような3つの条件が揃うというのはどのような状況なのか。
シャルロットはそこまで考えて、ゾッとした。
自らがそこまでしなければならないほど、命を狙われ…悪意に晒されていたということ。そして、これからもし自分が公爵令嬢として名を挙げたならば。
再びその悪意に晒されるかもしれないということだ。




