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最弱D級冒険者、シャルル・クリスティの恋バナ  作者: サトウアラレ


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2/7

恋の賭け、始まりました!

私がジョルジョさんお手製の定食をモリモリと食べながら、料理中のジョルジョさんを眺めていると、ソロで活躍をしているアイリーンさんが椅子を引いて私の隣に座った。


「シャルル、隣いいかな?聞いたよ。Dランク昇格おめでとう」


「アイリーンさん、ありがとうございまっす!これで一応中堅の仲間入りになったのでっす。シャルルも見事、中堅冒険者ですよ!へへへ」


アイリーンさんの方を向いてペコリと挨拶をしてから、お礼を言うと、アイリーンさんは私の肩をポンっと叩いてから、「ああ、シャルル。ソロで頑張ったな。おめでとう」ともう一度言ってくれた。


「Eまでは見習い冒険者とみられることも多い。でも、Dからは、受けるクエストも広がり、冒険者、一本で生計を立てる事も用意だ。いや、Eでもシャルルはソロで立派な冒険者だと思っていた。しかし、採取一本の冒険者は王都では珍しいよ、大きな怪我もなく、無茶もせず。よくやったな」


「そうですか!へへへ、嬉しいでっす!」


「北や南の方には採取専門もいるんだ。北はレアメタルを狙う採取専門冒険者がね。南の海辺にも採取専門はいるが、この辺は狩猟や護衛が主だからね」


「まあ、確かに、採取だけはポイントが溜まらず、ちょっと大変ではありました。地味ですしね。へへへ」


「いや、地味ではない。丁寧な仕事だ。シャルルに注文した薬草はどれも綺麗って評判もいいし。狩猟や、護衛も大切な冒険者の仕事だが、採取も大切な仕事だと思っている。シャルルの様な採取専門冒険者がいるから、私達は狩猟や護衛に集中できる」


「アイリーンさんにそう言って貰えて嬉しいでっす!私は私の出来る事を頑張りまっす!!!」


「シャルル。頑張れ。そして、私達、冒険者に大切な事は「命大事に」だ。無理はしない。頑張るのはいいが、お互い、またここに帰って共に飯を食べよう」


「はい!アイリーンさん、美味しいご飯は最高でっす!」


アイリーンさんはソロでBランクの冒険者。パーティを頼まれて組む事もあるけれど、基本ソロで活動している。強くて綺麗で魔法の腕もあり、剣も弓も使える。


今、女性でソロAランクの冒険者はいない。けれど、アイリーンさんはなるんじゃないかと私は思っている。


そんな凄い冒険者の人だけれど、新人の時から面倒を見てくれて優しく色々と教えてくれた。私は攻撃力も弱いし、護衛や狩猟には向かない。だけど、私にもできる事がある、「命大事に」も何回も言われた。頑張り所を間違えるな、と、欲を出して帰ってこれない冒険者を私も見てきた。人の命は簡単に消える。だから私は絶対に無理はしない。


「うん、分っているなら、良いんだ。シャルル、この間頼んだ、ベリーもとっても美味しかったよ。あんなに美味しいのは食べたことなかった。また、指名注文していいかな?そろそろパルポの実の季節だろう?美味しい物が食べたくてね」


「いいですよ。そうですね…来週くらいなら丁度美味しいのが採れるかな。それくらいに指名入れて貰いますか?準備しておきまっす。パルポの実は収穫してすぐに渡したいのでアイリーンさんも私に注文して二日くらいは王都にいてくれると助かりまっす。採れたてほやほやを食べて欲しいでっす!」


「分かった、来週だな。その時は泊まりのクエストは受けないようにしておくよ。受付にも話は通しておく」


二人で話していると、ジョルジョさんが大盛ランチとデザートを二つ持ってきた。


「お待ち。ランチと、デザートだ」


「ああ、有難う。シャルル。デザートは私からのD級昇格のお祝いだ、それと、これは光ゴケが入っている瓶だ。光は弱いがランタンを使えない時に便利だ。受け取ってくれ」


アイリーンさんが自分の前に大盛ランチと、デザートを置いて貰い、もう一つのデザートを私の前にジョルジョさんに置くようにお願いした。


「え!アイリーンさん、いいんですか!凄い、こんなに良い物を!!へへへ、美味しそう!遠慮なく食べるぞ!!いただきまっす!!わーい!やったー!」


「ああ、食べてくれ」


デザートのお皿にはフルーツのケーキとプリンが乗っていた。


「俺が作ったんだ、美味いに決まってるだろ。……シャルル」


ジョルジョさんがそう言って私の前にデザートを置いた。


「ここで名前呼び!?不意打ちすぎるのでっす……ジョルジョさん、かっこいい……はぁ。もう一度、もう一度私の名前を……可愛いシャルルと……」


私がそうお願いしても、ジョルジョさんは「そんなことは言わん。早く食べろ」と言って笑って厨房の方に戻ってしまった。


「シャルル。ジョルジョが名前呼びを?可愛い?二人はそういう関係になったのか?」


アイリーンさんが驚いてそう私に聞いてくるが、私は残念だが違う、と首を振った。


「一ヵ月以内に私がDランクに上がれるか…って話をジョルジョさんとしたんでっす!その時に賭けをしたのです。私が上がれなければ三日月の短剣作成に必要な材料を。上がったら私の願いを一つ聞いて貰うという!そして!私は見事に賭けに勝ったのでっす!!!」


「成程。それで最近、がむしゃらにクエストを受けていたのか」


「ええ。期限ぎりぎりでしたけど、無事にランクアップしました。やはり目標があると頑張れますね!あ、アイリーンさん!デザートありがとうございまっす!へへへ、最高でっす!!」


「ああ、食べるといい。確かに。目標は大切だ。こんなお祝いで申し訳ないが。私はシャルルはCランクにも上がれると思うぞ」


大盛ランチについている骨付き肉をかぶりつきながらアイリーンさんはそう言ってくれた。


「Cに?狩猟も護衛も受けれないから、流石にCは難しいかと思ってたのでっす」


「Cランクから上にあがるの必須狩猟も護衛もしなくていいんだ。必須採集クエストはあったが、シャルルには問題ないだろうし。今迄は採集クエストをしない奴らが多くて、上位ランクに上がるのには採取

クエストが必須で、狩猟も捕獲も護衛も必須条件には入っていない。ただ凄く難しいだろうが」


「え!狩猟しなくてもいいんですか?よ、よし!アイリーンさんがそう言ってくれるのなら!Cランク目指してこれからも頑張りまっす!」


「ああ、その時はジョルジョとまた賭けを?」


「ふっふっふ。アイリーンさん。もう既に次の賭けは発動中でっす。採取クエストで、初心者でも行ける南の森にあるけれど、激レア素材ってあるのでっす」


「南の森にあって激レア?もしかして、虹色のクローバーか?」


「正解でっす!!!ジョルジョさんにはまた、三日月の短剣の素材を。そして虹色のクローバーを私が一ヵ月以内に採取出来たら、私の願いをまた叶えて貰う、そういう賭けを早速持ちかけましたのでっす!ジョルジョさんは「ふっ、じゃあ、明日から一ヵ月な。気を付けろよ」と。くぅ!容赦ない所もかっこよいでっす!ああ、最高でっす!」


「……シャルル。ずっとジョルジョの事、かっこいいとか、素敵とか言っていたけれど、本気だったんだな」


「ん?あんなにかっこいいのですから当たり前でっす!ただ、ジョルジョさんに言い続けるだけではダメだと気付きまして!行動を起こそうと思ったのでっす!!物理的にカウンターが間にあって、ジョルジョさんには中々近づけません。なので、賭けをして貰って、呼び方を変えて貰う事に成功したのでっす!」


「シャルル。凄い。そのやる気は凄いと思うが。ジョルジョをデートとかに誘えばよかったのではないか?」


「アイリーンさん。私もすっごく考えたんでっす。デートは一度で終わってしまうかもしれませんが、名前を呼んで貰うのはずっと続くんですよ…。ずっと、ずっとでっす。ふっふっふ。これで距離を詰めてデートをいずれするのでっす!」


私がそう言うと、アイリーンさんは「ふむ、成程」と言ってフォークを止めて、考えてから頷いた。


「確かに。一撃で沈める可能性が低い時は、毒草や麻痺を使ってじわじわと仕留めるね。そう言う事か」


「ええ!面倒なクエストやキツイクエストもジョルジョさんの顔を思い浮かべて、必死に頑張りました。おかげで、今はあの素敵な声で名前を呼んで貰えるようになったのでっす!たくさん名前を呼んで欲しいのですけどね、なかなか呼んでくれません。今も、可愛いシャルルと呼んでくれて良かったのでっす…」


話している間にも美しい所作でアイリーンさんは大盛ランチを食べていき、もう、デザートにも手を伸ばしていた。


私も急いで自分のランチをもぐもぐ食べ、デザートに取り掛かった。


「はあ。美味しい。背が高くて、たくましくて、そしてこんな美味しいご飯とデザートを作れるなんて、ジョルジョさんはやっぱり素敵で、最高なのでっす」


「シャルル。まあ、確かにジョルジョの腕はいい。でも、ジョルジョはこう、なんだ、おっさんだぞ?」


「アイリーンさん、違います。初めて会った時からジョルジョさんはおっさんという枠を飛び越えていました。素敵な大人の男性なのですよ。美は全てを超越するのでっす。あんなにかっこいい人は多分、どこにもいないのです。結婚もしてなくて恋人もいないと知った時に私は、猛烈アタックを決めたのでっす!しかし、私が生まれるのがちょっと遅かったのでっす。私が悪いのです…」


私が訂正を入れるとアイリーンさんは笑って頷いてくれた。


「そうか、まあ、ジョルジョはこんなに思われて羨ましいな。虹色のクローバー、採取できるといいな」


「はい!次は何をお願いしようか、もうワクワクしていまっす!」


私が厨房の方に目を向けるとジョルジョさんと目が合った。手を振って投げキスをすると、キスを叩き落とされる仕草をされた。


「ああ。酷い。でもジョルジョさん大好きでっす!!」


アイリーンさんは私のそんな様子を笑いながら、「頑張れ」と、ジュースも買ってくれた。


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