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炎は、たちまち屋敷を覆い、全てを燃やし尽くした。人の欲望とはこんなにも醜いものだったのか。人々は、かの偉大な一家を失ったことに絶望したという。
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シャルロット・マクレーン・サマセット・ジョゼフ…サマセット公爵家の三女であり、父であるジョゼフ・サマセットは先代の皇帝の弟である。
先代の皇帝は、現皇帝の母である。
この国では、帝位は、基本的には皇帝の長子が継ぐとされており、女帝も珍しくはない。
そして、ジョゼフ・サマセットの娘であるシャルロットと陛下はいとこの関係にある。
自らの血縁関係だからこそ、自信満々に名前を呼べたのだろう。
しかし。
それならばなぜ、シャルロットは「現在」平民なのだろうか?
貴族名鑑の中のシャルロット・マクレーン・サマセット・ジョゼフは「死亡」となっているからだ。
それは、10年前に起きた事件に起因する。
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当時、先代の皇帝が退位して龍の眷属になると発表されたことにより、政権をめぐり大いに荒れた。
その頃、現皇帝ーレイスはまだ10歳になったばかりであったし、レイスの兄二人もまだ健在であったが、レイスを即位させ、自らが摂政となって政権を握るよう企んだ家があった。
それが、シャルロットの母の生家、マクレーン伯爵家である。当時のマクレーン伯爵家の当主、つまりシャルロットの祖父は宰相をしており、自らの娘を皇族に嫁がせたことから欲が出たのだろう。次第に発言、行動がエスカレートしていった。
そしてついに、それは起こった。
レイス含む三人の食事に少量の毒を少しずつ入れ、レイス以外の二人は徐々に体を蝕まれて行き、衰弱死した。そのことにより、レイスが「本物」だと判断した伯爵は、次に摂政の第一候補となるため、ジョゼフ・サマセットとその息子二人、娘三人を殺害する計画を練り始めた。
伯爵ははじめ、娘のアイリーン・サマセットを実家に呼び寄せてから殺害する予定であったが、アイリーンは薄々父の企みに気がついていたため、息子、娘、そして夫を守ろうと家にとどまった。
しかし。
伯爵は、娘を犠牲にしてでも政権を握りたかったのだろうか。一家七人が寝静まった夜、屋敷に火を放つよう指示した。
火はたちまち屋敷中に広がり、すべてを燃やし尽くした。
骨は見つからなかったが、これにより、サマセット一家は全員「死亡」となったのであった。
その後、その他大臣たちの推薦により、摂政なしで即位したレイスにより宰相は断罪された。レイスの兄二人、そしてサマセット一家は丁重に葬られた。
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これで、シャルロットが現在平民である謎は、公爵令嬢である「シャルロット」が死亡したから、だと分かったが、死亡したとされているシャルロットが生存していることをなぜ陛下は知っていたのか、そして。
なぜ、死亡したはずのシャルロットが生きているのか。
それならば、ジョゼフ・サマセット公爵を含むその他の六人も生存している可能性はあるのか。
シャルロットのいた孤児院に行けば何かわかるかもしれない、とアルバートは考えた。
そして、その前に、陛下に確認しなければならない。
サマセット公爵家の令嬢との婚姻について。




